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海賊放送船イービル・トゥルース号の冒険  作者: 悪魔の海賊出版
第六部

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Synthetic Streamの中心で、生きようと叫んだ残虐王

Synthetic Streamの中心で、生きようと叫んだ残虐王




 キャンディアップルレッド・ホーリーウォールデストロイヤーが、GTZ-AXEカスタムが、ビッグボディのメタル野郎が、イービル・トゥルース号に撤退てったいしていく。

 あれだけあった重機関砲も、弾薬の山も、砲身冷却材も今はない。臨時暫定陣地りんじざんていじんちを形成していた防弾壁だけが、死の回廊かいろうに残されていた。

 たった一機、血みどろ姿の青い機体だけが、最前線に残って立っている。その背後には、両の眼窩がんかに青い炎を灯す、顔面にいくつもの傷が走った巨大なドクロ。

 この戦争を終わらせるために、たった一隻でやってきた宇宙戦艦は、海賊放送船としてこの戦争に挑もうとしている。

 自民愚じみんぐが不気味な触手をうごめかせて海賊放送船へと迫る中、イービル・トゥルース号の船尾副砲と、船腹最後尾の四番主砲塔が、爆炎をあげて九式海賊放送弾の斉射を開始する。

 要塞中枢に向かってブチ開けられた死の回廊の各所に、徹甲弾てっこうだんが次から次に突き刺さっては、構造体の奥深くにむかって突進する。

 すさまじくハードでヘヴィなフルメタルジャケット砲弾が、要塞内部の機械臓器きかいぞうきをえぐって砕き停止する。

 要塞内部に次々に突き刺さっていく九式海賊放送弾がうみだす衝撃が、死の回廊全体に凶悪な振動を走らせる。

 副砲と主砲塔が吐き出し続ける紅蓮ぐれんの炎に背中を照らされながら、青い機体が巨大なドクロシールドから、対物ヒート・チェーンソーを引き抜く。

 血と臓器でドログチャに汚れた悪剣あくけんがごときヒートチェーンソーが、死の回廊に立ちはだかる残虐王の手に今再び戻る。残された右手に血みどろの悪剣を握った死の壁は、どこまでもこの戦争に抗い続けることを、自民愚ジミングに向けた刃でもって示す。

 押し寄せてくる戦争という異形の怪物に、たった一機であらがい挑む狂戦士を、繰り返される斉射の爆炎が何度も赤く照らしだす。

「俺には、この戦争が終わる未来がみえている。未来があるのなら、今死ぬ必要はないはずだ。この戦争をやっているどいつもこいつも、明後日まで生きやがれ!」

 公開通信チャンネルにアークは叫び、ブルーナイトメアがヒートチェーンソーを、天に向かってふりあげる。

 血肉と臓器と骨片にまみれてドログチャの悪剣が、何もかもをひっくり返す海賊放送を解き放つための合図を送るかまえをとった。

「RADIO・EVIL TRUTH が、権力様にとってクソ不都合な話を、どこまでも好き勝手に話しまくる時間だぜ!」

 積極的平和主義者を憂鬱ブルーにする悪夢ナイトメアを駆るアーク・マーカイザックが、イービル・トゥルース号よ、今再び海賊放送船となれ、そしてこの戦争を終わらせようぜと告げる。



アイアンブルーとガンメタルグレイで構成された艦橋で、ミーマ・センクターお姉様がレザーグローブで包まれた褐色かっしょくの拳をふりあげる!

「いったいナニを話すつもりか知らないけれどッ! 通常の二倍以上に常軌を逸した話ってやつで、何もかもをひっくり返してみせとくれッ!」

 身長2銀河標準メートルもあるお姉様の拳は、アイアンブルーの天を目指して振り上げられた鉄槌てっつい

 ブ厚い硬化テクタイト製窓に映るのは、天を突く悪剣がごとき血みどろのヒートチェーンソー!

 振り下ろされるヒートチェーンソーと完全同期した褐色の拳が、ドクロマークが描かれた青いボタンをブッ叩く!

 アイアンブルーとガンメタルグレイで構成された艦橋中のモニター達が、濃密のうみつなブルーに染まり、交差する大腿骨だいたいこつとドクロが現れる。

「ナイン・シックス・ポイント・ナイン! 96.9銀河標準メガヘルツ!RADIO・EVIL TRUTH NOW ON AIR!!」

 イカツイ字体の赤文字がドクロの前に踊り狂い、ありとあらゆる何もかもをブッ飛ばす無免許御免むめんきょごめんの海賊放送が、リアルな戦場の最前線から解き放たれる!

 5000ゼニーという馬鹿安価格で参加可能な、高級料理とタダ酒だらけの大宴会。ザヤカを見る会で起きた大騒動から始まってしまった戦争を終わらせるために、通常の二倍以上に常軌を逸した男は、いったいナニを語るのか!?

