表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
海賊放送船イービル・トゥルース号の冒険  作者: 悪魔の海賊出版
第六部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

340/372

破壊戦線異状なし

破壊戦線異状なし




 7.62mm✕六銃身✕六機の異形重機関銃いぎょうじゅうきかんじゅうが火を吹き、身をくねらせて不気味ぶきみうごめく。

 横殴よこなぐりに叩きつけられる死の雨に、安価だけが取り高分子連鎖装甲こうぶんしれんさそうこうをブチ破られて、次々に機能を停止したスクラップと化して、奈落ならくの底に落下していく量産装甲人形駆動兵器りょうさんそうこうにんぎょうくどうへいきども。

 無限わきのザコキャラがごとき、synthetic streamの量産装甲人形駆動兵器が、少数精鋭の急襲突撃中枢破壊死隊(きゅうしゅうとつげきちゅうすうはかいしたい)に押し寄せる。

きろ! きろ! synthetic streamの備蓄びちくが尽きろぉぉぉ! マジモンの戦争を知らない、いさましいだけのてめえらが、実戦における補給ほきゅうの大切さを知っているはずがねぇんだよ!」

 ブルーナイトメアに残された右手に握る異形の7.62mm✕6銃身✕六機の異形重機関銃いぎょうじゅうきかんじゅうから、奈落ならくの底に向かって降り注ぐ死の雨を吐き出しながら、アークが叫んでいる。

「アッと言う間にっちまう! クッソ情けねえ汚珍砲おちんほう! 持続力より回数でどうにかしようと、よってたかって群がりやがって! てめえらマジでキモ過ぎ! 絶対お断りなんだよォォォッ!」

 巨大シールドと化したブルーナイトメアの左腕に守られたキャンディ・アップルレッドが、火を吹きうごめく7.62mm✕六銃身✕六機の異形重機関銃いぎょうじゅうきかんじゅうを両手とショルダーアーマーから通常の三倍マシでぶっ放す。

 主砲がブチ開けた破滅はめつ大穴おおあなの底に船体が落下しないように、船首ドクロの眼窩がんかから青い炎を噴射ふんしゃし続けるイービル・トゥルース号からは、パルスレーザー砲の青い閃光がえ間なく放たれ続ける!

 壊す! 壊す! ブッ壊す!

 量産装甲人形駆動兵器の頭部がはじけ、首が飛び、四肢ししを切断されて転がる胴体。もげた手足がくるくる回って舞い踊り、奈落の底へと落ちていく。残虐行為ざんぎゃくこうい大博覧会場だいはくらんかいじょうは、赤いオイルが飛び散り真っ赤っ赤!

 それでも、圧倒的多数が絶対正義ぜったいせいぎで押し寄せる、synthetic streamのクソザコ量産装甲人形駆動兵器ども。

 ドログチャ破壊の大残虐大博覧会だいざんぎゃくだいはくらんかいと化した死の回廊かいろう。備え付けの照明などない闇を切り裂く、イービル・トゥルース号の探照灯サーチライトの青白い光が、殺戮さつりく炉心ろしん渦巻うずまく残虐行為を照らして出す。

 黒い高分子連鎖素材装甲がバラバラと散って逝くスクラップ、そして、奈落の底に流れ落ちていく赤いオイル。

 火を吹き続ける7.62mm✕六銃身収束回転式機関銃(ろくじゅうしんしゅうそくかいてんしききかんじゅう)✕六機の異形兵器。

 大量破壊された量産小型自動駆動兵器だった残骸ざんがいが、死の回廊かいろうにひっかかって作り出した、自然発生的な障害物しょうがいぶつ

 死の回廊かいろうをビシャビシャにらしながら、奈落の底にむかって降り注ぐのは、破壊された量産小型自動駆動兵器から流れ出すオイルが作った赤い雨。

 果てしない破壊の連鎖れんさが続く!

