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海賊放送船イービル・トゥルース号の冒険  作者: 悪魔の海賊出版
第六部

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突きつけられた今日という現実と、あたしとあんたの明後日

突きつけられた今日という現実と、あたしとあんたの明後日




 タッヤからの通信がげた現実に、キャンディ・アップルレッドの操縦席でサディは叫ぶ。

「ちっくしょぉぉぉオオオッ!!」 

 メタル棺桶かんおけみたいな狭い空間に、ガンガン響く自分の絶叫がクソうるさい。

 牙みたいにとがった犬歯をむきだしにして叫んだ口に、赤い瞳から流れ落ちた涙がお口に入って、塩っ辛い味がする。


 最高執行責任者さいこうしっこうせきにんしゃキャプテン・パンダーロックより全権限ぜんけんげん貸与たいよされた、臨時暫定指揮官りんじざんていしきかんとして命令します。

 カルト・スター中枢制圧作戦は中止。 

 繰り返します。 

 カルト・スター中枢制圧作戦は中止。

 イービル・トゥルース号には今現在、この戦争から撤退てったいする道しか残されていません……

 急襲突撃中枢破壊死隊きゅうしゅうとつげきちゅうすうはかいしたは、大至急撤退だいしきゅうてったい

 イービル・トゥルース号に帰還きかんしてください……


 タッヤ臨時暫定指揮官が繰り返す命令に、サディはちいさな拳を握りしめる。


 そうだ。タッヤの言うとおりだよ。

 あたし達はもう勝てない。

 あたし達が今持っている武装では、この状況を打開だかいして隊が中枢までたどり着き、生きて戻ることができない。

 大宇宙のクソの素が中枢閣大本営ちゅうすうかくだいほんえい大宴会開だいえんかいひらいて、あぶらがジュージューしてるステーキ食って、サントソーの世界に響くタダ酒飲んでいるとこに乗り込んで、大事な生命タマをめっちゃくちゃにしてあげて、厳しい現実を叩きこんでやることが、あたしにはできないんだ……

 自称病気じしょうびょうきのお腹には無理なあぶらっこいごちそう食って、庶民しょみんからしぼりあげた税金チューチュー大宴会だいえんかいしている間に、いったいどれだけの知的生命体が死んでいった?

 真正甘しんせいあまちゃんボンクラ坊や達が、死の回廊かいろうで内臓ぶちまけ血肉と骨片にされてたくさん死んでいった。

 生きたまま腹を裂かれブッた切られて骨まで砕かれ、断末魔の悲鳴をあげながら恐ろしい苦痛を味わって死んでいったのは、中枢閣大本営を守るためなんだぞ! 

 なのに、大宇宙のクソの素アベンシゾーはそんなこと、痛くもかゆくも思いやしない。

「権力様に任命拒否にんめいきょひされたあげく、やっと就いた仕事で死ぬのは全部おまえの自己責任。権力様から任命拒否されないように、もっともっと努力して、権力様に都合の良い畜生になればよかっただけ」  

 頭の中でビカビカ光る電痛TVの中で、アベンシゾーがゲラゲラと笑ってる。

 アベンシゾーは今も、死の回廊の先にある中枢閣大本営で、脂ジュージューステーキとサントソーのタダ酒で大宴会をしているんだ。

 細かい理由を何一つ明かされず、権力様に都合の悪い奴は任命拒否されて、仕方なく就いた仕事で死ぬのが当たり前。そんな絶望世界みたいな文明があってたまるか!

 くやしい! くやしい! 本当にくやしい!

 胸糞展開鬱むなくそてんかいうつアニメの世界にも出てこないような、マジモンのド腐れ外道げどうな狂った怪物が、リアルな現実にどうして実在できるのだろう?

 未来永劫みらいえいごう、大宇宙の歴史に刻まれるような大グソ野郎が、どうして権力なんか握っていられるのだろう?

