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海賊放送船イービル・トゥルース号の冒険  作者: 悪魔の海賊出版
第五部 紅と蒼 & BLACK PINK

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貴様いったい何をした!?

貴様いったい何をした!?



 

「シンセティック・ストリーム艦隊。沈没多数ちんぼつたすう! 陣形崩壊じんけいほうかいしつつも、残存艦ざんぞんかん回頭かいとうを開始!」

 レーダー盤に群がる光点の動きに、AXEが反応。

残存艦ざんぞんかん回頭開始かいとうかいし……。これは、全面撤退ぜんめんてったいということ?」

 ミーマが情報表示盤の内容を読みくが、信じられないという響きが若干じゃっかんあった。

「ただの一発も撃っていないのに……。銀河侵攻可能規模ぎんがしんこうかのうきぼの艦隊を総崩そうくずれの全面撤退ぜんめんてったいに追い込むなんて……。スカイカイト艦隊群は、いったいどんな恐ろしい兵器を使ったのでしょうか……」

 タッヤが計器類から視線を外し、艦橋前面のスクリーンに投影とうえいされた、ズタボロの宇宙戦艦達の逃走映像に釘付くぎづけになっている。

「なんだよ!? この船自慢のスペシャル隠し武器よりヤヴァイんじゃないの!? これ!」

 主砲照準器にずっとお顔を突っ込んで、銀河イチ前線に近いカメラさんになったサディが叫ぶ!

「マジでまったくカラクリがわからねえ……。スカイカイト星域艦隊群と、シンセティック・ストリーム艦隊の間に広がる時空がうみだす距離は、極大威力のビーム兵器で撃ち合うしかない超々遠距離だぞ。これだけの時空の存在をものともせず、あんな大規模艦隊を全部狂わせて同士撃ちさせるなんて……。いや、まあ、シンセティック・ストリームは最初から狂っちゃいるが……。それを含めても、どう考えてもあり得ない……」

 アークがパンダがらのハーフパンツのすそをぎゅっと握りしめながらそう言った。

「カラクリナンカ、ネエノカモシレネエゾ」

 と言ったのは、電気カラクリ仕掛けで動くイクト・ジュウゾウ。

「くっそがー」

 全艦ケツをまくって逃げていくsynthetic stream艦隊の姿をみつめるネガは、ガスマスクから最大級の歓喜の響きを持ったクソがを発射。



 一方その時……

 残された力を必死でふりしぼり、180度回頭中の旗艦・サイコ (再興)・キシガ・イフミーオの玉座ぎょくざの前では……

 血反吐ちへどにまみれいつくばった、かつては効能多漏閣下と呼ばれていた、どこの生命体の骨ともわからん私番号樹脂板未所持の生命体がうめいていた。

 許さん……。絶対に許さんぞ……。有能なるこの私を、無能の極みの現場ごときが殴るなどぉぉ……

 Space Synthesis Systemに戻ったら、全員ブロックしてから生物学的にBANしてやる!

 てめえら、全員死んだぞ……

 おまえら、すでに死んでいるんだぞ……

 かつては大臣の地位にあり閣下と呼ばれ、次の森羅万象絶対無謬総裁総理総合枢軸統一元帥総統陛下(しんらばんしょうぜったいむびゅうそうさいそうりそうごうすうじくとういつげんすいそうとうへいか)になると決まっていたはずの効能多漏は、ぐしゃぐしゃになった顔面を両手でおさえ、涙を流しながら玉座の前で憎悪ぞうおの言葉を中枢神経内にかけめぐらせている。

「おや? 高貴極こうききわまる戦闘指揮所に、どこの生命体の骨ともわからぬ無能駄朗むのうだろうが、いまだにゴミクズのように転がっているな?」

 アベガスキー5663が、かつては次の総統陛下と呼んでいたものを、今は屁以下へいかのカスゴミをみるような視線で見下ろす。

「俺は! 次の森羅万象絶対無謬総裁総理総合枢軸統一元帥総統陛下(しんらばんしょうぜったいむびゅうそうさいそうりそうごうすうじくとういつげんすいそうとうへいか)! Space Synthesis System中枢閣! 大自由神民主主義銀河神民統一教会党 (通称・大自民統一教会党)所属、マルイチ後方担当大臣・効能多漏様だぞぉぉぉぉ!」

