爆誕するロリ
「裸シーンに……挿絵がない……」
とあるお宅のベランダにて。
1人の少女がそう呟いた。
その少女の外見は……多く見積っても12歳くらい。
その正しく『ロリ』という言葉の擬人化たる女の子が読んでいる小説は……
『変態ロリコンでもハーレム作れるってのを証明してやる』
以上タイトルである。
ロリが読むにしてはちょっと……どころか絶対過激なその小説。
内容もなかなかな物で(一応全年齢対象ではあるが)、高校生あたりが読む小説と言える。
それを読むロリ──見滝原神子は、夜景をバックにその小説を読んでいた。
黒い髪は2つのゆさゆさが誘惑するツインテールに。
丸っこい目とその身長の低さ、そして胸の膨らみなどからも圧倒的ロリを感じることが出来る。
ちなみに彼女が通う学校は旋風高校という所で佐々木優真や佐々木明奈と同じである。
はい。
うん。
はい。
見滝原神子は小学生のロリっ子ではない。
列記とした『高校生』でありJKであり。
きっちりと年齢は16歳。
明奈と同い年である。
あ。ちなみに優真くんちのお隣さんです。
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「神子ちゃーーん!ご飯できたわよー!!」
1階から聞こえる声。
それは神子の母の声。
そのどデカい声にビクッと肩を震わせ、神子は目覚めた。
「うみゅー……」
昨日は夜更かししていたからかまだ眠そうに布団に再び潜り込もうとする。スマホと一緒に。
布団に入ったらスマホの画面を開きドゥイッターの確認。
その後youtyu-buのチャンネル登録してる人の投稿動画確認、AINEのメッセージを確認する、いつものルーティーンを一通り。
大体その3つが終わったあたりで、
「こらー!まーた布団潜って!早くご飯食べないと冷めちゃうよー!」
「ご……ごめんママ……。で……でもあと5分……あと5分だけ……」
「そう言って起きた事ないでしょー。ほら。おいしょ」
お母さんが毛布を引き剥がし、神子を抱っこする形で立たせる。
「んもー……。子供扱いしないでよ!」
「だって子供でしょー?ほーら。食べるよー」
クスクス笑いながらそう言う母親に、神子は表情をムッとさせながらも、母親と共に部屋から出る。
「ねーママー。実は最近困ったことがあってさー」
「んー?彼氏でも出来たの?」
「そんな訳ないよー……。出来たら私凄いことになるよー」
「凄いことー?まぁよく分かんないけど。朝ごはんは卵焼き。甘いヤツね」
「おぉっ!分かってるねぇー……。あ。醤油かけなきゃ」
リビングへのその短い距離ですらも会話を交わす家族2人。
この2人の仲の良さしかり親子愛は随分と深いようだ。
神子が卵焼きと分かるやいなやそそくさと醤油を取りに行く背中を見つめ、
「可愛く成長してくれたなぁ……。アホっけはあるけど……」
またクスクスと笑いながら……微笑みながら。
母親──見滝原鈴音は幸せそうにそう言った。
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「お母さーん!ただいまー!おぉ!?神子ちゃん!お父さんだよー!」
「いや知ってるから。と言うか朝からうるさいねーパパは」
学校に行くまでの時間、テレビを見て時間を潰していると、見るからに親バカ度全開なパパさんがご帰宅した。
パパさんの名前は見滝原陰陽。メガネをかけてホンワカとした表情を浮かべるパパさんには間違いなく合わない名前である。
「静かな方でしょー。前なんてもっとうるさかったわよー?あなた。もっと静かに出来ないの?」
「1週間ぶりに家族に会えたんだよ!静かになんて出来ないさ!」
「確かにそうね!いいこと言うわねあなた!抱いて!」
はぎゅっ!と。
家族愛深すぎるのは母と娘だけではなく、父も物凄いご様子。
陰陽さんのお仕事はトラック業者の運転手。
週に1度、しかも休みも1日2日程度の仕事で、中々家族に会うことがない。
それ故に陰陽さん。親バカの極みである。
