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海賊放送船イービル・トゥルース号の冒険  作者: 悪魔の海賊出版
モッキンバード侵攻作戦
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経理担当とギャンブラー

経理担当とギャンブラー



「え? ええ!?」

 モッキンバードタウンの上空を羽をのばして飛ぶ、タッヤの驚きの声が青空に消えていく。

「だ・か・ら・大至急、カードラジオの在庫をピッグ・ガメラと、与太話亀田と、山田有線と、イデオン電器、激安殺しの電動鈍器法廷、その他もろもろの店にガンガン届けてくれって!」

 通信機の向こうでは、コタヌーンが様々な電気屋の名をまくしたてる。

「もうそんなに売ったんですか……」

 タッヤは驚愕の事実にぶるっと身体を震わせる。

「お試し品はあっという間にさばけて、追加注文がガンガンよ。ここは今までのチンケな街とは違うわけよぉ」

 通信機の向こうで笑うコタヌーンの声に、タッヤはくるりと旋回。港に係留されているbrain distraction号に進路を向ける。

「わかりました。船の倉庫は在庫でいっぱいですからね。この調子で引き続きガンガン頼みますよ」

 タッヤはコタヌーンにそう言って通信を切った。

 最初はどうなることかと思ったモッキンバード星系への遠征も、これは無駄ではなかったな。とタッヤは思う。

 なにはともあれ、これでイービル・トゥルース号もだいぶ財政が楽になるなと、タッヤはほっとする。

 さあ、届けるぞぉー。

 ピッグ・ガメラと、与太話亀田と、山田有線と、イデオン電器、激安殺しの電動鈍器法廷。それにしてもこの星の店の名前は個性的。そんなことをタッヤは思いながらも、その他もろもろの店にガンガンにカードラジオを届けるために、羽をはばたかせて飛んでいく。



「へへへ。だいぶ軍資金もできたねぇ」

 大量に売りさばいたカードラジオの売上を思いながら、コタヌーンがモッキンバードタウンを歩く。

「そして今度は、どーんと増やすときたもんだ」

 コタヌーンはニヤリと笑う。

「おおーい徒競場こちら→」

 そう書かれた看板をみあげ、コタヌーンは矢印の指す方向へと、札束を放り込んだスーツケースを引いて歩いていく。



 与太話亀田・モッキンバードタウン本店の店員達はいらついていた。

 昨日からラジオが飛ぶように売れるのに、あまりにも突然のことで、在庫の補充のめどがまったくつかない。普段はほとんど動かない高めのラジオまでもが今日は飛ぶように売れていく。なのにこの先、売るものがないというのはいらつくことこのうえない。

 そんな時に、また新たな来客を告げる自動ドアの開閉音が響く。

「いらっしゃいませ〜」

 ああ、ラジオは売り切れなんですよ。と心の中でつぶやきながらも、いらついていた店員は感じの良い接客五大用語のひとつを口にする。

「お待たせしました〜」

 そう言いながら店の自動ドアを通って入ってきたのは、巨大なスズメだった。

「へ?」

 きょとんとする店員達。

「銀河イチ生きのいいバッタ屋でおなじみ、コタヌーン商会の者です〜。ご注文のラジオ。500個でーす」

 巨大スズメは背負っていたバックパックから、禍々しいドクロマークが印刷された小箱を取り出すと、店員に差し出す。

「へ? ラジオ? これがですか?」

 どう考えてもこのドクロマークの小箱に、ラジオが500個も入ってるとは思えない。

「あなた様はライバル店の方で、これはつまり爆弾ですか?」

 店員の言葉に、巨大スズメはぷるっと身を震わせて笑う。

「与太話亀田の社長さんと話がついてまして、もうお代はいただいております。ですので、これにて納品完了ということで、失礼します〜」

 巨大スズメはそう言って小箱を困惑する定員に渡し、羽で敬礼のようなポーズを取ると、くるりと背を向けて自動ドアを出ると空へと舞い上がって行ってしまった。

「はあ?」

 店員はラジオ500個入という、手にしたドクロマークの描かれた箱をただみつめる。

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