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海賊放送船イービル・トゥルース号の冒険  作者: 悪魔の海賊出版
第四部・白薔薇の君

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海賊放送船を名乗る意味

海賊放送船を名乗る意味



 星空のしたに広がる、野薔薇のばらと様々な花が咲きみだからみ合う野生の庭園で、アークはサディに話し出す。


 45口径46銀河標準センチメートル砲三連装四基十二門を背負い抱き。船尾に副砲三連装一基三門。各部に迎撃用パルスレーザー砲多数。船首には特装宙雷発射口六門。さらに突撃刺突衝角とつげきしかくしょうかく一基。こいつらをフルどころかオーバー・ドライヴさえさせる、強力無比きょうりょくむひなエニグマ・エンジン及び、それを冷却れいきゃくする補助動力機関を搭載とうさいする驚異きょぅいの船。

 海賊放送船なんて名乗っちゃいるが、イービル・トゥルース号はガチでバチバチの暴力兵器をんだ、マジモンの宇宙戦艦だよ。

 だが、イービル・トゥルース号は、それでも船と名乗ることに、意義いぎがある。

 俺達は戦争をしたいわけじゃない。俺達は消極的戦争主義に染まった、本物の戦争屋だ。

 権力者様の言いぶんを右から左にお流しする、神様の公共放送みてえなもんとはまったく違う。あらゆる権力のケツを蹴っ飛ばす、残弾無限ざんだんむげんの海賊放送が俺達のシノギだ。俺達のシノギは、微力びりょくながら世界に波紋はもんを生み、その波紋はいつか大きな波になるだろう。そういう思いでやってきた。

 なのに、なんでだろうな……。世間様ってやつはどうにも身勝手みがってでわがままで、本当にままならねえ。

 結果はこうだよ。やってきたのは戦争という名の、人為的大災害じんいてきだいさいがいがもたらす津波つなみだよ。

 俺達のやっている海賊放送稼業かいぞくほうそうかぎょうが、時代遅れになっちまったってことなのか?

 だけど俺は思うんだ。結局こうなっちまった今こそが、俺達がやってきたシノギが、本当に必要な時代なんじゃねえかって。

 なのに、現実には今、シンセティック・ストリームに突っ込んで、海賊放送をやったって、とっくの昔に遅過おそすぎるんだ……。

 海賊放送船イービル・トゥルース号が、いつもの海賊放送稼業の道を選べば、たぶんシュライザーローズは死ぬだろう。

 俺は俺のやりたいシノギで、結果的に誰かが殺されるってのは納得なっとくできねえ。

 なのに、じゃあ、海賊放送船が、ガチのバチバチの宇宙戦艦として、シュライザーローズに加勢かせいしようってのも、そいつは俺達のシノギじゃねえよなって思っちまうんだよ。


 サディはアークの言葉を聞くと、野生の庭園に転がる小石をコツンと蹴って話しはじめる。


 アーク。いまはもういつかの昔になっちゃったあの頃。あんたはあたしにこう言った。

「ただの暴力でも暴虐ぼうぎゃくでもない、だけどガチでキツイヤツを撃たせてやる」

 あの時、あんたの言葉をあたしは信じた。だからあたしは、いまも海賊放送船に乗っている。

 あんたが基本的に暴力的な暴威ぼういで、イカレてるくらいに残虐ざんぎゃくだってことはわかってる。だけど、あんたはそれを必死でおさえ込もうとしているのもわかってる。

 本気を出せばガチでヤヴァイのに、必死で猫をかぶって、一見パンダみたいな日々をおくっていることも理解してるよ。

 ……だけどさ。だけどさ……

 ずっとずっと猫被ねこかぶって、誰かがぶん殴られてるのを前に、だんまりしているヤツじゃないってこともわかってるよ。

 あのころ。いまはもういつかの昔になったあの頃の言葉、そろそろ本当にしてもいいんじゃない?

 来るべき時がきたんじゃなくて。来てはいけない日がきてしまったんだよ。だとしても、来てはいけない日に、どうふるまうかは決めることができる。

 どっちの選択も、100%の正解はないよ。

 どちらをえらんでも、どこかに不本意ふほんいな気持ちは残るだろうね。

 だけど、結果は違う。

 事実上見殺じじつじょうみごろしにした VS 俺はあの時立ち向かった。

 たった一隻の宇宙戦艦の加勢かせい大局たいきょくを左右するなんて、この私だって思っちゃいない。

 だけどさ。

 あの時、見殺みごろしにしなかった。

 この事実は永遠にかえることのできない、むきだしの真実だ。

 あの時、俺には俺のやり方がある。と言って、結局見殺しにしちまった。

 その事実は、永遠にかえることできない邪悪なる真実だ。

 なにより、最初になぐってきたのはあいつらだ。

 アーク。おちんたまついてんだろ? 殴られっぱなし、うばわれ放題なんてのは、あんた一番嫌いだろ。

 だったら、アーク。

 あんたはいったいどっちを選ぶの?

 

 ……。

 言いたいことはわかるよ。毎度毎度、なんで俺のおちんたまについて、イチイチ言及げんきゅうするのかだけはわからねえが……

 だけどな……

 死ぬかもしんねえけど、やろうや。

 なんて言えるかよ。

 俺だけがドンパチするなら、そっちのほうが本業ほんぎょうなんだ。よろこんでいいシンセティック・ストリームをバンバン作るぜ。

 だけどな、俺一人が乗っている船じゃねえ……


 アーク。ガキが乗ってる船じゃねえんだよ。

 アークにそそのかされて、ドクロのツラしたヤヴァイ船に乗っている、坊やとお嬢さん達じゃないんだよ。

 そこを尊重そんちょうしなよ。アーク。

 AXEはいつも冷静に考えている。ミーマは腐った世界に関しては直情的ちょくじょうてきだけど、状況はしっかりみてる。

 計算にはうるさいタッヤだって、なぜか今回はやるって言ったんだ。

 いつもいつもいつもいつも、バックレることばっか考えているネガだって……。

 コタヌーンさんもオクタヌーンさんも、夫婦で決意固めたんだよ。

 アーク。あんたはいいかげん、パンダのきぐるみをぐ時がきたんだ。

 アーク。わかるだろ?


 サディはアークの胸ぐらをつかみ、真っ赤なリンゴみたいに赤い瞳を、ふたりのひたいとひたいがくっつくほどに接近させる。

 夜空のしたで暗い色に沈むアークの瞳を、サディは赤い瞳でにらみつけて、口を開く。

「ガキじゃねえんだよ!! あんただってさ!!!」

 野生の庭園の静けさを、すべてかき消けすほどの大声で、サディはアークにそう言った。 

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