感情
「死にたい」
私はよくそう呟いていた。
気がつくと私は見知らぬ森を歩いていた。その前の記憶を思い出そうにも片鱗さえも出てこない。自分自身でも思い出したくない過去なのだろう。
そんな中、私に声をかけてきた人がいた。
その人とたくさんの場所へ行った。夕焼け染まる海。銀世界の雪山。平凡な喫茶店。数え切れないほどたくさんの場所へ行った。
相変わらず私は死にたかった。そう呟くとその人は「僕は死にたいという言葉も、感情なのだと思う。楽しい。悲しい。嬉しい。寂しい。これだけ感情があるのだから、君だけの感情もあると思うよ。」
それを聞いて私だけの感情が芽生えた気がした。
「君と死にたい」