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捨てられ我が道を行く姫とたった1人の番犬  作者: ハル
修学旅行にはアクシデントがつきもの?
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102話

 真っ白い肌に黒い髪と真っ赤な口の最近張り替えられたような木の床に座っている女性。

 ただ、大きなお腹が垂れて床に彼女の体より1メートルぐらい出ているというアンバランスな体型をしている。それを見たとき恵は驚愕する。


 妊娠するにしてもあれだけ出る人っているの?一体何人産む気なんだろう?


 恵は失礼なことを出す。

 いや、これは結構失礼な言葉で、女性相手にこんなことを言えば、確実に周囲からも失礼な目で見られるだろう。

 その女性はニヤリと笑いながら恵を上から下に舐めるように見て笑う。


『あなたのような不細工が私の話相手?』


 彼女は言う。

 本当に正直な言葉の羅列に恵は胸が痛い。それが周囲からの自分への印象なのは知っているが、こうもストレートに言われると恵はめまいがする。

 だが、恵はそれは足を踏ん張って動揺を見せない。思いっきり顔は引きつらせているが、それ以外には何も見せないようにする。


「不細工なのはそうなんですが、そこまではっきりと口にしなくても。」

『事実じゃないの。』


 恵の言葉を遮ってコロコロと玉を転がしたように笑いながら女性は言う。その口調はまるで気位の高いお嬢様のようだ。

 背後と周囲と肩のあたりから”不細工”と言う言葉が出てからというもの、よくない恐ろしい気配が漂っていて恵はそれらから視線を外すためにも付き合っていて気分が良くない相手と対峙するしか選択肢がない。


「そうなんですが・・まあ、いいです。えっとあなたは何と呼んだらいいですか?」

『そうね。私のことは月姫様と呼んで。』

「わかりました。」


 恵は平然と答えはしたものの、目の前の女性に対しては恐怖が先走っています。


 この人、やばい。いや、人に見えるけど実際は人じゃないからありなの?傍から見たら中二病な気がするけど。いや、異能なんてものじたいがもうその領域。


 恵は周囲から自分がどんなふうに見えているのか、その周囲の人になった気分を初めて味わったことで知り、ため息を吐きそうになる。


「月姫様は一体ここで何をしているのですか?」

『あら、あなた容姿も悪ければ察しも悪いのね。』


 彼女に言われた言葉が棘になって恵の胸を刺す。


「すみません。」


 と、恵は頭を下げて言うと、彼女は仕方ないとばかりにウフフと笑ってこちらに大きなお腹ごと向ける。恵とと彼女の距離の半分ぐらいがお腹で埋まる光景なんて普通に生きてみることはないだろう。


『私のこのお腹を見てわからない?』


 その女性の目はうつろでありながら黒く濁っているというのに、手は優しくお腹をなでている。あまりにも似合わない二つの動作に恵の中は混乱でいっぱいで口から言葉が出ない。その女性は恵の方を見て口角を上げる。ただ目が真逆の感情を醸し出しているために口の動きをそのままの感情にとらえられない。


『ここまで察しが悪いのを話し相手によこすなんて”あの人”は一体何を考えているのかしら。』


 まるで、「困ったわ」と言うように頬に手を添える彼女。

 彼女が示すその人は誰なのかを恵には思考を巡らせられない。この目の前にいる何もかもがつじつまが合わない人に夢中だからだ。

 そして、そんな先ほどまでは混乱ばかりを抱いた彼女にそれがいつの間にか興味に変わり、膨れ上がった興味を抱いてしまった恵はその場で両ひざをつく。


「あの、月姫様、こんな不器用な私とお話しませんか?」

『そうね。今までこのものたちの世話をするものもいなくて困っていたの。だから、それもしてくれるなら嬉しいわ。』


 オホホ


 彼女は手を口に添えて上品に笑う。

 その笑い方は本当に現代とは違う、時代を遡ったところからやってきたようだ。

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