デートの前に前線へ
デートの前に前線へ
こちらサディ！ 急襲突撃中枢破壊死隊（きゅうしゅうとつげきちゅうすうはかいしたい）！
我ら、すでに突撃刺突衝角内部に装填済み！
阿呆駄郎のケツのお穴にブチ込んで、おナカのオクにおナマの暴力をどッくんどくん注ぎ込む準備は全部完了ッ！
いつでも殺れるよッ！
臨時暫定指揮官を示す猫耳付きヘッドセットに響く、白銀の髪をきらめかせる危険なあの娘のバイオレンス・ボイス。
イービル・トゥルース号は、あとちょっとオクまで入れますッ！
できる限り前進し、ほんの少しでも中枢部に接近します！
急襲突撃中枢破壊死隊（きゅうしゅうとつげきちゅうすうはかいしたい）は、突撃刺突衝角内でちょっぴり待機。
イービル・トゥルース号の侵入限界地点で、突撃刺突衝角の先端隔壁を開放します！
そしたら、遠慮なくヤッちゃってください！
アイアンブルーとガンメタルグレイで構成された艦橋で、臨時暫定指揮官を示す猫耳をピクピクさせて、タッヤが言った。
ミーマ・センクターお姉様が、前代未聞、空前絶後、史上空前の状況説明を開始する。
これよりイービル・トゥルース号は、超巨大異次元異様要塞カルト・スターのおナカのオクにとどまって、急襲突撃中枢破壊死隊（きゅうしゅうとつげきちゅうすうはかいしたい）がsynthetic stream中枢閣を破壊して帰還するまで、なんとしてでも持ちこたえるたんだよぉ。
本船は実体弾が主流だった時代の極厚装甲に身を包み、驚異的な持久力と硬さを持つ、タフネス極まる驚愕驚異の宇宙戦艦だ。
とは言ってもねえ、だまってゴロンと寝転がって、あらゆる攻めをものともせず、永久にグニャリとならないほどの持続力を持っているわけじゃないからねえ。
異次元級にクッソ怪しい壷型要塞に、グバァッとあいたユルッガバ一本道にブッ込んだ極太宇宙戦艦を相手に、機動兵器が立ち向かうしかない展開は、私が知る限り今までない。
前代未聞、想定外の史上空前的なドンパチだ！
勝負はどう転ぶかわからない。
つまりは、あちらがこちらをイカせるか？ こちらがあちらをイカせるか？
先にイッタらさようなら。
そういうエッぐい勝負になっちまったと、状況を判断せざるを得ないわけさ！
銀と金の瞳がギラつくお顔を、厳しい緊迫感に引き締めながら、ミーマ・センクターお姉様が状況を判断した。
「各種センサーからアラート！ イービル・トゥルース号、これ以上の侵入は艦橋が周囲に接触します！」
これ以上進むと、そそり立つ艦橋がおナカの壁に直接触れてしまいますと、あらゆるセンサーがAXEに告げている。
「くそがぁぁ！」
ネガがもっとも愛するリバースペダルを、ブーツで踏み込む。
船首のドクロにあいた、すでに眼球など存在しない真っ黒いふたつの眼窩から、青い炎が噴射。
要塞の重力にひかれてイービル・トゥルース号がこれ以上前進しないように、繊細な操縦に没頭する銀河イチ逃げ足の速い操縦士。
「皆殺スか？ 皆殺サレるか？ 重大な問題が面白くなってきやがった」
そう言ったのは、サディ席に座るイクト・イチバチ。
「ロボットニ！ ジンケンヲ！」
イクト・ジュウゾウが、アイアン・フィストを天へと突き上げて、ラスト・ドンパチに立ち向かう意志を表明！
「お時間です！ おふたりきりで、ひたすらの殺りまくり！ サイコーにEdgeなご旅行へ！ いってらっしゃいませ！ バカップル！」
タッヤが高くかかけだ羽先を、白骨化したユニコーンが描かれたゴツいレバーへ振り下ろす！
「突撃刺突衝角！ 先端隔壁開放！！ 急襲突撃中枢破壊死隊出撃（きゅうしゆゅうとつげきちゅうすうはかいしたいしゅつげき）！」
ガッチャコンッ！ と倒されるゴッツいレバー。
いま、イービル・トゥルース号が満載する暴力が解き放たれる時がきた！
太くて長くてさきっちょがマジでヤヴァイ！ 邪悪なる真実号の最先端が華開く！
アイアンブルーのクッソぶ厚いメタル隔壁には、知的生命体を巨大な鎌で切り刻む死神の蛮行が刻まれている。
地獄への門みたいな不気味な扉は、突撃刺突衝角の先端隔壁。
ヘヴィでハードな隔壁に描かれた、残虐レリーフがパックリと割れてイク。
この先に広がるのは、超巨大異次元異様要塞カルト・スターのおナカのオク。
無機質で無骨な管の中で、あたしとあいつはふたりきり。ふたりのお供はハードでヘヴィなメタルボディの野郎ども。
