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海賊放送船イービル・トゥルース号の冒険  作者: 悪魔の海賊出版
第五部 紅と蒼 & BLACK PINK
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激情の再会

激情の再会




 暗い海中かいちゅうにまたたく、イービル・トゥルース号の発光信号。

 覚悟かくごを決めたbrain distraction号は潜水を開始して、イービル・トゥルース号の船首下部に存在する格納庫かくのうこハッチを目指す。

 真っ黒い海の中にもぐると、brain distraction号の探照灯たんしょうとうの光に照らされて、巨大なイービル・トゥルース号がみえてくる。

 そびえ立つ艦橋には明かりがついているが、そこに人影はなかった。艦橋前方、甲板かんぱんに並ぶ45口径46銀河標準センチメートル砲三連装二基六門が、暗い海中で沈黙ちんもくしている。

 昔だったら、それはとてもたのもしい光景だったのだけど……

 暗い海中に横たわる怪物に、今は思える。

 潜水せんすいするほどに巨大になっていく、イービル・トゥルース号とその主砲。

「あらためてみると……。デカいですよね……」

 AXEが静かに言う。

「怪物みたいな船。ですからね」

 いろんな意味で、という言葉は使わずミーマが言った。

 かつて、その主砲の操作をまかされていたサディは、巨大な主砲をじっとみつめていたが、何も言わなかった。

「あらためてみると、完全にヤカラが乗る船だなぁ」

 とはコタヌーン。

「あらためてみると、何もかもがめちゃくちゃな船なのかもしれません」

 とはオクタヌーン。

「みたところ、新たな改造かいぞう改修かいしゅうはしていないようですね」

 探照灯たんしょうとうに照らされる船体を確認しつつ、タッヤが言う。

「くそが……」

 ネガは静かに毒づいた。

 brain distraction号が巨大な主砲の前を通り過ぎ、船首の前を沈下して通過していく。

 巨大なドクロが、真っ暗な海中に浮かんでいる。

 かつては帰る家の目印だった巨大なドクロは、暗い海中で探照灯たんしょうとうに照らされて、あまりにも不気味に見えた。

 真っ赤なリンゴみたいに赤い瞳にギラギラした光を宿して、サディは暗い海中に存在する巨大なドクロをにらみつけている。

 このあたしですら知らない、極大威力の先をブッ飛ぶ破壊兵器が秘められていたドクロ。

 それはサディにとっても、ただなつかしいだけの紋章ではなかった。。

 じっとこちらをみつめる、真っ黒いふたつの穴。

 下顎したあげを失った部分に口を開いた、絶望的な漆黒しっこくの死を吐き出す砲口をサディは思い出す。

 あの時、大口をあけて笑っていたドクロ……

 あたしは、あの光景を忘れていない。

 あんな武器があるなんて、あたしは知らなかったんだ。

 brain distraction号が、ドクロのうしなわれた下顎部分したあごぶぶんを通過する時、強い緊張きんちょうが走った。

 しかし、巨大なドクロは微動びどうだにすることなく、brain distraction号を見過みすごした。

 ドクロを通過つうか。船首下部に存在するエアロックのハッチが開く。

 格納庫かくのうこから海中かいちゅうに、誘導灯ゆうどうとうの光がもれる。

「いくよ」

 サディの言葉に、操縦桿そうじゅうかんを握るネガは……

「くそが!」

 と毒づきbrain distraction号をハッチの中へと導く。



 エアロック閉鎖。ポンプが稼働かどうして、エアロックに満ちた海水が排水はいすいされていく。

「それにしても、どうして夜のシノギ仕様なんです?」

 いつもの漆黒しっこく真紅しんくの和服姿ではなく、夜の街に立って獲物えものを釣るスタイルでバッチリ決めたサディに、AXEが視線を向けて言う。

「久しぶりの再会だからね。ビシッと決めてやりたいじゃない?」

 真っ赤なリンゴみたいに赤い瞳をギラリとさせて、サディが答える。

「それにしても、ちょっとり過ぎなのではと、状況を判断せざるを得ませんが……」

 りの特盛状態とくもりじょうたいではちきれんばかりになったサディのお胸を、緑の瞳のお目々でじっとみつめるミーマが言った。

「久しぶりの再会だからね。胸が動悸動悸どうきどうきしちゃうくらいの、モリモリの大サービスをしてあげたいじゃない?」

 Synthetic boobs (合成おっぱい)を突っ込まれ、モリモリ特盛状態とくもりじょうたいのあたしの胸を、サディは両のお手々でゆさゆさ揺らす。それに合わせてきらめきゆれる銀髪、ギラリと光る赤い瞳、真っ赤なリンゴみたいに赤い口紅ひいた唇が、くいっと口角をあげて笑う。

