公共の福祉実行!
公共の福祉実行!
わずか0.05銀河標準メートルの装甲で作られたヘヴィ・メタル棺桶内部のアークに、不気味な振動が伝わってくる。操縦桿と背中をあずけるバトリングシートから、臓腑を揺らして骨身に染みる不気味な振動が、アークの全身をゆさぶっている。
「いったいなにをおっぱじめやがった!?」
巨悪の象徴みたいに巨大で凶悪なドリルを右腕に装備する黒い機体の背後に、リバース・ターンアックスボンバー(回転式斧爆弾・裏)を叩き込み、機体同士が背中合わせ状態のブルーナイトメアには、黒い機体の前面に何が起きているのか把握できない。
巨悪の象徴みたいに巨大で凶悪なドリルの駆動音とはまた違う、何かが高速で往復運動を繰り返す機械音と、体液がドログチョにかきまわされる不快な音。
「わたしのぉぉぉッ! 秘所がぁぁぁぁッ!! わたしがぁぁ! 知的生命体ではなくなるぅぅぅ!!!」
囚われのプリンセス・オユーコの絶叫が、接触状態にある機体を伝わりアークに届く!
そして、巨悪の象徴みたいな巨大凶悪ドリルの生理的に耐えられないあの駆動音が、ひときわ大きくなって甲高い叫びをあげる。
背中合わせの黒い機体が生み出す不気味な振動が、ブルーナイトメアの操縦席ごと、アークの中枢神経と骨身をゆさぶってくる!
「なにがなんだかよくわからねえが、証拠隠滅ドリルが動きっぱなしなのはありがてえ! まずはとにかく、大宇宙のクソの素アベンシゾーを殺処分するしかねえ!」
アークが握る左操縦桿を素早く動かす。
ブルーナイトメアの左腕を背後の黒い機体の腹部にまわし、操縦席のおナカが丸見え状態にあるプリンセスをガードする。
アークの鋼鉄芯入りのクッソ重たいブーツがペダルを踏み込み、ブルーナイトメアに急速後退の意志を叩き込む。
フルパワーで後退開始のコマンドを叩き込まれたブルーナイトメアが、甲高い駆動音をあげてフロアを蹴る!
左腕で囚われのプリンセスを守り、折り曲げた右腕関節部から伸びる青い棘で黒い機体を串刺しにしたまま、ブルーナイトメアが黒い機体ごと後退を開始。
唸りをあげる巨悪象徴巨大凶悪ドリルを回転させ続ける黒い機体ごと、Red Suckers 大自民統一教会亭の大宴会場に突っ込む過激行為!
ブルーナイトメアを隠滅しようとかまえたままだった黒い機体の巨悪象徴巨大凶悪ドリルが、殺戮現場と大宴会場を分断する、硬化テクタイト製の絶対安全安心否認具に突き刺さる!
背中合わせ状態のヘヴィ・メタルマシーン二体をあわせた巨大質量の衝突に、硬化テクタイト製の透明否認具がたわんで白濁。すさまじい轟音をあげて暴れまわる巨悪象徴巨大凶悪ドリルが、わずかずつだが確実に硬化テクタイトをえぐって削り破壊していく。
一秒、二秒、そして四銀河標準秒。
気が遠くなるような長い時間が過ぎていく。
硬化テクタイトはイービル・トゥルース号の艦橋前面の窓にも使用されている、宇宙最強クラスの硬度を誇るウィザード級のレジェンド物質。そう簡単に破れないことはわかっている。だがいまは、大宇宙のクソの素を何事にも優先して殺処分しなければ、大宇宙の公衆衛生は改善されず、この大騒動は終息しない!
俺は残弾無限の海賊放送で、最後までsynthetic streamに抗うつもりだった! だが、そういう手段ではどうにもならないところまで、synthetic streamを腐らせたのはアベンシゾー! おまえにほかならない!
ならば! 俺が今できることを殺るまでだ!
「巨悪象徴巨大凶悪ドリルでとっととブチ破って、大宇宙のクソの素を隠滅しちまいなッ!」
アークは叫ぶ。ペダルを踏み込み、異次元の保身のために用意された硬化テクタイト製否認具の向こう側、血まみれの惨劇を高みの見物しているRed Suckers 大自民統一教会亭の大宴会場に、むきだしの暴力を注入しようと激しい挿入行為に没頭する。
巨悪象徴巨大凶悪ドリルが硬化テクタイト製の否認具をブチ破ろうと暴れまわるすさまじい振動に、ブルーナイトメアの操縦席は揺れている。その中に、さっきまでは存在しない別の振動が含まれている。だが、アークはそのことに気が付かない。
「まだかッ!?」
アークのひたいに汗が浮かぶ。
異次元の保身のために持ち出された硬化テクタイトはまだ破れない。
中枢制御装置をブチ抜かれて破壊された黒い機体の巨悪象徴巨大凶悪ドリルも、いつまで暴れ続けてくれるかわからない。
一刻も早く、大宇宙のクソの素クソオブクソなミスターキングうんこマン、アベンシゾーを殺処分しなければ……
この大宇宙は、巨大なひとつの壺に詰めこまれて腐り果てた、クソのかたまりにされてしまう……
カルト宗教とカルト政党を一体化させた、前代未聞で空前絶後のドログチャ腐敗不正実行組織、大自民統一教会党が存続したら……
カルト宗教とカルト政党が混ざりあった宗政複合体、大自民統一教会党がこの大宇宙をたったひとつにしてしまったら……
大宇宙から法治というタガはなくなり、様々な知的生命体が生まれながらに持つと銀河連合憲章がみとめた、基本的な尊厳すらもが失われる……
憲法も法律も蹂躙し、やりたいほうだいやりまくりの不正帝国を作り上げた、前代未聞空前絶後の腐敗の帝王。
国賊、盗賊、虚言癖、売国奴。反社の首魁、カルトの帝王。腐敗政治の頂点、企業献金による腐敗癒着の典型。冷血漢、異次元のサイコパス、ろくでなし、ひとでなし、生きている価値がなし、生かしておく意味がなし、生きれば生きるほど息を吐くように嘘をつき、悪徳を大宇宙に撒き散らして腐らせ堕ちる。
諸悪の根源、森羅万象のクソを司る総クソ大臣クソの素。
様々な銀河と星がそれぞれの思いでもって存在しできる世界を二束三文にまとめあげ、何もかもをアベンダチ公の食い物にしてむさぼりぐらい、憲法すら腐敗の底に叩き落としてギャラクシー7最下位の貧困に社会を突き落とした、マジモンのクソオブクソ。つまりはシン・うんこ野郎!
