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海賊放送船イービル・トゥルース号の冒険  作者: 悪魔の海賊出版
第五部 紅と蒼 & BLACK PINK

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アーク・マーカイザックの喪失

アーク・マーカイザックの喪失




 ぷっしゅー。

 音をたてて開く耐圧扉たいあつとびらを抜けると、そこはアイアンブルーとガンメタルグレイで構成された、あのなつかしい艦橋だった。

 ゴツゴツゴツ。

 サディのイカツクてカワイイブーツが音をたてて、艦橋へとみ込んでいく。その後に続くイービル・トゥルース号元乗組員達。

「んんん?!」

 メタルワイヤーでぐるぐる巻きにされたアークをかついだサディが、困惑こんわくの声をあげる。

 目の前にはなぜか、パンダ船長までもがメタルワイヤーでぐるぐる巻きにされて、艦長席にしばりつけられている。

「船長?」

 思わずAXEが声をかけるが、メタルワイヤーぐるぐる巻き状態のパンダ船長は、冷静沈着れいせいちんちゃくささを一切失いっさいうしなわず、ブ厚い硬化テクタイト製窓の先に広がる暗い海を、真っ直ぐにみつめたまま何も言わない。

「これは……、どういうことなのでしょう?」

 状況を判断しかねる、という表情でミーマが言った。

「これは錯乱さくらんしたのかなぁ」

 とコタヌーン。

「これは発狂はっきょうしたのかもしれません」

 とオクタヌーン。

発狂はっきょうしてるのなら、ふんじばっておいて大正解だ! えいッ!」

 サディがかついだアークを乱暴にアークの席に放り込む。メタルワイヤーのうえからさらに戦闘用ハーネスで、バッチンバッチンと席に固定。

「いかに正体不明な不死身の化け物だったとしても、これではそう簡単には動けませんね。それでは、私は金庫と帳簿ちょうぼをみてきます」

 そう言ってタッヤが、アイアンブルーとガンメタルグレイで構成された艦橋を出ていく。

「く……、くそが……」

 かなりの速度でガンガン前へと進行していくバイオレンスさに、銀河イチ逃げ足の早い操縦士はガスマスクの中で静かに毒づく。



 ぴっぴっぴっぴ。

 タッヤが羽先で器用きようにゼニーを数えていく。

奇跡きせきです! 金庫のゼニーはほとんど手つかずでした! 正体不明な不死身の化け物かもしれませんが、私達がいない間は財務的におとなしくしていてくれたようですね!」

 各員の給料を計算し、宇宙の神秘しんぴとポンコツリアクター販売から得られた臨時収入りんじしゅうにゅうからのボーナスと、アークに絞めあげられた手当と、サディに絞めあげられた手当と、アークにぶん殴られた手当と、サディにぶん殴られた手当を各員にうわのせつつ、タッヤが言った。

 パチパチパチパチ。

 銀河イチ省エネルギーな計算機、バンソロをタッヤが小気味こきみよくはじく。アークからはみんなをだました罰金ばっきんと、私をぶん殴った罰金ばっきんと、その他みんなをしめあげた罰金ばっきんっ引く。許されざる所業しょぎょうのため、アークのボーナス分は全額カット。最終的にアークへの給与支給額がマイナスになったので、しばらくアークはタダ働きということになる。

 サディさんも一応、被害者ではあるのですけど……

 ころりとアークにだまされた罰金ばっきんと、乗組員を殴り絞め落とした罰金ばっきんを、給与からごっそり天引きすることにする。だけどその件は、今はサディさんに伝えないようにしようと、タッヤは決める。

「機関室のへそくりも無事だったなぁ」

 とはコタヌーン。

「機関室の秩序ちつじょも無事でした」

 とはオクタヌーン。

「給料は無事支払われる。正体不明の不死身野郎は、バッチリガッチリぎっちぎちにしばりあげられている。ということで、そろそろこいつを、叩き起こしていいころだよね?」

 AXEによって鎮静剤ちんせいざいを追加され、いまだ気絶したままメタルワイヤーぐるぐる巻き状態で、めいいっぱい倒したシートに固定されているアークをサディがつつく。

「起こしてダイジョブかなぁ」

 とコタヌーン。

「何かあれば、また眠らせればいいのかもしれません」

 とはオクタヌーン。

「正体不明な不死身の怪物とは言え、メタルワイヤーをぶっちぎるほどの怪力という話はいまだ確認されていないので……。大丈夫ではないかと、状況を判断します」

 とミーマ。

「追加の鎮静剤ちんせいざいも用意してあります」

 と冷静に、AXEが麻酔弾の入った銃をみせる。

「それでは……」

 サディがすぅぅぅぅっと息を吸い込み、右のお手々をふりかぶる。

「めぇぇぇ! さませぇぇぇ!!」

 ばっちーーーんっ!

