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海賊放送船イービル・トゥルース号の冒険  作者: 悪魔の海賊出版
モッキンバード侵攻作戦

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脳散らす号

脳散らす号


「まだ日中ですが、いいんですか? アーク?」

 タッヤがアークをみつめて言う。

「ああ、見事にSSどもはまけたし、ソナーにもずーーっと感はない。だからもう出ても問題ないだろう」

 アークが答える。

「久しぶりの地上なんですし、アークも行かれては?」

 タッヤがアークをそくす。

「いや、なんと言っても初日だしな。ここは一日中でも海賊放送を流したいところだし、この星に降りてまだ一日、何があるかわからんというのもある。俺は船に残って海賊放送。落ち着いてから陸にあがるよ」

 アークはそう言ってヘッドセットを指で叩く。

 タッヤはアークをみつめていたが、軽く羽を広げて言う。

「それではお先に」

 巨大スズメのタッヤが羽をこめかみにあてる。おそらく人差し指と親指で拳銃の形をつくり天に向ける、あの独特の敬礼をしているのだろうが、羽の先はいつもとかわらないようにみえ、ごく普通の敬礼に見えた。

「よろしく頼む」

 対するアークは例の手で作った拳銃を天に向け、こめかみにそえるあの敬礼。タッヤはタラップをちょこちょこ歩き、brain distraction号の中へと消えると、タラップが格納されてハッチが閉じて行く。

 コタヌーン機関長と奥様のオクタヌーン。AXE、ミーマ、サディ、ネガは、すでにイービル・トゥルース号の格納庫にあるbrain distraction号に乗り込んでいる。

 アークは一人、イービル・トゥルース号に残ることを選択。

「イクト。brain distraction号出港」

 アークがヘッドセットを操作して、艦橋にいるロボット乗組員のイクトに伝える。

「brain distractionゴウ。イッキマース」

 どこかの星系でディープラーニングしたのであろうセリフをイクトが言うと、格納庫のbrain distraction号はエアロックへと消え、水中へとおくりだされる。

 イービル・トゥルース号の格納庫を離れたbrain distraction号は、エアロックから水中へ、そして海面に浮上する。海面にぷかりと浮かんで安定すると、水平線の先にある陸に向かって動きだす。中型のレジャークルーザーに偽装されたbrain distraction号は、休暇中のクルージングのような雰囲気で怪しいところはひとつもない。

「外だ!」

 サディがbrain distraction号の扉を開けて外に出る。

 気持ちの良い海の香りと、降り注ぐ太陽の光の中でサディは深呼吸をする。イービル・トゥルース号の中で吸っている循環再利用の空気とは別世界の、素敵過ぎる空気を胸いっぱいにとりこんで、サディはうっとりとする。

「こいつはいい天気だなぁ」

 続いてコタヌーンが、手をひたいにあてながらまぶしさに目を細めて外に出てくる。

 コタヌーンの横をオクタヌーンが折りたたみテーブルを抱えて通り過ぎ、後部デッキのひさしの下にテーブルを設置。後から続いたミーマが椅子を並べて後部デッキにオープンエアの席を完成させる。AXEがテーブルの真ん中に氷と缶飲料が入ったクーラーボックスをドン! と置く。それぞれが席に着き飲み物に手を出すなか、クルーザーを偽装したbrain distraction号の操舵輪を握るネガは……

「クソが……」

 とつぶやいていた。

タッヤが太陽の光がもろに降り注ぐ、ひさしのない後部デッキの端まで行って、羽を広げて風と日光にあてる。

「飛んできてもいいんだよ」

 後部デッキの手すりに寄りかかって潮風に吹かれるサディが、タッヤに向かってニヤリと笑って言った。

「あとでたっぷり飛ぶことになるので、今はやめておきます」

 タッヤはそう言って、太陽の光を羽毛に当てている。

「つまんないなー」

 サディは残念そうな顔をする。

「それに、空を飛びまわっている先客がいるみたいですし」

 タッヤは空を見上げながら言った。

「んー?」

 サディが視線をタッヤが見上げる空にうつすと、そこには空を翔ける三機の戦闘機の姿があった。



「隊長! 海賊放送電波をロストしました!」

「また消えやがったかぁぁぁぁっ!」

 無線にツゲルの怒声が流れる。

 あのマジキチのドぐされ外道の海賊放送電波を追って出撃してはや一時間。ツゲルは昨日撃沈したはずのやたらレトロなデザインをした、所属不明の宇宙戦艦を発見することができないでいた。

「新たな海賊放送電波発信源を補足! 南におよそ250キロ」

 無線に入る新たな情報に、ツゲルはさらに怒りをつのらせる。

「おのれぇぇぇ! System Self-Defense Forceをなめやがってぇぇぇぇっ!」

 ツゲルは機首を南に向けると、フルスロットルであのマジキチのドぐされ外道をもう一度沈めるために、音速を超えて空を翔ける。

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