 美しいシステムを取り戻すとか言って、アベンシゾーがやらかしたのは、クソ馬鹿ドデカいクッソ汚え腐敗機構ふはいきこうを作ったことだけだ。

 アベンシゾーの伝記を書いたレイプ犯、夜魔愚ヤマグ血糊幸チノリユキは、アベンシゾーに逮捕状を揉み潰してもらって社会に野放し。

 アベンダチ公企業の筆頭ひっとう、ト与太自動車よふとじどうしゃ企業献金きぎょうけんきんで政治を買って、思いのままにヤリたい放題。

「イチゼニーが360ドゥッルラーになれば、ト与太自動車よふとじどうしゃはもっともうかる!」 

 アベンシゾーがそう言って、アベンミクスでゼニーをガンガン刷って、ゼニーの通貨価値は地にちて……

 公道オラつきイキリ運転の代名詞、アフォファードとヴァカファイヤーが売りのト与太自動車よふとじどうしゃは、外銀河にバンバンに輸出してるから、ゼニーの価値が下がればメタクッソ甘い汁がチューチューできるだろうよ!

 ゼニーは馬鹿イチやすになっちまったから、株価の額面だけがバンバンあがって、馬鹿で阿呆な奴らは株があがったと大喜び!

 クソ馬鹿でカスゴミな阿呆駄郎! ゼニーの価値が下がってるから、額面がくめんがでかくなってるだけなんだよ!

 synthetic streamの過酷な現実ってやつが、こういう時に残酷なまでに、庶民しょみんにはきいてくる。

 synthetic streamは食料自給率が低くく、エネルギー資源だって勢力圏内には持ってない。

 食料もエネルギーも他銀河からの輸入に頼りきっている。だから、synthetic streamの一般庶民いっぱんしょみんはゼニーが馬鹿イチ安になったら、輸入品の価格があがって生活があっあっあっ……。

 アベンダチ公企業の筆頭ひっとう、ト与太者自動車よふとじどうしゃがブクブク太って内部留保ないぶりゅうほをガンガンに溜めこむためだけに、synthetic streamの一般庶民は、ト与太よふとアキオに生き血をチューチューされてるようなもんたなんだよ……

