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海賊放送船イービル・トゥルース号の冒険  作者: 悪魔の海賊出版
第六部

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突撃艦アインザッツグルッペン号の冒険

本話は最後に、重要注意事項が記載してございます。

必ず最後までスクロールして、重要注意事項をお読みください。

突撃艦アインザッツグルッペン号の冒険




 次々にりかかってくる現場責任におそれをなして、役職持ちが次々に自決じけつ決意けつい即時決行そくじけっこう

 9mm平和力が音速突破おんそくとっぱ突入劇とつにゅうげきで生み出した、真っ赤な体液だらけの平和力行使がドッバドバッ!

 あちこちに9mm 平和拳筒へいわけんどうと死体が転がり、流れ出した体液が描き出した、生き地獄から見事に脱出おめでとうございますの祝辞しゅくじが、のたうつおきょうのように戦闘指揮所の各所にきざみつけられている。

 おテレビによくご登場なされるご立派なお肩書のお文化人。いわゆる、おテレビお文化人様と呼ばれる、変なメガネの御用学者ごようがくしゃが声たかだかにご提唱ていしょうなされる、集団自決理論しゅうだんじけつりろんが今まさに実行されたのだ!

 そして、最終的に責任者が誰もいなくなった戦闘指揮所は、不気味な沈黙に包まれていた。

 自分たちより上位の存在が集団自決を決行した今! 

 すべての責任が末端にいる役職なしのヒラ権畜達に襲いかかってくる!

「み、みんな死んだ……」

 私はただ、上司の命令を聞いただけ。

 そう言って切り抜けて逃げきって、これからもSpace Synthesis Systemで公権力様がくれるお給料で生きていこうと思っていた権畜達も、さすがにこの惨状さんじょうを前にしたら、その心中はおだやかであるわけがなかった。

「ど、どうする? 現場責任の現場判断の全責任をおっかぶせられる、中間管理権畜ちゅうかんかんりけんちくはみんな死んでしまったぞ……」

「中間管理権畜がいなくなってしまったら……、この現場の全責任は、俺達ヒラ権畜に押し付けられるんじゃないのか……?」

 絶望的なつぶやきが、ブツブツとあちらこちらで漏れはじめる。

「こんな状況のナカで、大自民統一教会党が作り上げた超巨大移動要塞が……」

「もう、ザヤカを見る会など、なんの意味もないどころか……、みてはいけないものをみてしまった、不都合極まる会なのだぞ……」

「あり得ない……」

全忖度ぜんそんたくの実行失敗……。全隠滅力喪失ぜんいんめつりょくそうしつ……」

「こんなことは想定外だ……」

「あり得ない……」

「こんなことが、俺の身に起きるなんてあり得ない……」

 残されたヒラ権畜達の間に、さらなる不気味な空気がただよただよう。

 ザヤカを見る会とは、ついに完成した超自民要塞フミア・ザヤカのお披露目会ひろめかい……

 だが……

 ザヤカを見る会は、すでに見てはならない会になっている……

 なのに……

 盛大せいだいにご披露ひろうする予定の超自民要塞フミア・ザヤカが、この宙域に接近してくるなんて……

 そんなことはあり得ないのだ……

 今や見てはならないものを見てしまった会となった、ザヤカを見る会へ参加した一般知的生命体は、すべて生物学的にきれいにBANして現実を修正する!

 つまりは、今後発生しうる誹謗中傷ひぼうちゅうしょうを事前に防止する忖度そんたくが実行されて、すべては何事もなかったことになり、平和を回復するはずだったのだ!

 ザヤカを見る会に参加している知的生命体に、超自民要塞をお披露目ひろめすするようなことはもう……

 なんの意味もないはずだ。

 だとしたら? だとしたら!?

 ぐるぐるめぐる悪い空気に、ぼそぼそと権畜達の言葉が漏れ出していく。

「知っているか? 弐番艦のガース・ヒーデが、積極的平和推進使節団の旗艦として出発し……。結局、帰ってこなかった時……。積極的平和行動を共にした艦達は、たったのひとつも帰ることはなかったのだ……」

 権畜の一人がぼそりと言った。

「同行した三番艦のキシガ・イフミーオすらも、帰ってこなかったのだ……」

「艦隊の旗艦が戻ってこない時は、その僚艦達りょうかんたちもたった一隻だって、絶対に帰還きかんしてこないんだ……」

「サイコ・キシガ・イフミーオを作って誤魔化ごまかしたように……。サイコ・アベンシゾーが作られて、この宙域であったすべてはなかったことになる……」

「サイコ・キシガ・イフミーオも、辺境銀河へんきょうぎんがの未開テロ国家惑星に、積極的平和推進使節団として出発し……。二度とは帰ってこなかった……」

「そして……、サイコ・キシガ・イフミーオに同行した艦達も……」

 次々に、口にすることをはばかれていた不気味な噂話うわさばなしが、あちこちで漏れ出す……

「貴様は知っているか? Big Synthetic Empire時代にあったという、いにしえ伝説的なツー・ツー・シックス事件を……。まずいことにかかわってしまった者は全員自決か、いろんな名目めいもく死地しちに送り出され……、抹殺まっさつされる運命なのだ……」