もっとも嫌悪され唾棄されるべき、恐ろしい永久不滅の穢ポイントがクソだまりにたまりまくって腐った男、アベンシゾー!
大宇宙のクソオブクソ、ドクソいミスターキングうんこマン、アベンシゾーがふりまわす悪徳の栄をイチ銀河標秒でも存続させたら、大宇宙がより腐って崩れてダメになる。
俺は残弾無限の海賊放送で、腐り堕ちた世界を変えたかったんだ!
だけど、だけど、だけど!
警察も検察も、アベンシゾーを何一つ取り締まりゃしない!
憲法も法も取り締まれない無法の悪は、殺処分するしかない!
パンと弾けばタイパもコスパもいいけれど……、そういうことは正義の味方としてはできねえんだよ。
そんなあまっちょろいことを、もう俺は言っていられない!
大宇宙のクソオブクソに荒らされた俺の畑はすべての花が枯れ果てて、ガチでバチバチな銃と砲が生えてきたんだよ!
マジクソカスな悪の素!
害虫、バイキン、致死性ウイルスよりも危険な存在は、イチ銀河標準秒たりとも生かしておけぬ!
知的生命体の未来が閉ざされる! 知的生命体の生命がおびやかされる!
大宇宙に生きる知的生命体が築きあげた、社会が崩壊してしまう!
大宇宙までもを腐らせるアベンシゾーという名の災害は、すみやかに鎮圧される必要がある!
駆除! 駆逐! 滅菌! 消毒!
ここまできたら、それがもっとも文明的な対処法!
だから俺に! 殺処分という公共の福祉を実行させてくれッ!
アークが握る、両椀を操る操縦桿が脂汗で濡れる。
一秒、二秒、そして四銀河標準秒。
気が遠くなるような長い時間が過ぎた後、アークが左手で握りしめる左腕操縦桿が……
急に軽くなった。
「あ?」
突然スカスカになった左腕操縦桿側に、ガクンと体を倒したアークが間抜けな声をあげる。
左腕がイカれた?!
機体左側面部を映すモニターの中には、パーティ会場に広がる血の海に落下したブルーナイトメアの左腕が、ゴロリと転がっている。
「なんだとッ!?」
ブルーナイトメアの左腕がもげただとッ?!
確かにド派手に突っ込んではいるけれど、俺が給料を全部突っ込んで仕上げた機体はそんなにヤワじゃない。
アクチュエーターも新開発した人工筋肉に変えたし、それにあわせてメタルジョイントもすべて見直し、再設計して組あげたのだ。
さらについこの間、頭部と片腕を失って宇宙空間を漂っていた、クッソ古いロボットアニメに出てきそうな青白赤のトリコロールカラーのクソでかい機動兵器に使われていた、意味不明に硬いくせにクッソ軽過ぎる謎過ぎ合金でフルチューンしたばっかなんだぞ!?
機体剛性も装甲強度も二倍以上あがっているはずだ!
なのに!? 腕がもげるだと!?
細かいことは何一つわからんが、こいつはいったい!?
アークの神経細胞が高速回転を開始。アークの知覚を未知の領域まで連れて行く。アークの肉体感覚が、ブールナイトメアの機体へと、その知覚の世界を広げていく。
時間の流れが、白濁する粘液のようにねばつきだして、ブルーナイトメアとアークを揺さぶる凄まじい振動の周期が遅くなる。
詳細に知覚できるようになった振動が、巨悪の象徴みたいに巨大で凶悪なドリルから発せられるものだけではないことに、アークは気がつく。しかもその振動は、ブルーナイトメアの装甲をえぐり削って、刻一刻とアークへ迫っていた。
生理的に受け付けない骨身を削るような甲高い音をたて、ブルーナイトメアのナンジャニウム合金複合積層装甲をえぐって削り、アーク自身へと迫ってくる複数のドリル駆動音!
ドリルが複数!? だが、黒い機体には右腕の巨悪象徴巨大凶悪ドリルひとつしかなかったはずだ……
「てめえは俺に! いったいナニをしてやがるッ!?」
ブルーナイトメアに搭載された、特殊装備の引き金をアークは引き絞る。
ブルーナイトメアのバックパック上部から射出されたブツが、ニューコンチネンタル・オーダニー号のパーティ会場の高い天井に突き刺さる。ブツに搭載されたドローンが複数発射されて空中を浮遊することで、、背中合わせのブルーナイトメアと黒い機体を様々な角度から撮影。
そして、ブルーナイトメアのメインモニターに映し出されたのは……




