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海賊放送船イービル・トゥルース号の冒険  作者: 悪魔の海賊出版
第六部

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帰ってきた無免許もぐりの航海士

帰ってきた無免許もぐりの航海士




 イービル・トゥルース号のメタル回廊かいろうを、バトルブーツのえっぐいソールで火花を散らして、赤い瞳の女のコが駆けていく!

 ガツン! バチュン! ガツン! バチュン! ガツン! バチュン! ガツン! バチュン! 

 メタルヒールとメタルフロアがぶつかって、赤い火花がきらめきながら散っていく。

 逃げるネズミを追いかけまわす猫みたいに、サディはめっちゃ体重軽い身体をかっ飛ばす!

 超絶密着バトルスーツ姿の女のコが肩にかついでいるのは、残酷ざんこく残虐ざんぎゃく暴虐ぼうぎゃくあふれる暴威ぼうい、アーク・マーカイザック!


 あたしのねらいどおり、突撃刺突衝角とつげきしとつしょうかくはアークの間近をブチ抜いて、アークはきっちりブチ抜かなかった。

 あたしとキャンディアップルレッドは、アーク及びブルーナイトメアの回収に大成功。

 ブルーナイトメアは左腕がついてないけれど、アークは手も足もちゃんとついている。

 だけどアークは、どういうわけか現在意識不明!

 意識不明のアークとあたしは、ただいま艦橋に向かって高速移動中!


 刺激的過ぎる床ドンかまして意識を刈り取ったアークを肩にかついだサディが、メタル回廊かいろう疾走しっそうしながらヘッドセットマイクにがなる。

「ちょっとおぉぉ、現在意識不明って、本当にダイジョウブなんですかぁぁ!?」

 突撃刺突衝角が運悪くブルーナイトメアを串刺くしざしにしている光景を思い描いて、艦橋でぶるぶるしているタッヤの悲痛な悲鳴が悲劇の予感にふるえてる。


 中枢神経細胞を格納かくのうした骨格には、穴のひとつも開いていない。

 だから中身がドロドロダラダラ、お外にれ出ちゃっているわけじゃない。

 手も足もちゃんとあるし、おちんたまがとれたり、つぶれたりもしていない。

 たった一機で出撃する時に、アークのボディアーマーのロックに挟んでおいた、あたしの髪はちゃんと残ってた。

 つまりアークは、一度もボディアーマーを外してない。

 ボディーアーマーを外さないと、アークはおちんたまをお外に出すこともできやしない。

 つまりアークは、他所様よそさまのとこでパンツを下ろしていないということ。

 簡易検査で、アークの主砲が他所様で無駄弾を撃ってないことも確認できた。

 だからアークはダイジョウブ。とりあえずそれであたしは大満足だ。

 そして何よりさっき、ちょっとアークの意識が戻って、あたしとあまーい会話をしたりもした。

 大宇宙を満たす星の海を駆け抜けてやってきた、あたしの素敵なお姿見たら安心しちゃって、お昼寝でもしてるんだろうね。

 だからアークは、絶対にダイジョウブ!

 それにしても、まったく、手のかかる暴威ぼういだよ。

 血やらなんやらでドログチャに船外戦闘服が汚れていたから、エアロックのシャワーできれいにアークを丸洗いしてきたんだよ。

 気密バッチリの船外戦闘服って言ってもさ、他の女が分泌ぶんぴつした体液とかついてたら、あたしゃどうにもたまんないから、船外戦闘服姿のアークを全身きっちりキレイに消毒もしたんだよ。

 アークと一緒に事後じごのシャワーを楽しんだおかげで、あたしのボディースーツまで全身綺麗さっぱり消毒まで済んでるわけさ!

 ホントは船外戦闘服なんかナシの丸裸、そういう状態でふたりのシャワーを楽しみたいんだけどねぇ。

 いまはドンパチの真っ最中! そんな贅沢ぜいたくは言ってられないよねッ!


 臨時暫定指揮官りんじざんていしきかんを示す猫耳付きヘッドセットに届く通信に、タッヤは眼の前が真っ暗になる。

「ちょっとぉぉぉ……。いったナニを言っているんですかぁ〜」

 タッヤの悲痛な悲鳴から悲劇的な感じが消えてきた。

「意識を失うほど、あまい会話だった。ということですかね」

 かつて眼の前で、ハードに抱き合うイチャコラをみせつけられた、AXEが冷静に言う。

「さすがにいま、失神するほどやっている時間はないものと状況を判断するけどねぇ……」

 かつて、艦橋の中で行われたマニアックプレイの一部始終を聞いていた、ミーマが変身したセンクターお姉様が、ため息まじりに状況判断。

「まあ、でも、絶体絶命の危機ってのは、燃えるものだったりするからなぁ」

 と機関室からコタヌーン機関長。

「そういうことは、あとでじっくりがいいのかもしれません」

 と言ったのはオクタヌーン機関副長。

「センソウヲヤッテイルンダゾッ!」

 イクト・ジュウゾウが吐き捨て

「くそがぁぁッ!」

 とネガは激しく毒づく。

 勝手に動いた罪で無期限謹慎処分中むきげんきんしんしょぶんちゅう、メタルケーブルぐるぐる巻き刑にふくすパンダ船長は、ドンパチの真っ最中にイチャコラしている乗組員ふたりに対して、特に注意はしなかった。