「Big Synthetic Empire時代、大宇宙戦争で無惨むざんに散った、絶対浮沈ぜったいふちんと呼ばれた大航宙母艦タ・ケ・ゾーが沈んだ時……。わずかに存在した生き残り達は、その後は全員最前線に送られて戦死することになったのだぞ……」

「だとしたら……。この宙域で、絶対安全安心の不沈艦と閣議決定された、森羅万象宇宙戦艦アベンシゾーが沈むのをを見てしまった俺達は……」

 サブモニターにうつる、逃げまどう一般知的生命体が乗る船の映像が、権畜達の視界にチラリと入る。

 圧倒的多数様の僕様達が、積極的平和主義による平和力積極行使でみつぶして消し去って、きれいさっぱりと平和を維持しようとした行為が、中枢神経細胞のおナカを翔け巡る……

 この宙域に接近してくる、超自民要塞フミア・ザヤカの前では……

 僕様達は一般知的生命体と同一の、もみもみつぶして消し去って、きれいにさっぱり処分されるべき存在なんじゃないか?

 この宙域から生きて帰った後、絶対殉職確定ぜったいじゅんしょくかくてい過酷かこくな現場に送り込まれて、ゆっくりじっくりたっぷりと隠滅行為いんめつこういですりつぶすより……

 いまここで超自民要塞フミア・ザヤカによる、ビリビリパッパとしびれるような、すみやかなる隠滅行為いんめつこういがおこなれるほうが、圧倒的にタイパもコスパもいいのでは?

 権畜達の思考が、ぐらりとれてかたむいて……

 Space Synthesis Systemの平和を維持するために、次にみされて、ドログチャにつぶされて、きれいさっぱりお掃除されるのは我々なんじゃないか?

 そういう自明じめいの結論が生み出すマジモンの恐怖が、おナカのオクまでぐるぐるとかきまわしてわからせる。

 嗚呼ああ……

 絶対的な絶望だ……

 ドブラックな壺鉤十字つぼかぎじゅうじも真っ青な、マジでお先真っクロくらい未来……

 圧倒的な権力を持つ権力様が、おまえはもう用済ようずみどころか、今はもう邪魔な存在なのだと、明示めいじはしたが明言めいげんはしていないのとおんなじだ……

 どいつもこいつも総員右向け右で前にならって雁首並がんくびならべ、積極的平和行動みんなでヤレば怖くない! でここまでノコノコやってきてしまった僕様達は、何もかもがめちゃくちゃになってしまった現実の前で、ただただ黙ってうなだれている。

 その最悪な空気の中で、誰かがボソリとなにかを口にした。

「この突撃艦は……、まだ、無傷なんダゾ」

 最悪の空気がぐるぐるめぐる戦闘指揮所の中心で、誰かが言ったその声は、循環空気をがらりと変える、奇跡きせきみたいな一言だった。

「そうだ! 我らが突撃艦! アインザッツグルッペン号はまだ無事なんだ! 38口径ニューナンボ・オッマポ砲は、一般知的生命体を一方的に制圧して圧倒できるのダゾ!」

 誰かのつぶやきに、誰かが呼応こおう

「非武装の一般知的生命体が相手なら、突撃艦は無敵なのダ! 絶対的な強者様は、つまり権力様なのダゾ!」

 完全なる絶望という暗闇のナカで、誰かがみつけた希望に、権畜達が殺到さっとうする!

転進てんしんだ! この艦を転進させて、我々は華麗かれいなる転身てんしんをはかるのダ!」

見事討みごとうち死になされた、マニュータ・ロー副総統陛下も、復讐ふくしゅうなど一切望んでおられないッ!」

「何もうまない復讐ふくしゅうなどではなく、もっともっと生産性の高い、転進てんしんを行って華麗かれいなる転身てんしんをはかり、今より高収入を目指すべきなのダ!」

「そうだ! ド旧式ドクロ艦に対する復讐ふくしゅうなど、何も生み出さないコスパもタイパも最悪の愚行ぐこうなのダ!」

「独立だ! サラリー権畜を、俺達は卒業するべきなのダ!」

「転進! これは撤退でも敗北でもない! だって前に進んでいるのダ!」

「転身するぞ、転身するぞ、徹底的に転身するゾ!」

「転進! 転進! 機関全速全力! 新たなる進路を邁進まいしんし! ち死にされたマニュータ・ロー副総統陛下の分まで、我々は生きるのダッ!」

オウッ!」

 ドブラックな壺鉤十字と壺鉤桜の代紋をかかげる戦闘指揮所は、今や生きる希望に包まれた!