 どこの生命体の骨ともしらぬ無能駄郎むのうだろうは、うずくまり涙を流してそう言った。

「はあ? それってあなたの感想ですよね? 身分証明できる私番号樹脂板でもあるんですか?」

 英雄的行為と大英断の結果責任を全て背負うことを覚悟した現場責任者、アベガスキー5663は、どこぞの生命体の骨とも知れぬ無能駄郎むのうだろうにそう言った。

「これをみろおおおお!」

 どこぞの生命体の骨ともわからぬ無能駄郎むのうだろうは、高級スーツにめた、偽員ギインバッジをみせつける!

「はあ? そんなものは、どこの業者にでも頼めば作れるからなぁ。なんの身分証明にもならねぇなぁ」

 アベガスキー5663が、軍靴キックで無能駄郎むのうだろうを蹴っ飛ばす!

「ぐっふぅぅぅ!」

 大自民統一教会党の所属であることを示す偽員ギインバッジと、またも失った歯を数本撒すうほんまき散らしながら、無能駄郎むのうだろう華美かびな戦闘指揮所の床を転がる。

「お得意とくいの、私番号樹脂板を出せよ。そしたら、今すぐに身分証明ができるんじゃないのかい?」

 床をのたうちまわる無能駄郎むのうだろうを見下ろしながら、アベガスキー5663は嘲笑ちょうしょうする。

「おのれぇぇぇぇぇぇ!!!」

 無能駄郎むのうだろう怨嗟えんさの叫びをあげた。

 持っているわけないだろうがッ! 俺は特別なんだよッ!

 全てを統合的とうごうてき統制とうせいされて統一管理とういつかんりされ、一生にわたって搾取さくしゅされる、基本的人権など持つことを許されない畜生ちくしょうどもとは違うんだよッ!

 おまえらは下級銀河臣民!

 俺は上級銀河神民なんだよッ!

 生まれながらにして、使い捨てにされることが決まっているおまえらみたいな畜生ちくしょうどもとは、俺はまったく違う別格べっかくの存在なんだよッ!

 だから、畜生ちくしょうどもの管理タグに過ぎない、私番号樹脂板なんて、俺はハナから持ってねえんだよぉぉ!

「なんという理不尽りふじんな暴力だぁぁぁ! 俺は反撃するぞッ! この理不尽りふじんな暴力に対して、俺は反撃を開始するぞぉぉぉぉッ!」

 顔面を血に染めて、戦闘指揮所のゆかいつくばる無能駄郎むのうだろうは、しわくちゃになった高級スーツの内ポケットから奇妙きみょうな装置を取り出す!

「貴様ッ!? いったいなにをッ!?」

 アベガスキー5663が床にいつくばる無能駄郎むのうだろうに、電光石火でんこうせっか軍靴ぐんかキックを叩き込んで奇妙な装置を蹴り飛ばそうとする!

 だが、軍靴ぐんかキックが届くまでの刹那せつなに、無能駄郎むのうだろうは血のように赤いボタンを押してしまった!

 ぱっぱらぱ、らぱぱ、ぱっぱぱっぱぱぱら〜!

 ドBLACKな壺鉤十字つぼかぎじゅうじ頂点ちょうてんかかげる華美かびな戦闘指揮所に、古臭ふるくさいラッパの音が鳴り響く!!

 メインモニターに表示されていた、全身バーコードの入れ墨姿ずみすがたのうさぎが、記号でふさがれたお目々をみひらき、危険な赤黒い光を放つ!

