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海賊放送船イービル・トゥルース号の冒険  作者: 悪魔の海賊出版
モッキンバード侵攻作戦

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森羅万象宇宙戦艦 VS 海賊放送船

森羅万象宇宙戦艦 VS 海賊放送船




 逃げる海賊放送船。遅れつつもドッカンドッカン大砲をブッ放して追うSystem Schutzstaffel SSS主力森羅万象宇宙戦艦ガース・ヒーデ。宇宙の壮大な追っかけっこはまだまだ続く。

 ズッガーン! どっがーーん! ずっごーん! どっごーーん!

 対抗障壁によって相殺される、極大威力のエネルギーが生み出す余剰電磁波が船体に干渉し発生する、遠い雷鳴のような轟音に艦橋が揺れる。 

「対抗障壁領域後方に再び直撃」

 ミーマの冷静な状況報告が続く

「対抗障壁領域に問題なし。船体温度ほんのり上昇。補助動力冷却順調。まったく問題ありません」

 タッヤの計器読みが続く。

「SSS戦艦、かなーり遅れ気味ですが、まだまだまだまだ本船を追ってきます。本当にしつこいですね」

 AXEがレーダーの中心から離されていく、SSS特大宇宙戦艦のドデカイ光点をみつめてあきれ気味に言う。

「ねえ! アーク! またまたまたまた当ててきたよ! こっちは一発も撃ち返していないのに。これ、いい加減もう撃ち返してもいいやつだよねッ!? ね? ね? ね? ね? ね?」

サディがリンゴみたいに赤い瞳に、期待をみなぎらせてアークをみつめる。

 硬化テクタイト製窓の先をみつめ続けていたアークが、はじめてサディに視線をあわせる。

 サディの視線を受け止めるアークの瞳が、いつのまにかどんよりとにごっている。

「……。モッキンバード星の領宙域脱出までは?」

 アークが問う。

「現在の速度ですと、およそ三分」

 ミーマが状況を確認して返す。

「クソが……」

 ネガはアークの横で静かに毒づく。

「アーク」

 アークから漂う不穏な雰囲気に、タッヤが思わず声をかける。

 アークはタッヤに反応することなく自席から振り向き、艦橋最後部の艦長席に座るパンダ船長をみつめる。

「船長。もうじきモッキンバード星の領宙域を脱出します。今まで好き放題撃たれまくったのは、俺達が首都上空で盛大に花火をブッ放したから仕方ないとは思っていました。ですから、モッキンバード星の領宙域では好き放題させていたわけです。しかし、ここまで調子づいて、ドッカンドッカンズッコンバッコン、うるわしのこの船の素敵なケツに大砲を直撃されるのも、さすがにしゃくにさわってきたわけで」

 アークの急に丁寧になった言葉に、艦橋中に緊張が走る。

「モッキンバード星の領宙域を脱出して、なお撃ってくるのなら……。よろしいですか?」

 突然丁寧になったアークの言葉にも、艦長席に鎮座するパンダ船長は微動だにすることもなく、間髪いれず

「ぱふぉっ!」

 と答えた。

「アーク。船長はなんて?」

 サディがアークをみつめて言う。

「モッキンバード星の領宙域外、公宙域への脱出後に本船に対してまだまだぶちかましてくるようならば、本船の交戦を許可する。ただし、今のうちに話し合え。船長はそう言った」

 アークの言葉にAXEが反応。

「SSS宇宙戦艦に通信をつなぎます」

「アーク、通信の内容は海賊放送?」

 ミーマが操作盤上にある、ドクロが描かれた赤い放送開始のボタンをみつめる。

「いや、いい。放送はナシでサシで話す。サディ。万が一ということもあり得る。いつものヤツを用意しておこう」

 ぶ厚い硬化テクタイト製窓の先に存在する、もはやモッキンバード星の領宙ではない宇宙を、どんよりと濁った目でみつめてアークが言う。

「きたきたきたきた〜」

 アークから漂う不穏な空気を真横からひしひしと感じながら、サディは大喜びでいつものヤツの準備を開始する。

「アーク。SSS宇宙戦艦に通信がつながります」

 AXEの冷静な声が響き。

「クソがァァ……」

 と嘆くようにネガは毒づく。


 こちらは未開の宇宙の果てからやってきた、未開の野蛮人を満載した海賊放送船イービル・トゥルース号。船長代行をやっている無免許もぐりの航海士、すでによーくご存知のアーク・マーカイザックだ。

 さきほどからうるわしき本船の素敵なケツを執拗にストーキングし、ドッカンドッカンクソデカい豆鉄砲をぶっ放しまくっているドデカイミスター宇宙戦艦殿に告ぐ。

 いい加減にエネルギーの無駄づかいをやめやがれ。とご親切にもご代案をご提案するしだいだ。

 確かに俺達はモッキンバード星の領宙域に無許可で進入し、首都への無許可の急襲的降下を行い、首都上空でもちろん無許可で主砲発射までぶちかました。それは認める。お騒がせして悪かった。しかし、その一切の行為に侵略とか戦争などの意図はまったくなく、すべては海賊放送の宣伝のためのドスゲエ炎上商法と言うやつに過ぎない。その証拠に、本船はただの一発の直撃弾も出さず、貴殿らの軍、民間人を問わず、一切の被害を与えていない。撃ち落としたのはすべて貴殿らが積極的に放った対艦ミサイルのみであり、本船に攻撃の意図はまったくないことは理解していただけるものと判断したいが……。

 ドッカンドッカンズッコンバッコン、クソデカい豆鉄砲をこれでもかと撃ちまくる貴殿らの言い分を聞いてみたい。



 アークの言葉に、ドデカイミスター宇宙戦艦、ガース・ヒーデの艦長の答えはいかに?

