開戦! 第二次スカイカイト戦役!
開戦! 第二次スカイカイト戦役!
「こいつは肝のすわった、最高にイカした女王様だぜ!」
めいいっぱい倒したシートから飛び起きたアークが、艦橋前面のブ厚い硬化テクタイト製モニターに表示されたBLACK PINKなツインテール少女に目を輝かせる!
そんなアークに、サディの真っ赤なリンゴみたいに赤い瞳が、痛いほどの殺気をみなぎらせた赤い光弾がごとき視線をブスリとぶっ刺す!
「あたしは良いシンセティック・ストリームをやまほど作れる、ガチでバチバチに肝のすわった、マジでカワイイ女の子だよッ!」
サディが叫び。
ガッツーン!
バッチューン!
バトルスカートから伸びるサディの素敵なおみ足が、アイアンブルーとガンメタルグレイの艦橋構造物をバトルブーツで蹴っ飛ばし、通常の三倍以上に危険な赤い火花を散らす!
「……あ、いや、まあ、そうだな。積極的平和推進使節団なんて言う、アホウタロウのケツノアナみたいな無能なことをしでかしたら、こうなるのは目に見えているわけで……。スカイカイト女王の対応は、ごくごくしごくフツーな対応であるわけで……」
通常の三倍級に青い顔に表情を一変させたアークが、ぶるぶると震えながら言う。
「そうよ。どう考えてもフツーの対応だよ。アークはもちろん、わかるよね?」
とサディが、アークをギロリとにらみつけて言う。
「わかります!」
つい最近、サディの素敵なブーツにくるまれたあんよによって、これでもかとわからされてしまったアークは、背筋をビシリとのばしてそう言った。
「く、くそがぁ……」
真横で繰り広げられるアッツアツのイチャコラに縮みあがった、ネガの震える声がガスマスクから漏れた時。
「公開チャンネル通信が、一方的にシンセティック・ストリームによって切断されました!」
ミーマの緊迫感あふれる状況報告が走る。
「SS艦隊が動きます! 第二次スカイカイト戦役がはじまる!」
レーダー盤を注視するAXEの声が艦橋に響く。
ドBLACKな壺鉤十字を掲げた、華美な戦闘指揮所の最上段の玉座で、効能多漏がギャラクシー・ヤクザのごとく背もたれに横柄にもたれかかり、ブラックホールの特異点もかくやという高圧を漂わせて言い放つ。
「完全に生物学的にBANが確定したぞ。スカイカイトの未開野蛮盛りなロリメスが」
効能多漏の言葉に、アベガスキー5663が金ピカ時計ロレックズを巻いた腕をあげ、ドBLACKな壺鉤十字にまっすぐに右の手刀を向けて、権畜どもに訓示を開始する。
効能多漏閣下率いる積極的平和主義推進使節団(せっきょくてきへいわしゅぎすいしんしせつだん)は、武力における侵略行為実行宣言と同等の無礼極まる誹謗中傷による先制攻撃を受けた。
これは、圧倒的な戦争抑止力を掲げ、積極的に平和を推進しようとスカイカイト星系に平和的に歩み寄った我々への、暴力を持っての挑戦である!
このような暴力的極まる戦争主義者どもを、我々積極的平和主義者は絶対に許してはならない。
彼奴らの先制攻撃から、我らは大宇宙の平和を積極的に平和を推進し専制守護することをここに宣言するッ!
大宇宙の平和を乱す、未開野蛮の極みの無知蒙昧たるならず者テロ国家、スカイカイト星系に対して、積極的平和主義推進使節団(せっきょくてきへいわしゅぎすいしんしせつだん)は全艦の平和力行使によって、すみやかなる平和回復のための平定行動を開始せよッ!
これは訓練ではないッ! だが、戦争でもないッ!
全力を持って、平和の積極的維持に貢献するのだッ!