「反撃能力行使ッ!」

 赤黒いテロップがバーコード入れずみうさぎの上におどくるい、画面が赤黒い血の色へと染まっていく。

「貴様ぁぁ! いったい何をしたぁぁぁ!?」

 アベガスキー5663が軍靴ぐんか無能駄郎むのうだろうの頭を床にみつけて問う。

「こうなったのなら、俺はもうおしまいだ。俺は有能だからな、わかるんだよ。ならば、何もかもを道連れにしてやるッ!」

 軍靴ぐんかに頭部をまれ組みせられた無能駄郎むのうだろうは、歯が折れ血にまみれた顔に狂気で歪んだ笑みを浮かべてそう言った。



「シンセティック・ストリーム艦隊中心で、一番ビッグな態度たいどをブチかましてる、一番ドデカいミスター宇宙戦艦の様子ようすが変だよ!」

 お顔を主砲照準器に突っ込んで、超々遠距離カメラさんをやっているサディが叫ぶ!

「なにぃッ!? 今度はなんだってんだ!? まったくもってわかんねえぞ?!」

 アークが両手で頭をかかえてうめく!

「この変形していく艦影は……」

 AXEがレーダー盤に表示される光点の詳細しょうさいを確認してうめく。

「前に……。ブラックホール送りにした艦がとった行動と、まったく同一のものと状況を判断します」

 ミーマが氷砂糖のように半透明の表情を、文字通りこおりつかせて言った。

「だとすると……。まさか……」

 スクリーンに表示される、半壊状態はんかいじょうたいながらもまだ存在している巨大宇宙戦艦の各所かくしょに次から次へと開口していく、あまりにも多数の真っ黒い発射口を、タッヤは呆然ぼうぜんとみつめている。

「ハメツテキロマンデ、ハメツシヤガル!」

 イクト・ジュウゾウのヘビーでメタルなハードセリフが炸裂さくれつ

「くそがぁぁぁぁぁ!」

 ついに状況を理解したアークの悪態あくたいが、絶叫ぜっきょうとなって艦橋に響き

「くっそがー」

 と心底嬉しんそこうれしそうなネガの悪態あくたいが追加される!

「なに!? なに!? なにがマズイの?!」

 サディがお顔を主砲照準器に突っ込んだままアークに問う!

「スカイカイトに一切の容赦ようしゃがねえのか……。シンセティック・ストリームがマジでガチに救いようのないガバガバのアホなのか……。どちらの場合であってもだ、シンセティック・ストリームのやつら、これは完全に死んだぞ」

 とアークは言った。



「敵艦隊中心部。旗艦と思われる巨大戦艦に異変あり」

 漆黒しっこくとダークピンクで構成された、イカツクかわいい戦闘指揮所に報告が走る。

「超々遠距離映像をモニターへ」

 口からダラダラ真紅しんくの血を流す、猟奇的りょうきてきに可愛いパンダちゃんが乗っかっているモニターに、アベンシゾー級四番艦サイコ・キシガ・イフミーオの姿が現れる。