 イービル・トゥルース号の暗いアイアンブルーとガンメタルグレイを基調にした艦橋に、はりつめた空気が流れる。



 ……Space Synthesis System中枢閣直属System Schutzstaffel モッキンバード宙域安定平定平和統一連合艦隊旗艦、森羅万象宇宙戦艦アベンシゾー弐番艦ガース・ヒーデ、司令艦長のヘル・オトス親衛隊大将オーバーグルッペンフューラーである。

 貴様らはSpace Synthesis Systemをコケにし、System Self-Defense Force SSFを愚弄した。貴様らはSpace Synthesis Systemの平定を、銀河の平和を乱すテロリストに過ぎず、徹底的に積極的平和力の行使を持って、思想及び生物学的に完全に平定され、平和統一なされければならない唾棄すべき存在だ。

 おおかたアンチ・エネルギーシールドの耐久限界を迎え、逃げ切れるわけもなしと通信をしてきたのだろうが、その手にはのらん。徹底的に積極的に平和力を行使し、貴様らの思想を生物学的に完全に平定、平和統一してくれるッ!



 SSS主力宇宙戦艦の純白と鮮烈な赤の二色で彩られた、ドブラックな壺鉤十字の戦闘指揮所からやってきた返事はこうだった。

 アークは肩を落とし、深くため息をつくと話はじめた。

「……こちらは未開の宇宙からやってきた野蛮人満載の海賊放送船なわけで、そしてもうじき本船はモッキンバード星の領宙域を脱出する。ここから先は俺達未開の野蛮人の野蛮なルールでもって、いちじるしく野蛮に物事を運ばせていただきたいものだが、それでよいということか?」

「貴様らはSpace Synthesis Systemをコケにし、System Self-Defense Force SSFを愚弄した。そして貴様らは、モッキンバードタウンを守ろうと特攻したヘル・ツゲル課長中佐 (二階級特進)の命までもを散らした許しがたき平和の敵である。徹底的に積極的平和力を行使し、貴様らを思想的に生物学的に完全に平定、平和統一するのが我の答えだッ!」

 そこでドデカイミスター宇宙戦艦からの通信は途絶えた。

「特攻? 命までもを散らした? そんなヤツいたか?」

 アークが怪訝な顔で艦橋を見回す。

「心当たりないなぁ。少なくともあたしは落としてない」

 サディが両手を広げて肩をすくめる。

「ネガ?」

「クソが」

 アークとネガの会話は秒で終了。

「いなかったですよ。そんなの」

 船の状況把握につとめるミーマが、緑の瞳を?マークにして答える。

「最後に単機突入してきた戦闘機は、しっかり回避して離脱していきましたし」

 レーダー担当のAXEが言う。

「特攻機が直撃したら、船体が汚れて清掃が必要になりますよね。そうしたら余計な仕事とゼニーがかかりますから、私が気づかないはずがありません」

 タッヤがやたらと現実的に、特攻の被害を語る。

「イクト?」

 アークがロボット乗組員のイクトに視線を向ける。

「トッコウキガイタトイウノナラ、リョウシュウショヲダシテミロ」

 いったいどこで覚えたのか、ロボットらしからぬ意味不明めいたことを、いかにもロボットらしくイクトは言った。

 アークはヘッドセットのマイクスイッチを入れる。

「機関長、コタヌーン殿。メインエンジンに突っ込んで、燃え尽きたアホとか実はいたのか?」

 アークの言葉に、機関室のコタヌーンは仰天する。

「そんなアホがいたら、いまごろこの子が仰天して、この船は飛んでるどころではありませんわぁ」

「だよな……つまり……」

「そんなヤツ、いないってことなんじゃ?」

 乗組員達の声が見事にハモった瞬間、次のドデカイミスター宇宙戦艦からのクソデッカイ豆鉄砲が対抗障壁領域で見事に相殺される光が硬化テクタイト製窓にまたたき、遠い雷鳴のような轟音が艦橋を揺らす。

 極大威力のエネルギー兵器が相殺される際に発生する、電磁的衝撃が船体をわずかにぶれさせ、ずらかる逃走進路を狂わせる。

「クソがァァァ……」

 銀河最速の逃げ足で宇宙を駆け回り、ドデカイミスター宇宙戦艦に、うるわしい本船のケツを向け続けるべく奮闘するネガは、操縦桿を握りしめて毒づく。

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