 しかし……

「もうずっと殺りまくってますけど、いくらなんでも……」

 防弾壁の内側で、殺りまくりのバカップルをバックアップしている、AXEにもあせりがみられはじめる……



 船首付近に構築こうちくされた暫定陣地ざんていじんちで、ドログチャの戦闘が行われている時、アイアンブルーとガンメタルグレイで構成された艦橋では……

「人のたぐいを殺すのは、既知きちそとが大喜びする異次元めいたみつの味」

 照準器の中に現れた小型装甲人形駆動兵器を、パルスレーザー砲で無情むじょうに撃ち抜くイクト・イチバチ。

「ケツから迫る阿呆あそうは、副砲ブッ放して一網打尽」

 巨大なガトリング砲の引き金を引いて、うるわしの本船の素敵なケツから迫るザコキャラを、一瞬で消し飛ばすイクト・イチバチ。

 イービル・トゥルース号の素敵なケツの向こうには、ブチ抜いたら俺達までサヨウナラ、そういうヤヴァイブツは存在してない。船尾から迫るザコキャラは、船尾副砲せんびふくほうに弾かれ消えて、簡単に大量破壊されて処理されていく。

四方八方しほうはっぽうから湧くザコは、パルスレーザー砲で皆殺し」

 ドログチャに破壊された死の回廊かいろうの各所から、湧き出し始めたザコキャラは、船体各所のバルスレーザー砲で迎え撃つ。

 とは言え、イービル・トゥルース号には、真正面から押し寄せてくるザコを切り刻む巨大なハサミみたいな、超近距離白兵戦闘支援兵器を船首にかかげた巨大ドクロに搭載とうさいしていない。パルスレーザー砲もそんなに多数は真正面を狙えないし、船体にとりつかれた場合はパルスレーザー砲もほぼ無力化されてしまう。

 だから、船体に接近されてとりつかれると大変にやっかいなことに変わりはなく、殺りまくりのバカップルは現在防戦に集中している。

 異次元異様要塞カルト・スター内部での白兵戦が開始されてから、まだそんなに時間は経過していない。

 要塞内部の解析かいせきも終了しておらず、急襲突撃中枢破壊死隊きゅうしゅうとつげきちゅすうはかいしたいは、まだ要塞深部への突入も行えてない。

 じりじりと進む時間の中で、タッヤの声が循環空気じゅんかんくうきを震わせる。


 この状況では、シンセティック・ストリーム側に要塞内部に撃てるエネルギー砲はなく、本船の対抗障壁は使用率ゼロのまま。

 量産小型装甲人形駆動兵器からの被弾ひだんが複数、船首ドクロに確認されています。

 ですが、実体弾による攻撃を想定していた時代の装甲はガチガチで、重大な損傷そんしょういまだに皆無かいむ

 サイコーにEdgeな旅行に出ているバカップルが、アホみたいに殺りまくっていますけど……

 危険な暴威ぼういのたくわえが、あきれるくらいにまだまだ弾薬庫にたまってます!

 AXEさんが敷設ふせつしてくれたバイオレンス・ロジスティクス・チューブで、バカップルが果てしなく殺りまくる弾も、どくんどくん最前線に送り込んでいます!

 エニグマ・メインフレームは、オーバークロックモードで演算処理を継続中!

 異次元異様要塞カルト・スターの構造解析こうぞうかいせきが終了するまで、前線はもちこたえられるはずです!


 タッヤのつぶらな瞳の前で、殺りまくりのバカップルが消費していく弾数が、カウンターがいかれるんじゃないかという速度で数えられてイク。イカレた暴威なアークが溜め込んだ、弾薬はまだまだ使い切れないくらいにあるし、船内工場はフル回転で弾薬と冷却材に交換部品を製造中!

 イービル・トゥルース号の臨時暫定指揮官りんじざんていしきかんを示す猫耳揺らす、タッヤのモフモフの頭部の中で、中枢神経細胞に思考が走り出す。


 あまりにも多数のザコキャラに押し寄せられるという、想定外の事態じたいはAXEさんのおかげで対処できた。

 砲も銃も弾も冷却材も、いまや陣地までもがある。

 前線の維持は可能と判断できる。

 あとは、突入するための内部構造解析ないぶこうぞうかいせきさえ終われば……

 イービル・トゥルース号なら……、中枢制圧までの時間、もちこたえられるはず……

 だけど……

 ここは、ラスト・ドンパチの最終局面……

 森羅万象宇宙戦艦アベンシゾーに、イービル・トゥルース号が戦いを挑んだ時、シンセティック・ストリームは何をした?

