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海賊放送船イービル・トゥルース号の冒険  作者: 悪魔の海賊出版
モッキンバード侵攻作戦
19/360

私が妨害するのを妨害するな!

お客人。

ウチは海賊出版なんでね。

他所様のまともな出版社とは違うんですよ。

という話でございます( ・ิω・ิ)

私が妨害するのを妨害するな!



「私番号樹脂板にひもづけていないからこんなことになる!」

 モッキンバード星系、Space Synthesis System中枢閣、大自由神民主主義銀河神民統一教会党所属、マルイチ後方担当大臣・効能多漏は激怒して、机にドカンと拳を振り下ろした。

「あ、これはラジオ放送なわけでして、私番号樹脂板にとにもかくにもなにもかも無理やりひもづけたとしても、まったくもって何の意味もないので……」

 技術者が最後まで言い終わる前に、 大自由神民主主義銀河神民統一教会党、略して、大自民統一教会党、マルイチ後方担当大臣・効能多漏は机の上の黒い鳥の描かれたボタンを拳でバチンと叩く。

 技術者の目の前に

「マルイチ後方担当大臣・効能多漏にブロックされました」

 の表示が現れ、会議室に突如飛来した黒い鳥に襟を掴まれ連れ去られ、会議室から放り出される。

「とにかく、96.9銀河標準メガヘルツで垂れ流されている、この違法な電波を潰せと言っているんだ!」

 効能多漏は横柄を10億光年の彼方の昔に通り越した、ギャラクシーヤクザ風スタイルに椅子にもたれかかってすごむ。

「いや、ですね。これには簡単には応じられませんのです。この放送は弱肉強食特性を持つ変調方式で放送されておりまして……」

 別の技術者が、とにかく激昂し続ける効能多漏の剣幕に縮み上がりながらも、技術的にそれがいかに不可能か説明しようとしていた。

「弱肉強食特性とはなんだッ! こちらも応じられん! 次ッ!」

 効能多漏はさらに激怒し、机の上の黒い鳥の描かれたボタンを拳でバチンと叩く。

 会話していた相手の目の前に

「マルイチ後方担当大臣・効能多漏にブロックされました」

 の表示が現れ、会議室に突如飛来した黒い鳥に襟を掴まれ連れ去られ、会議室から放り出される。

「簡単に言うと、強い電波によって電波が上書きされると言いますか……」

 さらに別の技術者が、電波の知識がない者に、どうやって説明しようか必死で頭をひねりながら言う。

「それなら、96.9銀河標準メガヘルツに、もっと強い電波を叩きこめばいいだけの話ではないかッ! 次ッ!」

 効能多漏はさらにさらに激怒し、机の上の黒い鳥の描かれたボタンを拳でバチンと叩く。

 会話していた相手の目の前に

「マルイチ後方担当大臣・効能多漏にブロックされました」

 の表示が現れ、会議室に突如飛来した黒い鳥に襟を掴まれ連れ去られ、会議室から放り出される。

「それがですね。今現在放送されているこの違法な海賊放送はですね。違法電波の発信位置が複数かつ固定ではないのですよ。そのため、電波塔でもあるモッキンバードツリー頂上に妨害電波装置を据え付けたとしても、首都モッキンバードタウン周辺は妨害できますが、それ以外では電波の弱肉強食性によって、放送が継続されてしまうのです」

 さらにさらに別の技術者が説明を試みる。

「首都モッキンバードタウン周辺だけでも妨害できればいいだろうがッ! 次ッ!」

 効能多漏はさらにさらにさらに激怒し、机の上の黒い鳥の描かれたボタンを拳でバチンと叩く。

 会話していた相手の目の前に

「マルイチ後方担当大臣・効能多漏にブロックされました」

 の表示が現れ、会議室に突如飛来した黒い鳥に襟を掴まれ連れ去られ、会議室から放り出される。

「それでは、海賊放送を妨害せよ、とのご発言は、海賊放送を完全に妨害するのではなく、一部であっても妨害できればよしとする、とのご見解でございますね。そのむね承知いたしました。モッキンバードツリー頂上への妨害電波発生装置の設置を承認いただいたということで、これより着手いたします」

 黒い鳥に連れ去られた技術者達にかわって、実務担当の事務官が答える。

「明日にはできるのか!? ええッ! 次ッ!」

 横柄を10億光年の彼方の昔に通り越した、ギャラクシーヤクザ風スタイルで椅子にもたれかかって、効能多漏はぐいぐいとすごむ!