 大宇宙のクソの素、アベンシゾーがおおやらかしたのはそれだけじゃない。

 カルト主教とつながったアベンシゾーが、カルト宗教の思惑おもわくどおりに改憲してシン・憲法にしちまって、戦争をできるシステムを作り上げやがった。

「憲法は権力者に権力をさずけるものだ」 

 こんなこと言う奴は、大宇宙で一番馬鹿デ賞の表彰台でピョンピョン跳ねて遺影イエイッとか言えちゃえる、マジモンの馬鹿イチだ。

 憲法は権力をしばり上げる最後の拘束具こうそくぐだよ。

 synthetic streamがBig Synthetic Empireとか名乗っていた時代に、大暴発をやらかして大宇宙戦争でスッコスコにブッ飛ばされた。

 そういうおおやらかしをもう二度としないために、旧憲法九条が作られたのに……

 銃で言えば、憲法とは暴発を防ぐための安全装置だ。

 それを……、アベンシゾーはカルト宗教に言われるがままに、戦争のできるシン・憲法に変えちまった。

 緊急事態を宣言すれば、権力の何もかもを独り占めして毒裁できてしまう、緊急事態条項の追加。

 頭がおかし過ぎてもう全然笑えない、既知キチそとにいるようなマジモンの独裁者がヒャッハーしちゃうような、狂った憲法に変えちまった。

 安全装置のない銃なんて、マジモンの戦争屋は絶対に使わない。クッソ危険な暴力装置だ。

 安全装置のない銃なんて、普通にてめえを撃っちまうおおやらかしをやらかして、大惨事になることを戦争屋はよーく知っているからさ。

 カルト宗教に押し付けられた、シン・憲法に改憲してしまエヴァ、世の中がメッチャクチャになるってわかるはずなのに……

 悪夢を超えた地獄のような現実は、アベンシゾーとカルト宗教の悲願、改憲に至ってしまった。

 権力を拘束する拘束具こうそくぐが外れた、タガの外れたイカれ珍法ちんほう。それが、カルト宗教に押し付けられたシン・憲法の正体だよ。

 安全装置のない銃は、いとも簡単に暴発しちまう……

 積極的平和主義者どもが戦争を抑止すると言って、未曾有みぞう阿呆駄郎あそうたろうが勇ましく、戦う覚悟がどうだとか妄言吐もうげんはいて、サイコに馬鹿一過ばかいちすぎる奴らが無駄遣むだづかいをやらかして、バンバンに大増税してガンガンに兵器を買いそろえる。

 積極的平和主義者どもが、これが抑止力だとデッカイ銃をおっ勃たせてイキリまくる。

 そうなったらもう、何の安全装置もついてない銃のお弾袋たまふくろが、パンパンになるまで弾をこめて、ブンブンふりまわしている状態とおなじなんだよ……

 ジャブジャブにあふれた兵器で持って気が大きくなって、シン・憲法には歯止めがなくて、あっという間に暴発するに決まってる。

 安全装置なんか何もないんだ、すぐにブッ放しちまうんだ。

 そして、ブッ放したら撃ち返される。そういうアニメの世界でも当たり前のことを、積極的平和主義者達は考えられない。

 だから戦争がおっぱじまる。

 小競こぜり合いから始まって、やがてドンパチにいたり、次々に死んでいくウチに戦争が終わらなくなって……

 どうにかしてこの戦争を終わらせるために、大宇宙に渦巻くクソの大渦おおうずsynthetic streamを止めるためにやってきた、あたし達には兵器が全然足りてない。

 兵器、兵器、兵器、兵器……

 兵器があるから戦争が起きるのか? 兵器が足りないから戦争が終わらないのか?

 意味不明過ぎて、ナニがなんだか、あたしにはもう全然わからない。

 カルト政党とカルト宗教。イシーンズに、そうだったのか学会の小梅党こうめとう凄惨党せいさんとうのゴッドダニィ・ウソヘイ。そして大国眠々主党だいこくみんみんしゅとう……

 細かいことは、あたしにはわからないけど……

 アベンシゾーは大宇宙のクソの素、大グソ渦の中心で毒ん毒んと脈打つ暗部の心臓で、腐敗しきった醜い現実の原動力なんだって、ゲロ吐いちゃうくらいによくわかる。

 アベンシゾーは自分のおおやらかしをもみ消すために、平気へいきで一般知的生命体の大事な生命を揉みつぶす。

 大宇宙のクソの素、アベンシゾーが権力を握ってから、synthetic streamは不審な死をとげた知的生命体がわんさといる。

 みんな自殺として処理された。でも、あんな怪しい不審死が全部、自殺だなんて思えるほど、あたしは頭に素敵なお花畑を所有してない。

 抵抗することもできない知的生命体が、権力様のご都合のために揉みつぶされて殺されていくことはもうたくさん。

 あたしはガチでバチバチなマジモンの戦争屋だから、一般知的生命体殺しは絶対しない。

 大きな声では言わないが、何体もの知的生命体をブッ殺してきたあたしに、唯一残された誇りってやつが、虐殺だけはしないってことなんだ。

 あたしがブッ殺すのは、でっかい銃や砲を握って態度がビッグになり過ぎて、イキリっちまった汚珍砲おちんほうをブッ放すのをやめられない、マジモンのイカれ珍砲ちんほうな阿呆駄郎だけさ。

 対決より解決?

 どんな胸糞展開鬱むなくそてんかいうつアニメにも出てこない、マジモンのド腐れ外道な怪物どもを、法も憲法も取り締まらないんだぞ?