 学校指定の性的なカッコをさせられたロリショタ達が、ドデカいミスター宇宙戦艦様の甲板上に並ばされていた光景を思い出す……

 アベンシゾー記念小学校、総員学徒出陣そういんがくとしゅつじん

 知的生命体道的ちてきせいめいたいどうにあり得ない、外道げどう所業しょぎょう……

 そのことを考えれば……

 シンセティック・ストリームが非知的生命体道的な、外道の所業に今回も出る可能性は、これ以上ないというくらいに考えられる……

 シンセティック・ストリームが、我々の想定を遥かに超える、イッツァ! シンセティック・ストリーム! 的な外道の所業に出た場合……

 急襲突撃中枢破壊死隊(きゅうしゅうとつげきちゅうすうはかいしたい)とイービル・トゥルース号は、ちゃんと対処できるのだろうか?

 残酷ざんこく残虐ざんぎゃく暴虐ぼうぎゃくあふれる暴威ぼういと、今や大宇宙の脅威級に危険になった女のコであれば、非知的生命体道的な外道げどう所業しょぎょう突破とっぱすることができるのだろうか?

 残虐行為中の幸いにして、弾薬もある、冷却材もある、交換部品もある。

 だとすれば、あのふたりなら、どんな残酷な戦争だって、切り抜けられそうに私は思える。

 もしも、あのふたりを敵に回したら……

 ほんのちょっと考えるだけで、全身の羽毛うもう総毛立そうけだつ。

 あまりにも危険な、殺りまくりのバカップル。

 アーク……、あなたは、無免許もぐりの航海士と言っていますけど……

 間違いなく本物の戦争屋であることに違いはない。

 殺ろうと思えば戦争で食っていける腕の持ち主とは言え……

 アーク、あなたはいったいどれだけの銃砲と、弾薬の在庫を抱えれば気が済むんですか……

 ある日訪れた、イービル・トゥルース号の弾薬庫のことを思い出す。

 うず高く積まれた携行兵器用弾薬と、ドンパチのタネを運び込むためにアークが開発した、バイオレンス・ロジスティック・チューブがとぐろを巻く光景に、あきれかえったことを思い出す。

 あの時、アークがしていた話を思い出す。

 

 積極的平和主義者は、とにかくドンパチを始めたがる。

 だが、その後のことは何にも考えちゃいない。

 弾薬、燃料、部品、食料。そういう物資ぶっしの補給が前線には必要だなんて、まるきし考えちゃいねえんだよ。

 だからいつも、最初はいさましく突っ込んで、最後はひもじく悲惨ひさん末路まつろを迎えて果てることになる。

 俺達は積極的平和主義者の対極にいる、消極的戦争主義者。つまりは、仕事をするのが大嫌いな、ガチでバチバチなマジモンの戦争屋だ。

 万がイチのもしかして、積極的平和主義者が抑止力よくしりょくと呼ぶ武力をもって押し寄せてきた時のために、こうやって前線を維持するためのことを、俺はちゃーんと考えているというわけだ。


 あの時、荒い鼻息はないきでアークが話していた弾薬庫の回想から、タッヤは今現在に帰還きかんする。

 メインモニタとなったブ厚い硬化テクタイト製窓には、刻一刻と進む戦況が表示されている。

 ゾッとするような数を示す、シンセティック・ストリームの装甲人形駆動兵器達を表す黒点の群れ。

 対するは、蒼と紅で表示される、殺りまくりのバカップル。臨時りんじ構築こうちくした防御壁の内側で、活動している緑のマーカーはGTZに乗るAXEさん。ハジメとエイタ、二体のビッグメタルボディな野郎どもは、白い光点として表示されている。

 白兵戦が始まってからの時間を、ぐるぐる回るクロノメーターがカウントしている。

 まだ、戦闘開始からそんなに時間は経過していない。

 異次元異様要塞カルト・スターの中枢部ちゅうすうぶへの構造解析こうぞうかいせきはまだ終わっていない。

 構造解析こうぞうかいせきが終わったとして、本当に中枢への突入は可能なのだろうか?

 なんでも道にしてしまうという、シンセティック・ストリームは、知的生命体道をまったくもって歩まない。

 シンセティック・ストリームは、我々の想定そうていはるかに超える、非知的生命体道的ひちてきせいめいたいどうてき外道げどう所業しょぎょうにでてくるのだろうか?

 非知的生命体道を突き進む、シンセティック・ストリームの狂いきった攻撃がはじまったら……

 急襲突撃中枢破壊死隊は……、イービル・トゥルース号は……

 我々は、このラスト・ドンパチを本当に切り抜けられるのだろうか?

 タッヤのくちばしに力がこもる。

 このラスト・ドンパチに勝って、この宙域を逃げ惑っている一般知的生命体達を、私達は本当に救うことができるのだろうか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