 ぷっしゅー

 アイアンブルーとガンメタルグレイで構成された艦橋の、ハードでヘヴィなメタル耐圧扉が開く。

「ただいまぁッ!」

 意識不明状態のアークを肩にかついだサディが艦橋に突入してくる!

 ガツン! バチュン! ガツン! バチュン! ガツン! バチュン! ガツン! バチュン!

 船長、ジュウゾウ、タッヤ、AXE、ミーマ・センクターの間を、アークを肩にかついだサディが、バトルブーツのえっぐいヒールから火花を散らして駆け抜ける。

「無免許もぐりの航海士がお帰りだ! えいッ!」

 サディが肩にかついでいたアークを、艦橋最前列中央のめいいっぱい倒したシートに、えいやっ! と放る。

 めいいっぱい倒したイカついシートに、ボスン! と音を立てて、アークが収まる。

「うーん……」

 ぶん投げられた衝撃しょうげきにうなるアーク。

「ジュウゾウ、大至急医療だいしきゅういりょうスキャンを。生体重要機関の確認が必要です」

 AXEが冷静に、ジュウゾウに指示。

「いかに常軌じょうきいっした危険な暴威ぼういと言えど、意識不明の状態でシートに放り投げるのはまずいんじゃ? ないかねぇ……」

 ミーマ・センクターお姉様が、眼の前で行われたお蛮行ばんこうにお顔が真っ青。

「これくらいで死ぬのなら、200銀河標準年くらい前から今日までに、こいつは最低400回くらいは死んでるよ! あたしはこいつがイチ銀河標準年ごとに一回死ぬのだってみたことがない。だから絶対ダイジョウブ!」

 ジュウゾウからの医療チェックのために、アークの身体からボディアーマーを次々にひっぺはがしながら、サディは言った。

「ちょっとぉぉ、いくらなんでも、無茶苦茶過むちゃくちゃすぎるんじゃないですかぁ……」

 数で計算したら確かにそうですが、いくらなんでも無理が過ぎる理屈りくつだとタッヤが言った。

「こいつはもとより普通じゃない! だからこれぐらいでちょうどいいのさ!」

 真っ赤なリンゴみたいに赤い瞳をギラギラさせて、口元を正体不明の欲望にゆがめながら、アークの上半身を包むアンダーウェアをお手々で引き裂きひっぺはがして放り捨てるサディ。

「ほほー! あいかわらず良い胸をしておるなぁ! アーク・マーカイザックぅ!」

 危機的状況のど真ん中であらわになった、ガチでバチバチな男のハードでマッチョな厚いお胸をみつめて、牙のような犬歯をむいてニヤリと笑うサディ。

「く、くそが……」

 真横で行われている無慈悲むじひ衣服剥奪行為いふくはくだつこういと、むき出しの欲望がただよわせる異様な空気に、ネガはおびえて静かに毒づく。

「ジュウゾウ! 検査じゃ検査! こいつがパーティ会場で変な病気をもらってないか、しっかりきちんと調べるのじゃ!」

 上半身ハダカのアークを前にして、表情がおとろけになられているサディが、ジュウゾウに来い来い来いと手招てまねき。

 ガチャコン駆けつけたジュウゾウがめいいっぱい倒したシートにおおいかぶさり、サディが見事に上半身を裸にいたアークの身体に青い光を照射する。

「コッカク、ヨシ」

「シンケイサイボウ、ヨシ」

「ゾウキ、ヨシ」

「バイタルサイン、ヨシ」

 ジュウゾウが、アークの状態を次々に確認していく。

「他の女が分泌ぶんぴつしたと思われる体液の付着ふちゃく。毛髪、あるいは体毛等は?」

 真っ赤なリンゴみたいに赤い瞳をギラリと光らせるサディから、ジュウゾウの医療チェックに注文がつく。

「ソノヨウナモノハ、ケンシュツサレナイ」

 ジュウゾウの言葉に……

「ほらね? このままぺろりとめてもダイジョウブなくらいに、アークはキレイな身体ってことだろう?」

 真っ赤なリンゴみたいに赤い瞳をギラギラさせて、舌なめずりするサディ。

「ああ……。アーク……。お願いですから、はやく目をさましてください……」

 大宇宙の科学技術がうみだした叡智えいちを集結させた、えっぐい密着度のバトルスーツに身を包んでからというもの、戦闘以外の分野においても通常の三倍どころではない危険領域を見せ続けるサディに、ガチでおびえつつあるタッヤが言った。

