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リレー小説が描きたい日もある3

大事なとこポイント

坂田雷斗は大道美紅の事が好きだ。

大道美紅は過去に雷斗と会っている。

雷斗の妹は雷斗の事が好きだ。

雷斗の友達の海野は変態だ。

雷斗の後輩の清水はロリだ。

雷斗と同じクラスの高野は厨二病だ。


「……こうやって見ると結構カオスなんだよなぁ」

「それをまとめてるのがまず凄いよなぁ……。榊原先生まじリスペクトっす!」

「うるせぇ。んでこれの続きを書くのねぇ……」

 いつも通り部室で話している……と思いきや今は衛藤の自宅にて。

 リレー小説2番手である衛藤とリレー小説発起人の優真は、ストーリーの内容とキャラのおさらいをしている所である。

「まぁ榊原が物語の半分書くって時点でアレだけどな。俺たちにとっては助かったって感じだけど」

 そう。

 実は榊原。このリレー小説の枠の約半分を書いた。

 実際は5等分する筈だったのだが、筆が乗ったという理由で半分を書き尽くしていた。

 文章が面白すぎただけに誰一人として文を削減することは無く、結果的には残ったその半分を4等分する事になった。

「とはいえ……なんであの後を書かなければいけないんだろうか……。もう現実逃避してエロゲしていい?」

「ダメだよ。そもそも未成年はやっちゃダメだよ」

「お前もやってんだろ」

「……」

 沈黙する優真。

「とりあえず書かなきゃいけねぇ事には変わらねーからなー……」

「えっちなストーリーにはするなよ?藤宮さんにも読ませるんだから」

「藤宮先輩って下ネタとか無理なの?案外裏ではヤバそうだけどな」

「……。とりあえず早く書いてよ。俺がいるうちにさ」

「なんでそんな偉そうなんだよ……。まぁ描いてみるかぁ……」

 書きたくねぇなぁ……と苦言を漏らしながら

 書き上げた文がこちらである。



───────────────


(中略)

