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海賊放送船イービル・トゥルース号の冒険  作者: 悪魔の海賊出版
第五部 紅と蒼 & BLACK PINK

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死武夜街の夜に立つ

死武夜街の夜に立つ




 頭狂二重惨苦星とうきょうにじゅうさんくせい歓楽街かんらくがい夜闇よやみに無数の明かりがきらめく死武夜街しぶやがい道端みちばたで、ちいさくて体重の軽い女の子がひとり立っていた。

 厚さ10銀河標準センチメートルはあるだろう厚底あつぞこブーツをいた両脚りょうあし交差こうささせて、お人形さんみたいに女の子は立っていた。

 最先端を行き過ぎて、おしゃれなのか奇妙きみょうなのかわからなくなったその先を走るファッション。いったいどこの慣性系かんせいけいぞくしているかで、流行りゅうこうの意味と加速度が変わってくるファッション。表向おもてむきのおしゃれさの影に隠された猥雑わいざつが混ざりあった、銀河有数の特徴的とくちょうてきな街、死武夜街しぶやがいはあふれかえるようなファッションでちている。

 ひとり路上ろじょうに立つちいさな女の子の、大事な布が見えちゃうくらいにギリギリ短い華奢きゃしゃなスカートが、交差させる脚を組み替えるたびにれてきわどい瞬間を作り出す。

 危険なほどに短くしたスカートの直近まで足をくるむのは、脚線美きゃくせんびをこれでもかと強調する白いサイハイソックス。

 華奢きゃしゃなスカートのとばりと白い領域りょういきの間には、まだおさなさを感じさせる肌が、夜の明かりにきらめいている。

 トップスは華奢きゃしゃなスカートとつい純白じゅんぱくのシャツ。あらゆるところにレースとフリフリのついた華美かびなシャツ。しかもなぜかお腹をはだけてみせつけて、おヘソの上ですそをピンクのリボンでむすんである。それが体重の軽い身体を、これでもかとやたらと主張しゅちょうしてくる。

 華奢きゃしゃとレースとふわふわで殺せるほどに着飾きかざって、大事なところがなぜかやたらと手薄てうす無防備むぼうびな、おさなさをあぶなげにみせつける。私は小さい女の子をこれでもかと主張する。そんなファッション。

 長い黒髪。真っ赤なべにをひいたくちびる。ちいさな女の子は青い宝石みたいな瞳をふせたまま、厚底ブーツの脚を組み替えながら、たったひとりで夜の路上に立っている。

 何人もの男が声をかけてくる。

 待ち合わせ場所でもないところで、何をするでもなく立っていると、そういうことになるのが死武夜街しぶやがい

 青い瞳の目をせたまま、相手の足元あしもとをみて、答えるかどうかちいさな女の子は決める。

 何人もの男を断って、目をつけた男にだけうなづく。

「まずはちょっとだけ」

 そう言って小さな女の子は男の身体に両手を回して、ちょっとだけ男のわきに腕の力を込める。かなり変わった行為だったが、男は小さな女の子のするがままにした。

 無反応……。うん。OK。

 ちいさくて体重の軽い女の子は、今夜の客を決めた。

綺麗きれいなホテルがいい」

 ちいさな女の子はいつものセリフを口にする。この要求に答えてくれないなら仕事はナシだ。女の子はそう思う。

 女の子の見定みさだめに間違いはなかった。男は高くて綺麗なホテルを携帯端末ですぐに用意した。

「歩いていくのは嫌だな」

 厚底ブーツのつま先で路上をつついて、ちいさな女の子はそう言った。

 男は笑うと、屠与太トヨフト自動車の超絶倫高級自動車ちょうぜつりんこうきゅうじどうしゃブランド、レテンザマスのあかしであるレ点入りマークのキーを、ぶーらぶらとみせつけてくる。

 その光景に、小さな女の子の真っ赤なリンゴみたいに赤いくちびるが、かすかに口角こうかくをあげる。



 予約した部屋に入ると、ちいさな女の子は大きなベッドにダイブした。シーツの海に飛び込んでうつぶせになると、まだ厚底ブーツを履いたままの両足を可愛く何度もパタパタさせる。

「フカフカだぁ〜」

 小さな女の子は、シーツの海を泳ぎながらそう言った。

 その光景を、男は笑みを浮かべながらみつめている。

「おいでよ〜」

 厚底ブーツの脚をぐるりと大きくふりまわして、小さな女の子がシーツの海に仰向あおむけになって両手両足を広げて男を誘う。

 とてもとてもいいながめだった。殺すほどに着飾きかざって、おさなくてか弱くて、大事なところは無防備で。それは白いシーツを背景にした猥褻わいせつだった。

 ずいぶん面白いのを引き当てた。

 男はそう思って、ベッドに近づく。

「おいで〜」

 厚底ブーツと白いサイハイソックスでくるんだ両足を、大きく開いてらめかせながら、体重の軽いちいさな女の子がおいでおいでをする。

 ベッドに男がのると、ブーツとサイハイソックスでくるんだ両脚を、男の身体に女の子がからませてくる。白いサイハイソックスのすぐ向こうにあるちいさな女の子の感触と、目の前の絶景ぜっけい