神子があれが欲しいといえば買ってやり神子があれがしたいと言えば出来る範囲でやってやり。
娘のためなら何も惜しまない。
それこそ陰陽さんの……否、見滝原神子両親のモットーである。
「はぁ……朝から仲良いねー。私は学校行くから。またねパパ」
「あぁ……我が愛しの娘よー……行ってしまうんだな。行ってらっしゃい」
「行ってらっしゃいー」
イチャイチャを停め、夫婦2人で娘を見送る。
「うん!行ってきます!」
そんな両親に笑顔満点で。
見滝原神子は返事を返した。
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「……お隣さんうるさいな。こっちは飯食ってるってんのに」
「別に怒ることないじゃん……。まぁうるさいっちゃうるさいけどね」
お隣の家族が幸せな時間を過ごしている時。
優真と明奈は、隣の家からの騒音にイラついていた。特に優真が。
「朝は気分悪いってのに……余計気分悪くなるなぁ……。朝比奈に八つ当たりするか……」
「だっダメだよ!朝比奈さんはいい人なんでしょ!」
前回のリレー小説の影響か、明奈は随分と朝比奈を(会ったこともないのに)尊敬しているようで。
優真が朝比奈の悪口を言えば間違いなく怒る。
「あー……まぁ否定は出来ないよね……。なんか腹立つだけだし早く学校行こうかな。明奈も一緒にどう?」
「え?いいの?」
「逆になんでダメだと?」
「あ……。うん!行くよ!一緒に学校行こう!」
ぱあっと顔を輝かせる明奈に、優真も顔がでろーっと緩む。
シスコンとブラコン……。
いやなんでもない。とりあえずこちらも家族愛に溢れていることは確かだ。
こちらもこちらで楽しそうに学校へ向かうのだった。
今日も母は忙しいが。
誰もいない部屋に向けて。
「「行ってきます」」
元気よくそう挨拶をして、2人は玄関から出
た。
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「んでその隣の子がめっちゃ可愛くてさ」
「なんだお前もロリコンだったか同士じゃないかいらっしゃいロリコン同盟へ」
「いらっしゃい」
学校へ向かうため玄関から出た優真。
彼は明奈と共に学校へ行こうと出発した。
そんな時、うるさいと思っていたお隣から、恐らく住人であろう人物が。
おっさんとかなら注意してやろうかなと意気込んだ優真の目に映ったのは、
『幼女』
だった。
しかもうちの学校の制服を着た。
明奈曰く同学年との事で、優真は恐らく5年くらいの人生で1番驚いたと言えるレベル。
少なく見積もって12歳辺りだと思った幼女が明奈と同世代……。
その驚きがファーストインパクトだったが、よく思い出したら可愛いなぁ……あ。衛藤にこの話しよう←イマココ。
そして話して見たら、どこから湧いてきたのか朝比奈も乱入。
「その子の名前は?特定するよ」
「うん。犯罪者だね君。やめようか。と言うかひと目見ただけだよ。名前分かるわけないじゃん」
「そうだぞ朝比奈。特定はダメだ。遠くからじっくりと眺めて……」
「通報したわ」
「ひぃっ……!?」
部室に入ってきた榊原に通報宣言を受け震え上がる衛藤。
「それにしても……優真くんはロリコンだったのね」
「いや違いますが!?」
またしょうもない会話が繰り広げられる文芸部である。
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「……また挿絵なし……。興奮しないよこれじゃ……」
ボソリと。
「もーさ……。メインヒロイン貧乳なのはいいよ別に。でもサブヒロインで巨乳出してもいいじゃん……」
ボソリと。
「というかお風呂シーンもないじゃん……早く出してよ」
ボソリと。
呟くのは勿論神子。
忘れてはならない。
彼女が以下に幼女のような見た目だろうと。
彼女が家族愛に溢れていようと。
そう。彼女は変態だ。
変態なのだ。
これだけは、忘れてはならない。
絶対に……忘れてはいけない……。