「私ぃ……お兄たんのことがァ……好きなのぉ……」

 実の妹からの甘い声に俺は理性を揺るがされる。

「何言ってるんだ……。俺たちは兄弟だぞ」

「兄弟なんてぇ……関係ないよォ……!」

 妹の明奈はそう言って実の兄である雷斗の唇に、自らの唇も重ねる。

 ねっぷりと。そしてたっぷりと。

「や……やめろ!俺には好きな人が……」

「知らないよぉ……?お兄ちゃんはぁ……私が頂いちゃうからぁ……。体はこんなに正直ナノにぃ……」

「ぐぅ……うっ……」

「貫いて……お兄ちゃんっ!」

 そうして2人は身を重ねた。

 その後雷斗はなにか吹っ切れたように明奈を求め、明奈も貪るように雷斗を求める。

 こうして雷斗は美紅を諦め明奈を選んだ。

 ここから始まる2人のちょっとエッチな恋愛模様をご覧下さい。




「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

「いだっ!?急にどうした!俺はあくまでリレー小説の続きをだな……」

「黙れ。死ね」

「お……。ガチの声やめろ……怖い」

「私もそう思うわ。衛藤くん。ぅぇ………」

「名前を出すのすらその有様なの!?何がいけねぇんだ。あ。ヒロイン変えたこと?」

 部室はまさにカオスだった。

 優真が部室に入った時、既に顔を真っ赤に染めてうずくまる藤宮が。

 嫌な予感を感じながら部室の奥に行くと戦慄に手を震えさせ、殺気を放つ朝比奈が。

 さらにゴミを見るような目で……その目線の先にいた衛藤を見つめる榊原が。

 正しくカオスと言わんばかりの状況であった。

 そして今……。そのメンツにガチギレ兄貴が加わった事により、その画は地獄絵図と化していた。

 いずれもそうなる原因は衛藤の書いたリレー小説の内容である。

 藤宮は「こんな破廉恥な物を読ませるなど……!」とあまりの恥ずかしさに撃沈。

 朝比奈は「この明奈って優真の書いたあの子だよな……?貴様どうやら死にたいようだな。ほら。何処へ行く?こちらへ来な?」とキャラ崩壊。

 榊原は何も言わずに無言の圧力。

 優真は自らの妹の名前をしたキャラがこの物語の主人公とセックスするシーンを見てひたすら激怒。

 当の衛藤は「え、え?なんかダメでした?」という始末。

「ダメに決まってんだろ。ガチでこれは3週間許さん」

「嘘だろ……。お前が3週間って……。ガチギレじゃねぇか」

 実際当たり前である。

「これ妹さんにはとても見せられないわね。勿論だけれど書き直しなさい」

「え……でもこれ自信作……」

「書き直せ……書き直せ……」

「ひっ……!書き直します!」

 背後からの強烈な殺気に気付いたのか衛藤はあっさりとその言葉を飲んだ。





 衛藤が小説を書き直している間。

「なぁ……優真……」

 さっきまで顔を埋めていた藤宮が、まだ赤い顔を持ち上げ、優真に話しかけてくる。

「どうしました。しょうもない事だったら今ならホントに切れますよ」

とんでもないとばっちりだが仕方ない。

あの文読まされたら誰でもそうなりますはい。

「いやその……」

 なおももじもじとして一向に語る気配がない藤宮にピシャリと。

「早く言ってください。俺が暴走する前に」

「おう……では言うぞ」

「だから早くしてくださいって」


「……セックスって……そんなに気持ちいい物なのか……?」

「ぶふっ……!?ちょっ……なんで今回そんなに下ネタ多いんだよ!ダメダメ!そういう言葉は言っちゃダメです!」

「試してみるか……?減るもんじゃないし」

「減る!減ると言うか無くなるから!そういうのは好きな人に……」

「お前ならいいと思っている!」

「何言ってんの!?」

「私はお前が好きだからな!」

「だからそういう話は……って……え?」

 沈黙。

 何気なく話していた優真と藤宮。

 そんな中藤宮が突然爆弾を投げ込んだ。

 榊原は目を見開き、衛藤は飲んでいたコーラを落とす。

 朝比奈は……未だ殺意を抑えきれていないながらも明らかな動揺を見せている。

 そして優真は……

「あは……あはは、やめてくださいよそういうの!ドキッとしちゃうんだからもー!」

 笑っていた。

 まさかそんなはずは無い……と、

 ただ笑っていた。

 自分の事が好きな人なんて出来るわけないと。

 もしいたとしても……いたとしたら、



『突き放さなければいけない』と。



 そんな思いで乾いた笑い声を振りまく。

 嘘だと分かっていたとしても、そういうのは……笑えない。

 そんな感情を伝えるかのような、沈黙の中での笑い声。

「ぁ……あぁ。私がお前のこと好きなわけないからな。すまん。ふざけた」

 その気持ちに気付いたのか藤宮も真顔で謝る。

 なんとも言えない空気感の中。

「んじゃあ……俺帰る!腹へっちゃって!」

 ヘラヘラと笑いながら帰る優真。

 その背中を、藤宮も朝比奈も……そして榊原も。

 なんとも言えない顔で見送っていた。



──────────────────




「ってストーリーどう?」

「意味がわからん。なんで私が優真の事が好きなキャラにならなければあかんのだ」

「なんか私も優真のこと好き見たいな描写あったけど~……。舐めないで。と言うか殺意とかやめてよ~」

「本当に気持ち悪い。よくリレー小説にこんなのもちこめるわね。まぁ……ちょっと良かったけど」

「確かに良かった……。なんか俺負けた様な気分……」

「だろ?まぁ賭けではあったけど。不評と好評紙一重のラインで書いちゃったからな」

 以上先程までの衛藤の変態小説から見送っていた〜までは

『衛藤が書いた作品である』。

「んにしても上手く繋げたなお前。まさか同じ作品では確実に無理だろうから現実に持ってくるとは……」

「確かに~。その点では私も書きやすくなったよ~」

 榊原の書いた『高嶺の花と付き合いたい』の続きを書くなんておこがましいと考えた衛藤は、逃げた。

 現実へ。

「まぁ……センスはあったな。と言うか妙にリアルなのがまた怖い。これの続きを書かされる朝比奈も災難だが……まぁ頑張れ」

「はい~……。災難です……。」

 こうしてリレー小説は道を外しながらもバトンが繋がれた。

 はてさてこの先どうなる事やら。

「本当にどうなるんだよ!もう無理だろ!」

 この後各人たちの難易度がまた上げられ。

 またしても優真は絶叫した。

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