 法も司法も全部、アベンシゾーに牛耳ぎゅうじられてんだよ。

 無能な公厳警察はアベンシゾーを捕まえない。仮に不正が発覚しても、検察はアベンシゾーを起訴しない。

 本当ならとっくの昔に監獄行きの、国賊売国虚言癖が権力の頂点でゲラゲラ笑ってんだ。

 ここはもう、法が機能していない、マジモンの地獄なんだよ。

 だったら、殺処分でしか問題解決できやしない。

 法も憲法も意味をなさない世界を作ったのは、アベンシゾー自身だよ。だったら、砲で討たれて殺処分されるのが当然だろうが。

 そしてそれを本当に実行できるのが、あんたとあたし。

 馬鹿で阿呆な積極的平和主義者の対極に存在する、マジモンの消極的戦争主義者ってやつだよ。

 だからあたしとあんたは、ガチでバチバチなマジモンの戦争屋であることに、誇りを持っている。

 あたしはアークと、この戦争を終わらせたい。

 圧倒的多数 VS たったふたりに、後からやってきたお姉さんとメタル野郎。

 最初は四機、今は五機。たったこれだけの戦力で、戦争が終わる可能性は確かに少なかったよ。

 でもね、万がイチのもしかして、このちいさなお手々に可能性をつかみとるために、あたしは賭けた。

 アーク・マーカイザックという、通常の二倍以上に常軌を逸したあんたとなら、あたしはこの戦争を終わらせられる気がしたんだよ……

 巨大でブ厚いドクロシールドを構えたまま、戦場に立ち尽くしているブルーナイトメアの後ろ姿が、メインモニターの中にみえる。

 ブッ殺しまっくて全身に返り血浴びて、ドログチャ状態なマジモンの悪鬼あっき

 あんたは正真正銘しょうしんしょうめい、まじりっけなんかひとつもない死の壁だ。

 積極的平和主義とか言うクソみたいな奴らに、どこまでも立ち向かう本物の消極的戦争主義者だよ。

 あたしの視界の中で、五銀河標準秒の長考に入ったまま、物言わぬブルーナイトメアの背中が、涙でどんどんにじんでいく。

 アークは何も言わずに、繰り返されるタッヤからの通信を聞いていた。

 だけど……

 あたしとあんたでは、この戦争を終わらせられなかったという完全なる敗北を、アークがわからされてしまったようには、あたしにはどうしても思えなかった。

 ブルーナイトメア・ウォール・オブ・デスは、いまも、積極的平和主義者の前に、死の壁となって立ちはだかっていた。

「我は積極的平和主義者を憂鬱ブルーにする悪夢ナイトメアである」

 血まみれになった青い鬼の背中に走る稲妻が語る言葉は、この戦争を終わらせることを、まだ全然あきらめていなかった。

 あたしの男は、死の回廊に君臨くんりんする残虐王ざんぎゃくおうだ。

 そうだ。

 アークは通常の2倍以上に常軌を逸している男だ。誰も彼もがどいつもこいつも、これはもうお手上げだという状況であったとしても、あいつはいつもブッ飛ぶような案をだし、あらゆる問題をひっくりかえす。

 でも、クソ馬鹿ドでかい自民愚ジミングをどうやっても破壊しきれない。この現実は邪悪なまでに真実だ。

 嘘みたいだけど本当に実在している、ガチでバチバチなマジモンの男、通常の二倍以上に常軌を逸しているアーク・マーカイザックが、戦争を終わらせることができないだなんて……

 あたしには、どうしても信じることができやしない。

 だけど……。これが現実……

 あたしとあんたは、最前線からケツをまくって逃げ出さないと、明後日のデートにたどりつけない……

 今日の戦争を終わらせて、明後日の夜にはWAR IS OVER! と祝杯しゅくはいあげて、珍しく酔ったあんたをベッドまでお持ち帰って、あたしの男にしてやりたかった。

 でも、そういうハッピーエンドは、いま現実にならないんだと、あたしは突きつけられてしまったんだ……

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