 地獄の最前線に送り込まれた、クッソ狭いメタル棺桶かんおけという放送ブースで、大宇宙の驚異級に常軌を逸した男が話し出す!

 ブルーナイトメア・ウォール・オブ・DEATHの操縦席で語られた言葉は、蛮族のモヒカンがごとく逆立つブレードアンテナから放たれて、イービル・トゥルース号へ飛ぶ。エニグマ・エンジンのパワーでドライヴされるハイゲイン・アンプが、ブッ飛ぶような高出力で電界と磁界を震わせる。

 イービル・トゥルース号から放たれた電界と磁界の相互振動そうごしんどうが、死の回廊を満たす時空だけではあきたらず、各所のあらゆる開口部に侵入!

 海賊放送を受信した九式海賊放送弾が、弾頭自身を物理振動させることで、海賊放送を大拡散。

 九式海賊放送弾が、めっちゃくちゃに破壊した機械臓器きかいぞうき残骸ざんがいを振動させる。揺り動かされた機械臓器は要塞自体をガンガンに震わせて、ありとあらゆる構造物が循環空気を震わせるスピーカーへと変わるのだ!

 大自民統一教会党が超自民要塞フミア・ザヤカと呼ぶ、巨大構造物自体が物理的に振動することで、すべての区画に海賊放送が流れ出す!

 受信感度がどうだとか、チューニングがどうだとか、復調がどうだとか、受信機はお持ちでございますかとか! そんな細かいことは何もかもをブッ飛ばし、要塞を構成している構造物自体が振動して、海賊放送をガンガンに流してる!

 ラスト・ドンパチのどんづまりで行われたのは、電波停止など絶対にできない、史上空前絶後しじょうくうぜんぜつご前代未聞ぜんだいみもんの海賊放送!

 積極的平和主義者がおっぱじめてしまった戦争に、たった一人であらがい続ける消極的戦争主義者はガンガンがなる!

 通常の二倍以上どころか、いまや大宇宙の驚異級にイカれてしまった男の声が、最前線から後方支援の指揮所まで循環空気を震わせる!


 ようようようよう。こちらは、アーク・マーカイザックがやっている、無免許御免の海賊放送だ。

 ナイン・シックス・ポイント・ナイン! 96.9銀河標準メガヘルツ!RADIO・EVIL TRUTH!

 今日の海賊放送は、スペシャル過ぎる大特番だぞ!

 synthetic streamという大渦おおうずの中心に取り込まれちまった君たちは、海賊放送なんて聞くのは初めてだろう?

 どんな権力様も震えあがる、邪悪なほどの真実ってやつを話してやるのが、海賊放送ってやつだよ。

 クソみたいな世界をひっくり返す、巨大な大波を生み出すために、俺は大宇宙に一石を投じ続ける!

 たかが一石が広大過ぎる時空に生み出す波紋はもんなど、ほんのわずかなものだろう。 

 だがそれは、微力ではあるが、断じて無力などではない!

 冷たく凍った死体みたいに生きる奴らよ、そんなことは無駄だ無駄だと果てしなく繰り返し、いくらでも俺を冷たく笑うがいい。

 いつかなんて絶対にこないのだと、最初からあきらめていればいい。

 俺は死人みたいに生きるより、追い求める夢にむかってもがき続ける、生き者でいたいだけだ!

 おまえはおまえで、冷たくなった死体のように生きたいのなら、そうすればいい!

 言葉など無駄だと言うのなら、まずはてめえがだまりやがれ! と言いたいが、今は冷たい死体に構っている時間はねえ!

 どいつもこいつも勝手にしやがれ! 誰かの領域を侵さない範囲においてだ!

 俺は好き勝手にやる! どこまでも続く時空に波紋を生み出す一石を、俺は投じ続ける!

 いつか世界をひっくり返す夢を、俺はどこまでも追いかけ続ける!

 大宇宙に絶対などない! 夢が絶対かなうなんてことはない! だけど、夢を追い求めないのなら、かなう夢などないんだぞ!

 ただの一度も出会ったこともなく、この先も永遠に出会わないであろう君にまで!

 届け! 残弾無限の海賊放送! 

 君がまだ知らない、嘘みたいな未来の話をしよう。嘘みたいだけど本当の話をしよう。

 そして今、この戦争を終わらせるために、本当の戦争の話をしよう。


 大宇宙をたったひとつにたばねようと渦巻うずまくsynthetic stream横断を目指し、壮大な航海に出た船はいま、Space Synthesis Systemの中枢目前までたどり着いた!

 はじまってしまった戦争を終わらせるために、たった一隻で大暴れしてきた宇宙戦艦は今、海賊放送船へとかえった!

 戦争という名の異形の怪物にどこまでもあらがうために、たった一隻の海賊放送船が壮大過そうだいすぎる挑戦を開始したのだ!

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