「イエス! マイ・システムッ!」
総立ちになった権畜・ナンバーズ達が、手刀を作った右腕をまっすぐに効能多漏に伸ばし、アベガスキー5663に呼応するッ!
積極的平和主義推進使節団(せっきょくてきへいわしゅぎすいしんしせつだん)、私番号樹脂板システム起動!
全艦統合統制による過程を経て、一致団結の統一協力でもって、平和力の積極的行使を開始せよッ!
効能多漏が横柄極まるギャラクシー・ヤクザ式にもたれる玉座から、破滅的な命令が今、権畜達にくだされるッ!
ドBLACKな壺鉤十字が頂点に掲げられたメインモニターに、全身にバーコードの入れ墨をいれられ、記号でつぶらな両のお目々を塞がれた、パールインキで描かれたウサギのアイコンが表示される!
「私番号樹脂板はぁぁぁッ! 宇宙一の統一力ぅぅぅぅッ!」
パールインキで描かれたウサギが絶叫! 私番号樹脂板システムが完全に起動したことを明示する。
「私番号樹脂板システム、オールグリーン!」
権畜・キシダイスキー6754の報告に
「イエス! マイ・システム!」
権畜総員が呼応して、ドBLACKな壺鉤十字を頂点に掲げる、華美な戦闘指揮所の循環空気を震わせる!
「私番号樹脂板システム統合一番艦隊へ積極的平和力行使命令ッ! 最前列を構成する艦隊より、積極的平和行動を開始せよッ! スカイカイトの無知蒙昧野蛮生命体共を揉み潰し、徹底的に平定し宇宙の平和を回復せよッ!」
最上段の玉座に、最下級のギャラクシー・ヤクザのごとき風体で君臨する効能多漏の威圧的な大音声ッ!
「イエス! マイ・システムッ!」
権畜達の呼応が、ドBLACKな壺鉤十字を掲げる、華美な戦闘指揮所を震わせる!
アイアンブルーとガンメタルグレイで構成された艦橋前面、ブ厚い硬化テクタイト製窓を染める赤黒い閃光。
「シンセティック・ストリーム艦隊発砲!」
極大威力のビーム兵器が発生させる電磁的衝撃波が、AXEのみつめるレーダー盤上に赤黒い光弾が刻む爪痕を走らせる。
「なんじゃそりゃぁぁぁぁぁっ!?」
超々遠距離を視認できる主砲照準器に、えいっ! とお顔を突っ込んだサディが叫ぶ!
「そんなにクソスゲエ艦砲射撃なのか!?」
アークが驚愕の表情で、主砲照準器にお顔を突っ込んでいるサディに視線をむける。
「あ……。あ……」
レーダー盤をみつめるAXEが、言葉にならない声をあげる。
「まさか、たったの一斉射で……。スカイカイト星域艦隊群が消滅……。とか……」
ミーマがぶるぶる震えながら言う。
「そんなぁ。シンセティック・ストリームの艦は、ピンハネ中抜き公金チューチューで、中身スカスカのハリボテ艦のはずなのに……」
銀河イチエネルギー消費量の少ない計算機バンソロを、タッヤが必死で弾きまくりながら、スカイカイト星域艦隊群すべてを沈められるエネルギー量を計算しようとする。
「ズイブン、イツモトチガウジャネエカ……」
イクト・ジュウゾウの声が静かに響く。
「ちょっとこれは、判断をあやまっちゃったかなぁ」
と機関室直結通信機から、コタヌーン。
「過去の歴史に、こだわり過ぎたのかもしれません」
と言ったのはオクタヌーン。
「くそがぁぁぁ!」
この現場から逃亡することを許されない、ネガの悪態が炸裂!
「ちがう……。全滅なんかじゃない……」
サディとAXEの震える声が、不気味な不協和音を生み出す。
「いったい何が起きている!?」
アークが自席から上半身をめいいっぱい左にひねり、サディとAXEに視線を向けて、ふたりの言わんとすることを読み取ろうとする。