意識喪失いしきそうしつの原因は?」

 あいかわらずの常軌じょうきいっしたイチャコラをものともせずに、AXEが冷静にジュウゾウに問う。

「オソラク、キョウレツナ、ブツリテキオヨビ、セイシンテキナ、ショウゲキ」

 ジュウゾウが、めずらしく静かに言った。

「ニューコンチネンタルオーダニー号のパーティ会場で。いったいナニやってたんだかねぇ……」

 金と銀の瞳のうえでまゆをひそめて、ミーマ・センクターお姉様が言う。

「失神するくらい、刺激的なパーティだったのかなぁ」

 機関室からコタヌーン機関長。

「失神するくらい、刺激的な救出劇だったのかもしれません」

 と言ったのはオクタヌーン機関副長。

 もしもここが、アニメの中にある世界だったらありがちな、不必要に思える無慈悲むじひ衣服剥奪行為いふくはくだつこういによって発生している、上半身マッパ状態の大ラッキー大サービスをガン無視して、絶対の冷静さをたもったAXEが話し出す。


 無免許もぐりの航海士は無事だった。それは喜ばしいことではありますが……

 今が緊急事態きんきゅうじたい只中ただなかであることを忘れてはいけません。

 旗艦をブチ抜いた本船の蛮行ばんこうがみせつけた衝撃的光景に、一般知的生命体の船はようやく正常性バイアスから解き放たれて、避難行動を急速開始。

 旗艦を失った公厳警察System Schutzstaffel混成艦隊はビビッて硬直中どころか、様々な方角に散り散りにぶっ飛んで行きました。

 旗艦の完全沈黙と、眼の前で司令官もろとも皆殺しをみせつけられた。

 さらに巨大移動要塞の登場……

 それが意味するものは……

 synthetic stream混成艦隊である自分達もまた、みてはいけないものをみてしまった組に入ってしまった。

 つまり、これから自分たちも口封くちふうじのために抹殺まっさつされることを察知さっちして、この宙域からの逃走を開始したものと思われます。


 AXEが冷静に、レーダー盤に表示される状況を報告。

 そして、ボンキュッボンの素敵なラインを描く身長2銀河標準メートルの褐色かっしょくボディに、ガッチバチのベルトとバックルだらけの軍隊仕様のバトルスーツに身を包んだ黒髪ロングのミーマ・センクターお姉様が状況判断を開始する。


 無免許もぐりの航海士は、パーティ会場でどんなプレイをしたのやら……

 失神状態ではあるけれど、本船にようやくご生還せいかん

 synthetic stream混成艦隊は、自分たちもケツの穴にもブチこまれてつらぬかれ、かきまわされてわからされて消されそうだから、小さなケツの穴から中枢神経細胞までとどいちまった恐怖にふるえあがってバックレだした。

 もみもみされてつぶされて消し去られ、名簿めいぼ破棄はきしていなかったことになるはずだった、一般知的生命体が乗る船はどれもこれもまだ生きている。

 イービル・トゥルース号がマジモンの本番行為でガンガンに殺りまくった成果だよぉ!

 でもねえ……

 超巨大移動要塞がこの宙域にやってくるとなれば……

 どいつもこいつも皆殺みなごろしてみつぶして口封くちふうじ!

 このねらいにかわりはないし、ガチでヤヴァイ方向に状況は進行しつつあると判断せざるを得ないねぇ……


「万がイチのもしかして、ブルーナイトメアごとアークを突撃刺突衝角でブチ抜く可能性を無視して、超絶特急でアークを救出してかせいだ時間です。余裕よゆうが山ほどあるわけではありません」

 タッヤが頭の中でバンソロをはじきだす。

「耳にミルキーウェイでも流し込めば、びっくりして起きるんじゃないかなぁ」

 機関室からコタヌーンが、そんなのありなんですか的発想を提案。

「ミルキーウェイでなくてもいいのではないかと思います」

 と言ったのはオクタヌーン。

「耳にふっと、あたしの息を……」

 鮮血せんけつみたいに赤い口紅くちべにひいた唇で、ニヤリと不敵ふてきにサディが笑う。

「くそがぁぁッ!」

 いい加減にイチャコラをやめやがれ! とネガは毒づく。

「チョットハ、フツウニカンガエヤガレ」

 ジュウゾウがロボットらしくメタルボイスでまともなことを言い、メタルハンドでアークをやさしく揺する。

「オキロ、オキロ」

「うーん……」

 ジュウゾウのメタルハンドにゆすられて、アークのお目々が開き出す。

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