「ふーん……」✕2

 AXEとミーマの声が重なる。

「くそが」

 と言ったのはネガ。

「あちらさんも、バリバリのヤカラ仕様できたりしないかなぁ」

 とはコタヌーン。

「あちらさんから、給料をもらいにいかないといけません」

 とはオクタヌーン。

「排水完了です。行きましょうか」

 タッヤが確認を終えて席を立つ。

「いくよ」

 サディが耐圧扉をあけて歩きだす。

 中身がみえちゃうくらいに、ギリッギリまで短くしたあかい革製スカートがたなびき揺れる。危険なほどに短くしたスカートの直近まで脚をおおうのは、脚線美きゃくせんびをこれでもかと強調する白いサイハイソックス。あかいレザーのとばりと、白い覆いの間にサディの肌がきらめき揺れる。

 真っ赤なリンゴみたいに紅いレザースカートとは対象的な純白のシャツは、レースとフリフリのついた華美かびなヤツ。さらに引き締まったお腹をみせつけ、おヘソの斜めうえですそをピンク色の大きいリボンで結ぶ。華奢きゃしゃな身体に不釣ふつり合いな、モリモリのお胸がサディの動きにぶるんぶるんと揺れ動く。レザーとレースでブッ殺せるほどに着飾きかざった。夜のシノギ仕様でキメた危険なサディ。

 ゴツゴツゴツ。

 サディのイカツクてカワイイブーツがたてる音が、格納庫を満たす循環空気じゅんかんくうきふるわせる。特別な日にサディが盛りに盛った、特盛のお胸がリズミカルにうごめき揺れる。

 あいつとの再会にむかって、めっちゃ体重軽い女の子が歩いてく。その背にイービル・トゥルース号元乗組員達をひきつれて。

 そして、格納庫の照明が照らす先に、濃紺のうこんのミリタリージャケット姿のあいつが現れる。

「アーク!!」

 サディが叫んで、イカツクかわいいブーツが格納庫の床を蹴る。

 真っ赤なレザースカートとふりふりレースを振り乱し、きらめくお肌をおどらせて、サディはアークに猛ダッシュ。

 大サービスの特盛お胸をぷりんぷりんと躍動やくどうさせて突っ込んでくる、ブッ殺せるくらいに着飾きかざった真っ赤なリンゴみたいに赤い瞳の女の子の急速接近に、アークの目がまるくなる。

「会いたかったよ!」

 サディのイカツくてカワイイブーツが、火花を散らして格納庫の床を強く強く蹴っ飛ばす。

 真っ赤なレザーとふりふりレースに包まれた、華奢きゃしゃな身体がちゅうを舞う。ぷりんぷりんの特盛お胸の間にアークを捕らえようと、めっちゃ体重軽い女の子が、両腕を広げて飛んでいく。

 アニメの中から飛び出してきたみたいな女の子が、無機質むきしつな格納庫の光を背に、ぷりんぷりんな特盛お胸を揺らして宙を舞って飛んでくる。そのあまりの想定外かつ予想外の展開に、アークは目をまあるく見開いたまま固まっている。

 特盛お胸を躍動やくどうさせて、宙を舞うサディの両腕が閉じて、アークをぷりんぷりんの間に捕獲ほかくする直前。

「なんて言うと思ったかぁぁぁぁぁっ!!!」

 サディの絶叫が格納庫にひびきわたる。

 ぷりんぷりんの間に、アークをらえようとしていたサディのお手々が、直線軌道ちょくせんきどうに急速変化しアークを襲う!

 危険なサディ、大ジャンプ飛び込み強パンチ!

 つまりは、サディの飛び込み右掌底みぎしょうていがアークのアゴに直撃した!

 サディのバチバチ悩殺のうさつファッションにやられたかのように、アークの頭部神経細胞とうぶしんけいさいぼうがぐわんぐわんにれ動く。

 グラリ。どころではなく、一瞬で意識を刈り取られ、格納庫の床に崩れ落ちるアーク。

「ふんじばれぇぇぇッ!」

 サディの声に、AXEがミーマがタッヤがコタヌーンがオクタヌーンが、ネガまでもが、よってたかってアークを床に押さえつけて、格納庫に置いてあったメタルケーブルを使って、ぐるぐる巻きにアークをしばりあげていく。

 あっという間に、アークのメタルワイヤー巻きが格納庫の床に転がる。

「いくよ! 次は給料だ!」

 サディは華奢きゃしゃな身体で軽々とメタルワイヤー巻きのアークを肩にかつぐと、いかつくカワイイブーツの音も高らかに、艦橋めざして歩きだす。

「りょ、了解」

「く、くそが……」

 イービル・トゥルース号元乗組員一同は、メタルワイヤー巻きアークをかつぐ、めっちゃ体重軽いちいさな女の子の後についていく。

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