ここから先は、なにもかもがあたしとアークをよってたかって殺しに来る。マジクソヤッヴァイ殺戮の炉心。
あたしの前に立つ、ブルーナイトメアの左腕は、クッソブ厚い巨大な盾に換装されてる。
片腕を失ったブルーナイトメアは、単騎で戦う前提を放棄した。
あたしとキャンディ・アップルレッドを防衛することを主目的にした、財務的に悪夢みたいなタフネスハードヘヴィマシーン。ブルーナイトメア・ウォール オブ DEATH カスタムが、あたしの前に巨大な壁となって立っている。
synthetic streamにとって死の壁となって立ちはだかる男に守られる、通常の三倍以上にかわいいあたしが駆るのは、マジで危険なマシンガン・サディ様専用機、キャンディ・アップルレッド・ホーリウォールデストロイヤー！
通常の二倍以上に武装を盛り盛りの素敵な暴力装置は、超巨大異次元異様要塞カルト・スターの大事な大事なタマを蹴っ飛ばしてブッ潰す！
そして、あたしの両脇をかためてるのは、追加ボディでもって重機動兵器になったハジメとエイタ。
たったふたりの野蛮生命体を補助するビッグメタルマシーン二機。総勢四騎で殺戮の炉心に挑む、急襲突撃中枢破壊死隊（きゅうしゅうとつげきちゅうすうはかいしたい）！
あたしとあんたの邪魔をする、どいつもこいつもブッ殺し、明後日には、ふたりでひとつのパッフェを食べて、その流れでひとつのベッドにふたりはインしてラッブラブ！
デートの約束取り付けて、ふたりが行き着く果てまでいたっちゃう、あっまあまな予定が決まってんだよ！
もう殺りまくるしか、デートの日まで殺ることないよねッ！
たったふたりで突入する地獄へと続くメタル門が、開き始める。
「いくよぉぉ！ アークッ！」
あたしの問いに
「おうよ！」
と答えるあいつの声。
ふたりの言葉が交わされた。
マジクソヤッヴァイこの先に、あんたとならあたしはイッてもいいよ。
ふたりの合意が確認された。だからあたしは、あんたとマジでクソヤッヴァイ領域の先へと突っ込むよ。
ついに開いた地獄の門に、サディが吠える！
エッぐい戦闘服でぶっ殺すほどに着飾った、めっちゃかわいいハードでゴアな女王様のおでましだぁッ！
総員右向け右で前にならって雁首並べ、頭を垂れてひざまづいて床なめて、あたしの道になりやがれぇぇぇ！！
紅い高分子連鎖素材で包まれて、漆黒のメタル・ネイルがギラリと映える、サディのお手々が引き金を引絞る。
キャンディ・アップルレッドの左肩、極厚シールドの内側に束ねられた六本の銃身が高速回転。
ブルーナイトメア・ウォール オブ DEATH のハードでヘヴィな極厚シールドに守られた、キャンディ・アップルレッドが龍が如く紅蓮の炎を吐き出す。
ヘヴィマシンガンから秒間100発吐き出される、直径20ミリ銀河標準メートルの死神達。音速を突破した死神の群れが、カルト・スターのおナカのオクへ向かって飛んでいく。
イービル・トゥルース号内部からのびる弾帯が、キャンディ・アップルレッドのナカへと飲み込まれ、真鍮の輝きがきらめく薬莢吹雪となって舞いまくる。音速を突破して飛び出して行った死神達が残した抜け殻が、アイアンブルーのフロアに落ちるたび、冷たい金属音を響かせる。
急速に加熱していく六本の銃身を冷却するために吹き付けられる冷却材が、あっという間に蒸発して虚空へと消えていく。
暴れる暴力装置が機体を振動させて、紅い革張りバトリングシートに拘束されている、サディの内臓をゆさぶる。
無機質で無骨な衝角の内部までもを震わせて、臓腑をむさぼろうとする死神達の舞踏が続く。
一秒、二秒、四秒、そして八秒。
死の雄叫びあげる10秒間に千の死神を解き放ち、キャンディ・アップルレッドが制圧射撃を一時停止。
撃ちかたやめで、長い長い1銀河標準秒が経過する。
でも応射はなかった。
「行くぜ、サディ。たったふたりで前線へ」
絶叫するドクロが描かれた巨大な盾をかまえ、ブルーナイトメア・ウォール オブ DEATH が前進を開始する。
その背に続くのは、あらゆる武装を満載にしたキャンディ・アップルレッド・ホーリーウォールデストロイヤー。
ハードでヘヴィな追加ボディで重機動兵器化した、メタル野郎が左右を固める。
突撃刺突衝角の先に広がる、超巨大異次元異様要塞カルト・スターのおナカに、アークとサディはついに踏みこむ。