 サディの全身全霊フルスイングビンタがアークのほっぺに直撃する!

「く、くそがァ!」

 バイオレンスに進行していく状況に、ネガはガスマスクの中で毒づく。

「うーん……」

 メタルワイヤーにぐるぐる巻きにされ、さらにめいいっぱい倒したシートに戦闘用ハーネスでガチガチに固定されたアークがうめく。

 やがてアークの目が開き、強烈きょうれつなビンタを放ち終え、短くあかいレザースカートとぷりんぷりんのお胸を華麗かれいに揺らすサディに、目の焦点しょうてんがあう。

「おお! サディ! ひさしぶりだな! どうした? ずいぶん大きく成長したな? それに服の好みがずいぶん変わったな! 男でもできたのか? つまりは、れた男にまれてモリモリ育って、さらに男の趣味に、服まであわせたということか?」

「アークのばかぁぁぁぁ!」

 強烈きょうれつなビンタをはなち終えた態勢たいせいから、サディが往復ビンタの要領ようりょうで放った裏拳うらけんが、アークのアゴへブチ込まれる!

 どぐしゃぁぁッ!

 ガクリ……

 アゴにブチ込またれサディの裏拳うらけんによって、アークが再び意識を失う。

「めぇぇぇ! さませぇぇぇ!!」

 サディがアゴを撃ち抜いた裏拳をいてひらいたお手々を、アークのほっぺに打ち下ろす!

 ばっちーーーんっ!!

 裏拳を放ち終えた態勢たいせいから放たれた、強烈なビンタが再びアークのほっぺに着弾ちゃくだん

「うーん……」

 メタルワイヤーにぐるぐる巻きにされ、さらにめいいっぱい倒したシートに戦闘用ハーネスでガチガチに固定されたアークがうめき、再びまぶたがゆっくり開く。

 眼の前には、短くあかいレザースカートとぷりんぷりんのお胸をらす、おヘソを出した赤い瞳の女の子。

「おお! 久しぶりだな! サディ! どうした? ロリなくせして胸だけはパンパンって感じを、強烈にアピールしだしたな? 細マッチョの素敵すてきな男は引っかかったか? ロリで胸だけモリモリ、そういうのはぜんぜん俺の好みじゃあねえんだけども、まあ、かわいいってことにしておくか」

 サディが放った裏拳の衝撃しょうげきで、ついさっきまでの記憶を喪失そうしつしたアークが言う。

「アークのばかぁぁぁぁ!!」

 二発目の強烈きょうれつなビンタをはなち終えた態勢たいせいから、サディが再び往復ビンタの要領ようりょうで裏拳をアークのアゴにブチ込む!

 どぐしゃぁぁッ!

 ガクリ……

 アークが再び意識を失う。

「めぇぇぇ! さませぇぇぇ!!!」

 重力加速を加味かみしたサディのお手々が、アークのほっぺに三度目の急降下!

 ばっちーーーんっ!!!

 再度裏拳を放った態勢たいせいから、三発目の強烈きょうれつなビンタをアークのほっぺに叩き込むサディ。

「うーん……」

 メタルワイヤーにぐるぐる巻きにされ、さらにめいいっぱい倒したシートに戦闘用ハーネスでガチガチに固定されたアークがまたまたうめき、まぶたがまたまたゆっくり開く。

 アークの眼の前には、短くあかいレザースカートとぷりんぷりんのお胸をらし、白いサイハイソックスとの間の絶対領域ぜったいりょういきがきらめき輝く女の子。

「おお! 久しぶりだな! サディ! どうした!? 猫耳少女はやめて、いまはロリで配信やってかせいでいるのか? シンセティック・ストリームではロリがとにかく大人気だもんな! しかも胸については大人よりモリモリだもんな! サムネイルの半分くらいは胸で満たしてやってる感じか? それでどうだ? スーパーチャージはガンガンに入っているか?!」

 サディの裏拳二発目の衝撃しょうげきで、ついさっきまでの記憶を再び喪失そうしつしたアークが言う。

「アークのばかぁぁぁぁ!!!」

 三発目の強烈なビンタを放ち終えた態勢たいせいから、サディが往復ビンタの要領ようりょうで三発目の裏拳をアークのアゴにブチ込もうとした時!

「サディさん。そこまでです。いかに不死身のモンスターと言えども、これ以上殴ると神経細胞がグズグズになって、すべての記憶を喪失そうしつしてしまいかねません」

 とタッヤがサディのお手々を、羽先はねさきでガッチリ押さえた。

「く、くそが……」

 目の前でり行われた、往復ビンタ式記憶喪失裏拳ループ刑に、心底ビビリながらネガは毒づく。

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