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海賊放送船イービル・トゥルース号の冒険  作者: 悪魔の海賊出版
第五部 紅と蒼 & BLACK PINK

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クロガネ通信装置の怪

クロガネ通信装置の怪




 アイアンブルーとガンメタルグレイで構成された艦橋。いつものぷっしゅーの音をあげて開いた耐圧扉から、サディ、AXE、ミーマ、タッヤ、コタヌーン、オクタヌーンが帰ってくる。

「くそが!」

 監視役として艦橋に残ったネガは、おかえりなさい的に毒づく。

「くそがー! いい加減にほどけー!」

 めいいっぱい倒したシートのうえでは、メタルケーブルでぐるぐる巻きにされた、メタル芋虫いもむしがもがいている。

「まだまだ確かめたいことがあるんだよ」

 サディはメタル芋虫にそう言うと、パンダ船長が鎮座ちんざする艦長席の前に立つ。

「やっぱり、これだよね」

 サディの真っ赤なリンゴみたいに赤い瞳の先には、パンダ船長の座る艦長席の指揮管制盤しきかんせいばんにはりつけられた、恐ろしく古びて色あせたマグネットシートがある。

 色あせたマグネットシートには、例の時代遅れどころではないデザインの宇宙戦艦のイラストに、透明とうめいチューブの中を飛ぶ古風こふうな未来デザインの車達。

砲身消耗ほうしんしょうもう、エンジン不調にはオーバーホール。その他よろず整備対応いたします。ボディ板金修正全塗装可ばんきんしゅうせいぜんとそうか。シール類交換請負るいこうかんうけおい。生命維持装置関連点検修理更新歓迎(せいめいいじそうちかんれんてんけんしゅうりこうしんかんげい)。全銀河いずれのメーカーも対応いたします。チューニング大歓迎! ワンオフ改造制作たまわります。フルスクラッチ大歓迎! まずはお見積りから! その他、宇宙のお困りごと応相談。さらに宇宙の神秘、高額買い取りいたします! お見積り無料! まずは気軽にお電話を! XXXX-XXXX-XXXX」

 色あせて消えかけた文字と、最後に並ぶ謎めいた数字の羅列られつ

「この船はブッ飛んでいる船だから、あの技術的に変態野郎はよだれ垂らすくらいに、この船に超絶興味ちょうぜつきょうみがあるはずだ。しかも、パンダ船長の知り合いで、前にパンダ船長に挨拶あいさつまでしていたよね。ここに連絡してみるんだよ」

 サディの赤い瞳がギラリと光る。

「確かに、パンダ船長に唯一つながる存在です」

 冷静なAXEがうなづく。

「以前連絡した時は、アークが連絡したみたいですが……。電話でしたっけ? 私にはなにがなんだか」

 とお手あげぽーずを決めるミーマ。

「電話なら、パンダ船長の艦長席にそなえ付けのやつがあるよ! だがな! どいういうわけか、あんの野郎の電話、全然つながらねえんだよ! 俺だってあの理解不能のクソヤヴァ大砲のことが気になって、ハサウェイに調べてもらいたいから、何度も連絡を取ろうとしたんだ。しかし、格納庫のガラクタの山にある電話は、何度かけても全然つながりゃしねえんだよ!」

 めいいっぱい倒したシートのうえで、メタル芋虫いもむしが言う。

「艦長席に電話があるなら、そこからかけたらいいんじゃないのかなぁ」

 とコタヌーン。

「パンダ船長が動くかもしれないから、怖くて使えなかったのかもしれません」

 とオクタヌーン。

「その通りだよ! 驚愕驚異きょうがくきょういのあらゆる怪異かいいがふつーに存在しやがる大宇宙に、こちとらたったひとりなんだぞ! いつ動くかもしれないパンダ船長の指揮管制盤しきかんせいばんにある電話なんか、怖くて怖くてとてもじゃないが使えるかー」

