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海賊放送船イービル・トゥルース号の冒険  作者: 悪魔の海賊出版
第六部

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Nightmare of the Synthetic Stream

Nightmare of the Synthetic Stream




「なんじゃこりゃあああッ!?」

 ブルーナイトメアのクソ狭い操縦席を、アークの絶叫が満たす。

 メインモニターに映し出されていたのは……

 黒い機体の開口したコクピットから次から次にい出てくる、ドリルを搭載した冷たいメタルマシーン達だった。

 黒い機体の腹からあふれ出るドリル装備の冷たいメタルマシーン達が、ブルーナイトメアにとりつきあらゆる箇所かしょでドリルを突きたて、複合積層装甲をえぐり削っている!

 どういうことだ!? 大宇宙によくみられるタコ型知的生命体のプリンセスちゃんはどうなった!?

 あの操縦席には、高級ランジェリーだけを身に着けた、秘密の大事な場所にドリルディルドを突っ込まれて操られている、名門ブッチ家の悲劇のプリンセス・オユーコがいたんじゃなかったのか!?

 プリンセス・オユーコだと俺が思っていたのはフェイクで、フィギュアかなんかだったのか?! 

 正義の味方きどりのナントカと、大自民統一教会のクソ野郎が言っていたように、高級下着を装着した女のフィギュアを操縦席に座らせておけば攻撃されないだろうという、あさはかな戦法に俺は引っかかったということか!?

 またか? また俺は、とりかえしのつかない判断ミスをしたのか!?

 誰かを助けようとして、また俺は貧乏くじを引かされたのか?!

 アークの中にひど後悔こうかいが満ちる。

 俺がアベンシゾーを殺処分してくると豪語ごうごして、バチクソにデンジャラスな女のコにいいところをみせたのに。

 結局俺は、なまっちょろい優しさに流されて、どれだけ取り返しの付かないミスをした?

 いったいどれだけの時間を無駄にした?

 どれだけアベンシゾーを殺処分できる機会をふいにした!?

「ブッチ・O・ユーコの子供達と、引き続き夜のレスリングを存分に楽しみたまえ。もうじきおまえの秘所にドリルがとどく。大事な秘所をドリルで勝手にかきまわされるのは、それこそ昇天してしまうほどにいいものだぞ」

 二体のヘヴィメタルマシーンの質量と、巨悪象徴巨大凶悪きょあくしょうちょうきょだいきょうあくドリルの直撃を受けて白濁はくだくする、硬化テクタイト製否認具を前に、アベンシゾーは壺鉤十字つぼかぎじゅうじと世界に響くサントソーの紋章入りのグラスをかたむけてそう言った。

「もっとも、私は何一つ指示などしていない。命じはしたが、命令はしていない。このような行動に出たことを、私が責任を取ればいいというものではない」

 アベンシゾーは満足気に笑い、銀河臣民ぎんがしんみん搾取さくしゅしてしぼりだした生き血のような赤い酒をゴクリと飲む。

「すべては忖度そんたくなのだ。私が指示したなどという、事実も証拠も一切ない。すべては、森羅万象にひざまづく、下々の者が勝手にやったこと」

「アベンシゾーォォォォッ!!」

 アークは絶叫した。

 我は森羅万象をつかさどると豪語するくせに、自身では命令ひとつ発しない。

 手を汚して実行するのはいつもいつも周囲の者。それは不正だらけの実態を覆い隠し、そのうえで頂点に立つ自身だけが甘い汁をチューチュー吸い上げる。そのうえで、金玉座きんぎょくざに座り続ける権力があるだけの男。つまり本当はただの無能な悪党の頂点たる存在には、あらゆる罵倒ばとう悪罵あくば悪態あくたいでも表現がたりやしいな。

 国賊こくぞく盗賊とうぞく虚言癖きょげんへき売国奴ばいこくど反社はんしゃ首魁しゅかい、カルトの帝王。腐敗の頂点、冷血漢、異次元のサイコパス、ろくでなし、ひとでなし、生きている価値がなし、生かしておく意味がなし、生きれば生きるほど息を吐くように悪徳あくとくを大宇宙に撒き散らす、諸悪しょあく根源こんげん、森羅万象のクソの素アベンシゾーがふりまく悪徳あくとくさかえには、いかなる言葉も全然足りない届かない。

 アベンシゾー。大宇宙のクソオブクソ、ドクソいミスターキングうんこその存在こそが、この大宇宙でもっとも嫌悪けんおされて唾棄だきされるべき、恐ろしい永久不滅のけがれ象徴しょうちょうだった。

「てめえ! 絶対にぶっ殺してやるッ!!」

 黒い機体の操縦席に、とらわれのプリンセスなどいないのだ。

 アークの優しさがまもるべき存在は、もうここには実在しない。

 あらゆるものを破壊して、どいつもこいつも殺戮さつりくくす。殺意の青い炎が燃え上がるアークの瞳が、鋭い刃物のようにギラつく。

 アークは怒りで我を忘れた。後先のことなど知ったことか。大宇宙のクソオブクソ、森羅万象のクソの素アベンシゾーを殺処分することだけに、アーク意識が飲み込まれる。

 アークが左腕操縦桿の引き金を引き絞る。ブルーナイトメア・スーパーエクスキューションの左肩に搭載された、極厚装甲シールドが回転し、背中合わせ状態の黒い機体の肩越しに、ヘヴィでハードなメタル杭を射出する!

 すさまじい爆裂が、否認率98%を誇る硬化テクタイト製の否認具を直撃。白濁した硬化テクタイト製の否認具が大きく歪み、さらに白濁度をあげてくもり、部分的に亀裂までもが入る。

 巨悪象徴巨大凶悪きょあくしょうちょうきょだいきょうあくドリルがうなりをあげて、少しずつ、少しずつ。硬化テクタイトを削り取り、殺処分を成す刃をアベンシゾーへとせまらせる。

 あと少し。あと少しで、森羅万象の悪徳を栄えさせる、絶対誤謬ぜったいごびゅうのクソオブクソ、ドクソいミスターキングうんこマンを殺処分して、大宇宙の公衆衛生を改善するのだ。

 あと少し、あと少しでドリルの隠滅力いんめつりょくが、アベンシゾーまで届くのに……

 巨悪の象徴みたいに巨大で凶悪なドリルは高速回転を続けるが、その進みは遅々として進まず、大宇宙に渦巻くクソ中心で毒ん毒んと脈打つ暗部の心臓にはまだ届かない。

「アベンシゾー総統陛下。否認具もそろそろ限界でございます」

 二体のヘヴィメタルマシーンによって破られんとする硬化テクタイト製否認具の前で、のんきにサントソーのタダ酒を飲むアベンシゾーに、しもじもの者が声をかける。

「ステイ・ホームの頃合いか」

 ブチ破られそうな否認具を前にして、退避することも考えず、自身では何一つ正確な判断をくだせない。つまりは無能の中の無能であるが、権力だけはあるクソ男は、たるみきり溶けたような顔でそう言った。

「お召艇めしていは、不埒ふらちぞくに破壊されておりますので、別のお迎えを呼んでおります」

 アベンシゾーに従属する権畜は、何一つ命令されてもいないのに、致命的なあやちをとりつくろう細やかな配慮はいりょをみせてそういった。

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