「巨大戦艦に多数の宙雷発射口ちゅうらいはっしゃこうが出現」

 次々走る報告に、スカイカイト女王はキレイにととのえた片眉かたまゆをあげる。

「またド派手に、理解不能の同士撃ちをするのかねぇ」

 スカイカイト女王はつまらなそうに言うと、真紅しんくの血が口からダラダラ流れる猟奇的りょうきてきにカワイイパンダのぬいぐるみを手ででる。

「仲間割れですかね? 侵略先で仲間割れの同士撃ちなんて、バカそのものがやりそうなことであり、いかにもsynthetic bullshitって感じですけど」

 BLACKレザーにイエローのラインが走るライダーズジャケットに、ハードなシルバーアクセを合わせた少年が、スカイカイト女王に問う。

「仲間割れでもなんでも、synthetic bullshitが滅びるのなら、これ以上のことはないよ」

 スカイカイト女王はそう言って、鮮血せんけつめいた色のべにをひいた唇を開きあくびをする。

「この理解不能の大惨状だいさんじょう……。もしかして……。トゥルース号が、ということなのでは?」

 漆黒しっこくとダークピンクで構成された、イカツクかわいい戦闘指揮所に、疑問の声があがる。

「この間、首都上空に突如現とつじょあらわれた、伝説の宇宙戦艦が?」

 ピッタリ身体にフィットして、男のラインをアピールする、鋭角的えいかくてなフォルムのスーツ姿の若者が答える。

「かつてスカイカイトを救った、伝説の英雄が乗る宇宙戦艦が、いま再びスカイカイトに現れた。であるならば、この意味不明に思えるsynthetic bullshitどもの同士撃ちも、伝説の宇宙戦艦が引きおこしている可能性はあり得るのでは?」

「しかしだ。いくら英雄が乗っていた伝説の宇宙戦艦と言えど、今現在の技術水準ぎじゅつすいじゅんで考えたら、型遅かたおくれのド旧式どころではない、化石級の過去の遺物いぶつになっているはずだ……。仮に参戦してくれたとて、戦力の勘定かんじょうにも入らないのでは?」

 漆黒しっこくとダークピンクで構成された、イカツクかわいい戦闘指揮所にざわめきが広がっていく。

 そのざわめきの中でスカイカイト女王は、真紅しんくの血が口からダラダラ流れ落ちている猟奇的りょうきてきにカワイイパンダちゃんのぬいぐるみを、両手にしっかり持ってみつめて話し出す。

「もしもこの怪現象が、トゥルース・ライク・ライ号 (嘘みたいな真実号)のしわざだとするならば、たった一隻で大宇宙戦争をできる宇宙戦艦をみついであげた女王様の系譜けいふの最先端に、最新版のかわいさで君臨くんりんしているこのあたしに、甘い連絡のひとつでもあってしかるべきだと思うけどねぇ」

 大変にご不満な表情で、スカイカイト女王はそう言った。

「なんの連絡もございませんか?」

 BLACKレザーにイエローのラインが走るライダーズジャケットに、ハードなシルバーアクセを合わせた少年が、スカイカイト女王に問う。

「なんの連絡もございませんよ」

 と言ってスカイカイト女王は、両手でつかんだ真紅しんくの血が口からダラダラ流れ落ちている猟奇的りょうきてきにカワイイパンダちゃんに、お手々のつめを食い込ませる。

「伝説によれば……。大宇宙戦争時の女王様は流れ者の男に、当時スカイカイト星で最大サイズだったパンダのぬいぐるみと、特別仕立てで作ったイカツイ艦長服のポッケに、女王様直通の電話番号を書いた手紙を入れて、出撃前夜にプレゼントしたと聞きますが……」

 ピッタリ身体にフィットして、男のラインをアピールする、鋭角的えいかくてきなフォルムをしたスーツ姿の若者が言った。

「オーバーキルモードなビンビン状態でドンパチやって、真っ青になって逃げ出したカスどもを追いかけていったきり、そのまま二度と流れ者の男はスカイカイトに帰ってこない。当時の女王様が大宇宙のダークマター領域りょういきへと旅立つ時でさえ、電話の一本もかかってきたことはなかったと聞きますし」

 BLACKレザーにイエローのラインが走るライダーズジャケットに、ハードなシルバーアクセを合わせた少年がつぶやく。

「そうだねぇ」

 スカイカイト星の頂点及び、最先端のカワイイに君臨くんりんされる現女王様は、軽くため息をついてから話し出す。


 確かについこのあいだまで、ただのクソ怪しい流れ者の男だったとは言え……

 Big Synthetic Empireどもを皆殺しにして帰ってくれば、一夜にしてスカイカイトでは軍神級の英雄だ。

 飲めや歌えの大騒ぎ、イカツイ艦長服の胸がダランとのびちまうくらいの数の、デッカイ勲章がもらえるのは確定だったろうに。

 そして夜になったら女王様のベッドにどうぞ、バンバンヤッテおナカのオクにドバドバ出して、この星に英雄の遺伝子をドンドン残してイキましょう。

 とはならないまでも、しばらくはこの星で、好きなだけタダ飯ぐらいは食えただろうに。

 女王様から、その宇宙戦艦はやっぱりスカイカイトに置いていけ、と言われるのが怖かったのか?

