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海賊放送船イービル・トゥルース号の冒険  作者: 悪魔の海賊出版
第四部・白薔薇の君

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145/360

イービル・トゥルース号を追えッ!

連載再開となります。

よろしくお願いいたします。

イービル・トゥルース号を追えッ!



大見栄切おおみえきったくせしやがって! ケツまくって逃げるんかーい!」

 カッコよくデキる雰囲気ふんいきにキメながら、どうしてもかくしきれないアクの強さがにじみ出るおっさんが、西の方角ほうがくにある銀河的な本能のままに突っ込んだ!

「イエス! ダイハン! バンパク!」

 ヨシモトムラ・ギョーコーズが、はいその通りでございますと、手刀しゅとうで空を切り右方向に一直線に伸ばすチョップをビシッと決める。

「所属不明の低学歴低収入間違ていがくれきていしゅうにゅうまちがいなしの、負け組ドクロ宇宙戦艦に、イシーンズに逆らった代償だいしょうはらわせてやる! 宙域斬撃改革艦隊ちゅういきざんげきかいかくかんたいは、これより、ちゅう改革かいかくを実行する! あのドクロを追えぃ!」

「イエス! ダイハン! バンパク!」

 バラエティー番組が始められそうな戦闘指揮所で、ヨシモトムラ・ギョーコーズが、手刀しゅとうで空を切り右方向に一直線に伸ばすチョップをビシッと決める。

 廉価版れんかばんプレハプ宇宙戦艦 (タイプX)の、一般的な実用じつようエンジンに火が入る。排気系はいきけいだけをクソうるさい社外品しゃがいひんに交換し、中身にかんしてはどノーマルな実用エンジンが、クソうるさい稼働音かどうおんらし、平凡へいぼんな出力をしぼりだす!

 設計的に無意味な、巨大過ぎるブレードアンテナでイカツクきめた、イシーンズのクソカッコイイスーパー宇宙戦艦達が、ドレトロなデザインのドクロ宇宙戦艦の追跡ついせきを開始した!

 スーパー宇宙戦艦で構成こうせいされた艦隊のほこ宙域斬撃改革砲ちゅういきざんげきかいかくほうが、緑黒みどりぐろ閃光せんこうをまきちらしイービル・トゥルース号に直撃する!

「イエス! ダイハン! バンパク!」

 主砲による斉射が直撃するたびに、ヨシモトムラ・ギョーコーズ達が、くうを右方向に一直線に切るチョップがビシッと決まる。

 Space Synthesis System艦隊からわかれた大隊規模だいたいきぼの艦隊も、ドレトロなデザインのドクロ宇宙戦艦を追う!

 Space Synthesis System艦隊の大自由神民主主義銀河神民統一砲が、赤黒い光弾をイービル・トゥルース号に直撃させる!

「ダーイ! ジーク! ジミンッ!」

 人の名を持たない権畜、ナンバーズのときの声が、主砲直撃のたびにドブラックな壺鉤十字つぼかぎじゅうじかかげる華美かびな戦闘指揮所をるがす!

 だが、あらゆるヘイト値を集結しゅうけつさせてたかめまくる、あのにくき船はいっこうに沈まない。

 それどころか、もしかして、こいつは追いつけないんじゃないか? と思わせる速度で、一目散いちもくさんに逃げていく!



 ドッカーン! ズッガーン! バッコーン!

 直撃する宙域斬撃改革砲ちゅういきざんげきかいかくほうの緑グロい光弾と、大自由神民主主義銀河神民統一砲の赤黒い光弾が、対抗障壁領域で相殺そうさいされてすさまじい閃光せんこう電磁的衝撃でんじてきしょうげきを発生させる。電磁的衝撃が船体に干渉かんしょうして振動しんどうさせて、クソうるさい轟音ごうおんを生み出して、アイアンブルーとガンメタルグレイで構成された艦橋の空気をふるわしらす。

「くそがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」

 轟音に負けじとすさまじい悪態あくたいをまきちらし、船のスロットルペダルを踏み込み操縦桿そうじゅうかん繊細せんさいに動かし、銀河一逃げ足の早い操縦士が本気を出す!

「あ、あ、あ、あ、アーク」

 真っ赤なリンゴみたいに赤い瞳のお目々(めめ)をひんむいて、ハードなレザー仕様のバトルスーツでガチガチに身を固めたサディが、その身をぶるぶる震わせている。黒いマニキュアが映えるお指で、巨大なリボルバーカノン型の主砲操作桿をサディは握るが、その指はわなわなと震えている。さらにサディはお口を数回パクパクさせた後、ようやくアークの名を口にしたのだった。

「なんだ? サディ」

 戦闘用フルハーネスで、自席にいつもの濃紺のミリタリージャケットに包まれた体をガッチリ固定しているアークが、でーんと腕を組みつつ、横目でなんだか様子のおかしいサディを見る。

「な・ん・で・逃げるんだよ…………。撃とうよ……。ブッ放そうよ……。これだけ撃たれているんだよ……。あいつら、あたしたちをマジで殺すつもりなんだよ……。自衛するんだよ……。やりかえすんだよ……。あいつら全員ぶっ殺して、知的生命体を撃つってことがどういうことか、骨身ほねみにたたきこんであげようよ……」