 とメタル芋虫いもむし

 サディが再び、パンダ船長の指揮管制盤しきかんせいばんに視線を走らせる。

「これか」

 なんとなく通信装置っぽい感じを漂わせる、レトロなデザインの黒鉄製くろがねせいのブツにサディの視線が止まる。回転式の機械部分に、謎めいた数字の羅列られつと同一の数字たちが刻印こくいんされているのがわかる。

「パンダ船長が動くかもしれないからねぇ。そう考えると、今現在もっとも戦闘能力の高いあたしが、パンダ船長を警戒けいかいしたほうがいいよねぇ。誰か、このドレトロな黒鉄製通信装置くろがねせいつうしんそうち回転式機械部かいてんしききかいぶ操作そうさしてくんない?」

 サディの視線が、タッヤに投げかけられる。

「えーと。私、ほら、こんな感じですし。間違った操作そうさをしてしまうかもしれません」

 タッヤが羽先をみせて言う。

 サディの視線がコタヌーンにむかう。

「あの人と話すの、私なんか苦手にがてなんだよなぁ」

 とかつてハサウェイとの大商談だいしょうだんを大成功させたコタヌーン。

 サディの視線がオクタヌーンへ。

「技術的に興味きょうみがありますが、人には特に興味きょうみはありませんので」

 とはオクタヌーン。

 どうせ

「くそが!」

 と言うであろうネガを飛ばして、AXEとミーマのいるほうに、サディの視線が動いた時……

「ハサウェイさん。いい男でしたよね」✕2

 AXEとミーマの声が、気持ちのいいハーモニーをかなでた。

「あのねえ……。次の週末、一緒に食事でもしませんか? ってさそいかけるわけじゃないんだよ……」

 サディがため息をつきながら言う。

「それはそうですが、何がきっかけになるかわかりません」✕2

 再びAXEとミーマの声が重なる、華麗かれいなハーモニー。

「はあ……。そうですか……」

 サディはあきれつつ、どうぞとレトロな通信装置を手で示すと、両手をあげてファイティングボーズをとって、パンダ船長のつぶらな瞳に赤い瞳の視線をガチりとあわせる。

「船長はあたしがみてるから、さっさとあの男に電話して」

 サディの言葉に、AXEとミーマが艦長席にやってくるが……

「どうやって使うんでしょうね?」

 レトロな黒鉄製通信装置くろがねせいつうしんそうちを前にしたAXEが考え込む。

「番号が刻印こくいんされた機械部を回して、相手が応答したら、このスピーカーとマイクが一体になったと思われる器具を取るのでは? と状況を判断します」

 とミーマ。

「そこのメタル芋虫いもむし。使い方を説明せよ」

 とファイティングポーズを取るサディ。

「あー。まずはスピーカーとマイク一体型の器具を取れ」

 とメタル芋虫いもむし

「逆でしたか」

 とミーマがレトロな器具を取る。

「パンダ船長異常なし」

 とファイティングポーズのサディ。

「次に、数字が刻印こくいんされた機械部の、数字が該当がいとうする穴を、可動範囲の限界まで回す」

 メタル芋虫いもむしの言葉に、AXEが数字が刻印こくいんされた機械部の穴に指をのばす。

「パンダ船長異常なし」

 とサディ。

「番号は?」

 AXEの問いに、タッヤがマグネットシートの番号を読む。

「XXXX-XXXX-XXXX」

 AXEがタッヤの読み上げた番号に該当がいとうする穴を選択し、機械部が可動かどうする限界まで回転させる。

 ZiiiiiCo ZiiiiiCo ZiiiiiCo ZiiiiiCo……

「ぷるるるるるるるるるる〜。って言ってますぅ」

 ミーマが耳に当てたスピーカーの音を報告。

「だけど、誰にもつながらねえんだよ」

 とメタル芋虫いもむし

「パンダ船長。異常なし」

 とサディがくり返す。

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