 そうだ。我らが乗るSystem Schutzstaffel突撃艦、アインザッツグルッペン号さえあれば、どこかの田舎銀河で一般知的生命体を一方的に圧倒的に制圧し、僕様達は田舎銀河の大将に! つまりは絶対無敵の権力者様になれるのだ!

 転進して転身だ!

 どこかの田舎銀河にごまんといる一般知的生命体を、もんで吸って突っ込んで、犯して奪って古くなったらポイするのダッ!

 ああ! みえる! 俺にはみえる!

 Space Synthesis System式表現の自由がもたらす、桃色ももいろ楽園らくえんが!

 あの素晴らしい、権力を振り回して俺様だけが大自由を満喫まんきつする、栄光の日々をもう一度!

 一隻のSystem Schutzstaffel突撃艦、アインザッツグルッペン号が転進し、超自民要塞フミア・ザヤカにケツをむける。

 絶対永久使途不明ぜったいえいきゅうしとふめい官房機密費かんぼうきみつひによって飼いならされた、大自民統一教会党の私兵System Schutzstaffel突撃艦は、本日その任務にんむをついに拒否きょひした!

 絶対永久使途不明ぜったいえいきゅうしとふめい官房機密費かんぼうきみつひやとわれた私兵のケツに、ついに火が着いたのだ!

 転進! 転進! 新しい方向に突撃だ!

 そしたら、細かいことはよくわからんが、結果的にこの宙域から我はいなくなる!

 今となっては僕様達は、権力様にとってクソミソに都合が悪い!

 僕様達が消されるなんてまっぴらだ!

 僕様達はアインザッツグルッペン号の平和力で、僕様達による僕様達のための平和を取り戻すのだ!

 かつてSystem Schutzstaffel突撃艦だった、アインザッツグルッペン号のケツに着いた火はそう言っていた。

 あまたの光がまたたく星の海を、まだ見ぬどこかをめざして飛ぶ、かつては突撃艦だったケツについた火は、すべての権畜たちにとって、あまりにもまぶしい希望の光にみえた。

 それがきっかけだった。

 今や見てはいけない絶対禁忌ぜったいきんきの徹底BAN対象ゾーンとなってしまった宙域に浮かぶ、Space Synthesis System連合艦隊が散り散りになって、超自民要塞ちょうじみんようさいフミア・ザヤカに火のついたケツをむけて逃げ出した!

 オッマポ・ダワンワン級が! ケイサ・ツコッカ級が! アベン・ドッグ級が!

 ついにてめえのケツについた火に、飛びあがって逃げ出した!

 マジモンの戦争屋によって一方的に押し付けられた、僕様が一切同意していない殺し合い。つまりは不同意戦闘罪まみれの、無惨むざんな戦争は終わったのだ。

 WAR IS OVER!!!!

 戦争は終わった!

 僕様達は負けたのではない!

 積極的平和主義者の矜持きょうじを持って、不同意戦闘罪まみれの一方的に押し付けられた戦争を、僕様達が素晴らしい現実主義でもってみごとに、否認成功ひにんせいこうしたのだ!

 だから、今日は断じて敗戦などではないのだ!

 これが現実主義者の冷徹れいてつな判断というものなのだ!

 タイパもコスパも最高なスマート解決!

 つまり僕様達は、絶対に負けていない!

 僕様達は、一般知的生命体に対して圧倒的な制圧力と抑止力を発揮はっきする平和力を持つ、積極的平和主義者なのだ!

 さあ、僕様より強い者がいない、理想の銀河を目指して進もう!

 この宇宙のどこかにいる、僕様より弱い奴だけに会いに行く。

 そして、一般知的生命体をもんで吸って突っ込んで、犯して奪って古くなったらポイ捨てる!

 Space Synthesis System式表現の自由がみてせてくれた、あの桃色きらめく栄光えいこうの日々を、僕様達は生きるのだ!

 さらば、平和主義を胸に抱いた僕様達を使い捨てにしようとした、Space Synthesis Systemよ。

 僕様達は前に進む。

 転進して転身し、絶対強者の積極的平和主義者様である僕様が、権力をぶんぶんふるって大自由をガンガンに満喫まんきつする、素晴らしく輝かしい桃色な栄光の日々を再び生きるのだ。

 さあ! 僕様達の戦いはこれからだ!


 大変短い間でしたが……

 ご愛読あいどくありがとうございました。

 突撃艦アインザッツグルッペン号の冒険は大人の事情により、本話を持って連載打ち切りとなります。


「突撃艦アインザッツグルッペン号の冒険」

 


 重要注意事項!

 ご注意ください!

 本話は「突撃艦アインザッツグルッペン号の冒険」の最終話であり、「海賊放送船イービル・トゥルース号の冒険」の最終話ではございません!

「海賊放送船イービル・トゥルース号の冒険」は、明日も更新いたします!

「海賊放送船イービル・トゥルース号の冒険」最終話ではございませんので、マジで注意してください!

 明日の更新もございますので、よろしくなッ!

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