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捨てられ我が道を行く姫とたった1人の番犬  作者: ハル
本物の鬼ごっこ
73/164

73話

風邪ひいて、更新できませんでした。

次から新章開始します。

なるべく、毎日更新予定です。

引き続きよろしくお願いします!!

 李白鳳の肯定に即座に不満を言うのは後ろにいたはずの瑛斗だ。彼は上司であるはずの彼に対して詰め寄っており、怒りで頭が混乱しているのか日本語ではない。恵には何を言っているのか全く分からないが、瑛斗が恵の番犬を降りたくないと思っているのは伝わる。しかし、だからといって恵もここより確実に狭い場所に引っ越すのに、彼のような大柄な人物と暮らすことになるのは断固拒否だ。

 一通り何かしらの悶着が終わったようで、李白鳳が前に立つ瑛斗を押しのけて恵の前に立つ。


「恵と呼んでもいいか?」

「はい。」


 わざとらしい咳払いをした彼は話しかけてくる。


「恵は瑛斗が嫌いか?」

「嫌いか好きかでは答えられません。まあ、あの広い家で暮らしていた時は彼がいることが当たり前になりつつありましたけど。」

「つまり、嫌いではないんだな?」

「そうですね。」


 恵がうなづくと李白鳳は悩ましげに顎を指でたたく。


「恵はこれからどこで暮らすんだったか?」

「ネットカフェかカプセルホテルですね。貯蓄はそんなにないですし。まあ、佐久良家からの援助と稼いだお金があれば何とかなりますよ。」

「うん、その2つは却下だな。恵に選択肢は3つだ。」

「はあ?」


 李白鳳の言葉に恵は思わず素が出てしまい、低い声が出る。こんな声は生まれて初めて出したので自分でも驚くが、周囲はそれ以上らしい。車の窓が開いていて中に取り残されている助手席の少年までもが目を大きく見開いている。

 だが、そんなに注目されていても恵には止められない。


「あなた、何様ですか?私は私です。周囲から指図される覚えなんてありませんよ。それでも何か言うのであれば、佐久良家に伝えてください。これまで支援してもらったお金もお返ししますし、今後お金を援助してもらうことも他に何か援助を私から求めることもしていただくこともありません、と。私は私で生きていきますから。」

「恵、悪かった。俺はただ。」


 まだ何か言おうとする李白鳳に対して彼女はにらみつけて黙らせ、はあ、と息を吐いて落ち着かせる。


「では、私はここで。桜井さん、あなたとはここでお別れです。また、学校で会いましょう。佐久良家の人には返金用の口座をメールにて連絡してもらうように伝えてください。それを確認して、金額的に難しい場合は今の通帳と印鑑をそっくりそのまま渡す形になります。」


 恵は頭を下げてその場を立ち去ろうとしたのだが、背後から急に両手が伸びてきて彼女の体全体を抱きしめる。


「恵さん、落ち着いて。」


 一瞬、気を取られて動けなくなったが、声を聞いて恵はすぐに相手がわかる。柔らかい声は何となく瑛斗に似ているが、その声は別人だ。


「先日はありがとうございました。雪村さん。」

「いいえ、僕はただ教えただけですから。それよりも、例の件を止めてくださりありがとうございます。」

「いいえ、私は自分のためにやったことです。それに、今回の件にかかわったことで探していた人にも会えました。」

「そうですか。それはよかったです。」

「はい。」


 誠秀の登場で周囲に緊張が走るが、恵は逆に先ほどまでの高ぶりが嘘のように落ち着いていく。


「ところで、先ほど住む場所に困っていると聞きました。」

「はい、家がこんな状態なので。」

「確かに、これは結構な被害ですね。あの一件で嫌な部分は人への被害は無くなってもこういった物への被害は無くならないんですよね。」

「そうなんですか。」


 恵は苦笑して流す。

 彼女の頭の中ではとりあえず日が暮れてきたので今晩の宿を探すことだけだ。携帯があれば検索をかけられるのだが、彼女は携帯を持っていないのでそんなにすぐにはわからない。


「よければ、僕の家に泊まりますか?僕も間借りしているので一存では決められないんですけど。」

「連絡してくれますか?家主に。」

「はい、ちょっと待ってください。」


 誠秀はいそいそと電話を取り出してどこかへ電話をかけると、相手の話がついたようだ。


「問題ないみたい。このまま向かってもらっていいって。ちょっと気難しいところがあるけど、基本的に良い人だからきっと大丈夫ですよ。」

「ありがとうございます。」


 恵はほかメンバーに目もくれず誠秀についていく。


 恵が初めて瑛斗との交流を拒んだ瞬間だ。

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