 サディはお口を数回パクパクさせた後に、なんとか言葉をしぼりだしてそう言った。

「サディさん。撃っていいと言った弾の数。覚えていますか?」

 上昇していく対抗障壁使用率を読み上げることもなく、タッヤは静かにサディに言った。

「この船のうるわしのケツを追っかけ回す艦の総数は、撃っていい弾数をとっくの昔に超えています」

 レーダー盤に視線を落とし、気持ち悪いくらいに群がる光点をみつめて、AXEが冷静な声で言った。

「例え、一門一隻必中いちもんいっせきひっちゅう一撃必殺いちげきひっさつ仕留しとめていったとしても、イシーンズ及びSS艦を全数沈めることは、不可能な状況と判断します」

 ミーマが冷酷れいこくに、残酷ざんこくな現実を状況分析。

「カナシイコトニ、シュミレーションデハツンデイル」

 イクト・ジュウゾウがめずらしく、ロボットらしく静かに言った。

「それじゃあこのまま、あたしは一発も撃つことなく死ねって言うのかよ! アーク! あんたが一回もおナカにおナマでおイレしてもいない女のために、このままあたしに死ねって言うのかよ?! アーク! おめーのおちんたま勘定かんじょうは、いったいどうゆう作りになっているんだよぉぉぉぉぉ?!」

 サディが絶叫し、ふりあげたちいさな拳を武器管制盤に振り下ろす!

 ブチますッ! ドッカーン! 

 サディの全身全霊ぜんしんぜんれいの台パンが生み出す衝撃しょうげきに、巨大なリボルバーカノンを模した主砲操作桿がゆらいで動き、イービル・トゥルース号の主砲塔が旋回せんかいを開始する。

 


「敵艦! 主砲塔しゅほうとう旋回せんかいを開始!」

 イシーンズ宙域斬撃改革艦隊旗艦ちゅういきざんげきかいかくかんたいきかん鮮烈斬撃せんれつざんげきスーパー宇宙戦艦ヨシム・ラーヒフロミのメインモニタに、はじめて動きをみせたドレトロデザインの主砲が映し出される。

「ノーーォォ! ヒガシ! ブラック! ウッドンッ!」

 ヨシモトムラ・ギョーコーズ達が、両手を前に突き出し振って拒絶きょぜつして、両足で地団駄ぢだんだを踏んで否認ひにんする!

 カッコよくデキる雰囲気ふんいきにキメながら、どうしても隠しきれないアクの強さがにじみ出るおっさんの心は、その映像にピクリと揺れた。

 まさか……。撃ってくる?! 

 こちらは多数。そっちは一隻。圧倒的過半数の前に、黙って沈むのが流れってものだろうが……

 もしも……。もしも……。一発でも撃ってみろ……

 後で、弁偽師べんぎしとしての全力をもって、法的にスラップスラップ。そのツラ、叩き飛ばして……。やるからな……

 


「敵艦! 照準しょうじゅんを合わせようとしています!」

 大自由神民主主義銀河神民統一教会党、通称・大自民統一教会党所属、総合任務担当大臣、ハイワン・ツァオミャオの座乗ざじょうする、森羅万象宇宙戦艦しんらばんしょううちゅぅせんかんキシガ・イフミーオの戦闘指揮所にどよめきが走る!

 まさか……。撃ってくる!?

 ツァオミャオの背中に冷たいものが流れる。

 ヘル・オチタのクソ野郎の立場たちばあやうくするために、こっちはそっちを沈めちまわないように、メッチャクチャ忖度そんたくして手加減てかげんして主砲の出力をしぼりまくって、だけどやってる感だけはでるように、とにかくたくさん撃ってやっているんだよ!

 それにくらべて、西の方角から現れたイシーンズ艦隊は、全力フルパワーでてめえらにブチこんでいるんだ! と言っても、見た目はスーパー宇宙戦艦だが、その中身はるしの廉価れんかかプレハブ宇宙戦艦タイプX (ダメ)。それが宙を斬る改革イシーンズの実態。プレハプ宇宙戦艦の格安廉価砲かくやすれんかほうにかざりをつけた、見た目だけは巨砲の破壊力なんてたかが知れてる。貴様が沈むことはないだろう?

 撃つならイシーンズを撃て!  

 ツァオミャオは心から、旋回を開始した砲塔がイシーンズに照準をあわせることをいのった。

「ウチカエサレルナンテ、アリエナイヨ……。コワイヨ、コワイヨ、コワイヨ、コワイヨォォ……」

 必勝と書かれたメシトリベラをふりまわし、はだけることを前提ぜんていに設計されたスカートを想定そうていどおりにらしてみだして、下着ド200%な設定上アンダースコートをモロチラモロチラさせながら、メガネっ娘人工知能が涙まじりにモエモエボイスでイヤイヤイヤイヤと繰り返し、か細い身体をクニャンクニャン。

 くそがぁぁぁぁ……。

 このクソイラつかせるモエモエボイスと、性的過剰演出せいてきかじょうえんしゅつな人工的に製造された模造品もぞうひんのクソメガネ幼女ようじょモドキめ。

 いっそウサギのきぐるみでもかぶせてやれば、ちっとは神経逆撫しんけいさかなでするのを減らせるだろうか?

 ハイワン・ツァオミャオは、ガチでバチバチのドンパチ局面きょくめんで、そんなことを思ってしまう。

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