 そして、あまーいあまいケーキみたいな、すごくいいにおいがした。

 綺麗きれい包装ほうそうにくるんだままで、洗いもせずにこのままいただくのがいいかもしれない。

 男はそう思った。

 さっきまでぱたぱたれていた両脚が、まるで引き寄せるように男をいざなう。そして男は、そのさいいにのった。

 脚の大部分をおおうサイハイソックスの奥へ奥へと。サイハイソックスにつつまれた、素敵なさわ心地ごこちの二本の触手しょくしゅのナカへと、男はたくみにとらえられていく。

 ついに男の首筋くびすじに、サイハイソックスにおおわれていない、ちいさな女の子のふとももをナマで感じる。まるで男を抱きしめるように、ちいさな女の子の両脚が男にたくみにからみついていく。

 白いサイハイソックスに包まれた、ちいさな女の子の触手しょくしゅにとらえられるのは、とってもとっても気持ち良かった。男は夢心地の世界へと、自分の意識が飛んでいくのがわかった。

「まだちいさいのに、面白いこと、するんだね……」

 それきり男は何も言わなかった。

 男は女の子をいただくどころか、もうピクリともしなかった。ちいさな女の子の両脚の中で、いまは静かに眠っていた。

 厚底ブーツとサイハイソックスで包まれた両脚が作り出した三角形の内側で、男はたくみに女の子に絞めあげられていた。それこそ、意識を失ってしまうくらいに、気持ちよくなってしまうくらい。

「あたしは気道をねらわない。だから、気持ち良かっただろう?」

 まるで牙みたいにとがった犬歯をみせながら、真っ赤なリンゴみたいに赤いくちびるゆがませて、めっちゃ体重軽いちいさな女の子は不敵ふてきに笑う。


 

 ぴっぴっぴっぴっ。

 巨大なスズメが、りょう羽先はねさき器用きようげんゼニを数えていく。

 財布さいふのみならず、男のカバンの中にはブ厚いゼニたばが入っていた。ずいぶんいいカモを引き当てたものだ。

「おー。これはけっこうありますねえ。車も高級車ですからねえ、裏マーケットに流してもけっこうながくになりますねえ。この調子ですと、不動産とか証券とか、いろんな資産もお持ちでしょうねえ。あとでコタヌーンさんにゆっくり揺すってもらって、定期的に長期間安定してじっくりしぼり取っていきましょう。このおかたの人生は大激震だいげきしん、そして私達のらしはおおいに安定。これはもう今夜は祝杯しゅくはい確定かくていですねえ」

 と言いながら、ゼニーを数えつつホクホク顔のタッヤ。

 たぶん、あたし達の中で一番マトモな感覚の奴なんだろうけど、たまーに一番ヤヴァイんだよねぇ……。

 黒髪ロングのウィッグを外しながら、サディは思った。

 まあ、だからこそ、あたしの仲間なんだろうけど……。

 ウィッグを外してネットにおさめた髪を解放かいほうし、いつもの白銀はくぎんきらめく姿に戻ったサディは、軽くため息をつく。

防犯映像確保完了ぼうはんえいぞうかくほかんりょう。住所、職場、個人情報、全て完全に押さえましたし、あと数分で全部のクレジットわくちょゼニーをいただけます」

 ビシッと黒いスーツ姿でキメたAXEが、冷静にヤヴァイことをいいながら、クラッキング用の端末を叩いている。

「全部抜いたら、即時そくじおマッポのとこに駆け込まない?」

 ホテルのバスルームにある鏡の前で、青いカラーコンタクトを外して、真っ赤なリンゴみたいに赤い瞳の女の子に戻りながら、サディは言った。

「しっかり眠らせてから行った、ムフフ淫行撮影会いんこうさつえいかいも済んでいます。後でプリントアウトして、いまご自分がどういう状況におちいっているのか、しっかりご説明した文書までもをつけて、足腰あしこしたたず身体が痙攣けいれんしだすくらいまでわからせてあげます。それに、なんてったって、この星では、サディさんは黒髪ロングの青い瞳の女の子で、しかもバリバリ現役女学生で未成年のご身分です。情報上はそういうことになっています。おマッポ署に駆け込んだら、大変なことになるでしょうね。なんてったって、情報上では未成年のちぐさちゃんにヤヴァーイことしちゃったわけですからね。おゼニー的に破滅はめつはしましたけど、さらにさらにご自分自身を、お社会的にブッ殺すことはしないものと状況を判断します」

 しっかり眠らせた全裸の男をうまく使ってった、実在しない未成年のちいさな女の子とのあんなことこんなことシーンを確認しつつ、ミーマが冷静に状況を判断する。

「現実的には、トライアングルスリーパーできっちり絞めあげられて、意識をしぼりとられただけなのにねぇ」

 きわどいくらいに赤い口紅くちべにを落としながら、サディは言う。

「絞めあげられるまでの記憶は鮮明せんめいに残っているでしょうし。いい夢をみれて幸せだった。ってことでいいんじゃないですかね?」

 タッヤが現ゼニーを数えながら言う。

「どうします? こいつのおちんたまに、幼女肢体愛好癖ようじょしたいあいこうへき、とかります? 二分でいけますけどぉ?」

 緑の瞳をきらめかせて、にんまりわらってミーマが言った。

「あのね。あたしは確かにサイズの小さい女の子ではあるけれど、決して幼女ようじょじゃ……」

 サディがミーマに抗議こうぎした時、ミーマの手の中にある携帯端末がふるえだす。

「くそがくそがくそがくそがくそがくそがくそがくそがくそがくそがくそが」

 ミーマの手の中で、携帯端末にガスマスクのアイコンが表示され、独特過どくとくすぎる着信音を鳴らす。

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