「あ、明日などとてもとても。これより数億単位の予算を用意しまして、大自由神民主主義銀河神民統一教会党ともっともつながりのある超大手広告代理店痛電に随意契約で仕事を渡します。で、そこから次のダミー……失礼。中間管理業者に仕事を丸投げし、丸投げを受けたダミー……失礼。中間業者がその仕事をさらに次のダミー……失礼。孫受け中間下請け業者に丸投げし、そこからさらにダ……ではなく、ひ孫受け中間管理業者に仕事を丸投げし、そこからさらに何十回もの丸投げパワーボム大自由神民主主義銀河神民統一教会党方式を取ります。つまるところ、大半のゼニーをダミー……失礼、さまざまな企業様に注ぎ込んでトリクルダウンによる経済的異次元の躍進的骨太な大成長を狙った上で、そこから様々な企業様に感謝感激の意を表していただきまして、このお仕事を生み出していただきました大自由神民主主義銀河神民統一教会党に大半のゼニーを献上いたします。そのため、最終的な業者にたどりつく予算は数百万ゼニー程度ですので、そこから格安きわまる労働者として日雇いの者をかき集め、さらにそこから覇権会社であるパンナのピンハネが入りますために、まず物の制作に着手するまでにまともな人材は集まらず、予算もスコスコでこざいます。それゆえ、格安の部品調達をさらにジャスト・イン・タイムな徒与太者式で、ダンピングにダンピングを重ねて加速させつつ、下請けを徹底的に叩いて叩いて叩き上げて身をズバズバ斬って叩いていじめ抜いて行いますので……」

「つまりこちらもまったく応じられないッ! 次ッ!」

 効能多漏はさらにさらにさらにさらに激昂し、机の上の黒い鳥の描かれたボタンを拳でバチンと叩く。

 会話していた相手の目の前に

「マルイチ後方担当大臣・効能多漏にブロックされました」

 の表示が現れ、会議室に突如飛来した黒い鳥に襟を掴まれ連れ去られ、会議室から放り出される。

「そうですね。議論に議論を重ね、圧倒的に議論を加速し、検討に検討を重ねた美しくて伝統的な保守的極まる前例ありありのイノベーションの後に、装置が完成するのは……一年ほど先でしょうか。ちなみに、中身抜きまくりのスカスカ予算ですので、本当に妨害装置として機能するかは別の話でございます。まあ、おおよそ94%くらいの確率でまともには動かないでございましょうなあ」

 さらに別の技術者が呆れ気味に説明する。

「とにかくまったく応じられないないッ!次ッ!」

 効能多漏はさらにさらにさらにさらにさらに激昂し、机の上の黒い鳥の描かれたボタンを拳でバチンと叩く。

 会話していた相手の目の前に

「マルイチ後方担当大臣・効能多漏にブロックされました」

 の表示が現れ、会議室に突如飛来した黒い鳥に襟を掴まれ連れ去られ、会議室から放り出される。

 そして会議室には、マルイチ的に旧態然とした大自民統一教会党的な盛大な予算をスカスカ方式、その他あらゆることに激おこぷんぷん丸と化した効能多漏だけが残った。(そんな自分自身もそこに所属しているのだが……)

 その頃、別室に飛ばされた技術者と事務官達は、ブロックされてこれで社会人として一人前になったな、と互いに肩を叩きあい、今後お相手することもないであろうと、ゆっくりくつろぎお茶をたしなみくつろぎ

「それならまずは、てめえでツボを割れってんだ」

 とあきれかえったようにつぶやいたりした。

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