 それともタダの規格外のイカレ野郎だったのか?

 どういう理屈りくつかわからないけど、流れの英雄様は二度と、スカイカイトに戻ってこなかったんだよねぇ……


 ねえねえパンダちゃん? 連絡のひとつもよこさないのは、いったいどういうことなんだと君は思う?

 そういう表情で、真紅しんくの血が口からダラダラ流れる猟奇的りょうきてきに可愛いパンダちゃんのぬいぐるみをみつめる、現スカイカイト女王様。

「知らんがな」

 真紅しんくの血が流れる口で、パンダちゃんはそう言っているように、スカイカイト女王には見える。

「あたしが会ったこともない、とっくの昔にお亡くなりになられている英雄様が、当時何考えていたのか知らないけども、重要なのは今現在。そして現実は残酷だ。synthetic bullshitの頭には、いつもクソ偉そうなクソが詰まってる。だからクソみたいなことをしちまうのも、仕方ないんだろうねえ」

 デフォルメされたドクロにトゲトゲスタッズだらけのバトルブーツに包まれたおみあしを、これでもかというセクシーさで組み換えながら、スカイカイト女王が続けた。

「synthetic bullshitの頭がいつも、クソ偉そうなただのクソだとしても……。synthetic bullshitのヤツら、さっきから身内でバカスカ撃ち合って、艦隊を半壊させてから宙雷発射口を開いた。この行動にはなにか戦略的な意味があるのでしょうか?」

 BLACKレザーにイエローのラインが映えるライダーズジャケット姿の少年はあきれた顔で、こちらは何にもしていないのに、すでに半壊状態のsynthetic bullshit艦隊の旗艦をみつめて言う。

「なんだろうねえ。頭が異次元の無能様の考えることは、あたしにはまったくわからないけどね。どうせ対等なお相手と本番したことがない、頭の中ではガチガチだけど、実際のブツはフニャフニャでグニャングニャンなクソザコ御珍砲おちんぽうがついてるだけの、妄想変態野郎もうそうへんたいやろうどもだからね。よってたかって集まってダマになってマスかきあって、それで果てて終わるってのは、いかにもsynthetic bullshitらしいよねえ」

 ねえ、パンダちゃん? と言うように、ブッ殺してしまうほどに可愛くメイクしたお顔の前に、猟奇的りょうきてきに可愛いパンダちゃんのぬいぐるみを持っていくスカイカイト現女王。

「ワカルワー」

 真紅しんくの血がダラダラと流れ落ちている口で、パンダちゃんはそう言っているように、スカイカイトの現女王には見える。

 モニターの中では多数の宙雷発射口から、大量のミサイルが発射される光景。

「敵艦より多数のミサイルが発射されました。ミサイルの進行方向から、標的ひょうてきは我らスカイカイト星域艦隊群と推測すいそくされます。速度から巡航ミサイルと判断。スカイカイト星域艦隊群へのミサイル到達予想時刻。およそ30銀河標準時間後です」

 漆黒しっこくとダークピンクで構成された、イカツクかわいい戦闘指揮所に報告が走る。

「どうします? 丸一日と六時間。弾が届くまでここでお待ちになられますか?」

 BLACKレザーにイエローのラインが映えるライダーズジャッケット姿の少年の言葉に、スカイカイト現女王のピンク色の瞳が冷たい光を宿す。

「あたし達がやさしくしてあげる義理は何もない。スカイカイトの女王が命ずる、公開通信チャンネルに、Buzz Suckerノ夜行を流しな」

 そう言い終えると、スカイカイトの女王様は猟奇的りょうきてきに可愛いパンダちゃんを抱きよせて、ぬいぐるみの胸にお顔をそっとうずめた。

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