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前準備(キャラメイク)


 カルテット・シナジー・クエスト。

 このゲーム(というか四大ゲームはどれも良くも悪くも無駄にリアリティの高さを追求するんだが)はかなり特殊かつリアリティのある(リアルとは言ってない)成長システムを採用している。

 レベル制をとっていながらステータスを自分で振れない。初期値もバランスがよくなるように予め決まっている。

 HP、MP、敏捷、耐久、筋力、器用、幸運、魔法耐久、魔法攻撃、精神、持久力etc

 他と比べてもかなりステータスが多いのに自分では選択できないのだ。

 じゃあどうやって決めてるのかといえば、そこが無駄なリアリティ。

 職業と装備などの各種補正、そして何よりプレイヤーの行動の結果で決まる。例えば敏捷を上げようと思えばできる限り走りまくる必要があるわけだ。

 ちなみにこれ、運営による公式の例えである。

 それただの走り込みじゃねーかと誰もが突っ込み、スルーされた。

 もう一つちなみに、このゲームには疲労値も設定されている。現実の体力ではなくゲームの持久力値を判定対象とするものの、長く走ってればそれはそれは疲れるらしい。

 やっぱり走り込みじゃねーかと誰もが突っ込み、当然の如くスルーされた。


 これは職業についても同じで、それに相応しい行動をとっていなければ狙った職業にはなれない。

 同じ職業をとってもそれまでの行動結果で補正値等に微妙な違いがあるというから大変だ。運営は検証班に恨みでもあるのか。

 それでも傾向という形で検証結果は出てるらしいが。プレイヤーの執念も恐るべし。


 さて、ログインすると最初にキャラクターメイキングをしなければならないが……即決。

 リアルそのままを選ぶ。

 ……いや待って、何が言いたいかはわかるけどちょっと待って。

 ちゃんと理由があるから。何も考えてないわけじゃないから。


 まず、一定以上のクオリティのVRゲームには常に問題がある。

 ほんのわずかでも外見を変えてしまうとわずかにラグが生まれて五感も多少鈍る、という問題だ。

 これは技術的な原因でどうしようもないらしい。

 面倒なことに『変えた』という点が重要であって、変更の大小はそこまで問題にはならない。変更が小さい方がマシではあるそうだが、それでも変えない状態には劣る。

 だから最高の状態でゲームをするならリアルそのままが一番だというわけだ。

 人によるんだろうが、少なくとも俺にとってはクオリティが売りのゲームで五感の感度下げるとかありえない。

 同じ四大ゲームのBFTEもクオリティはやばかった。痛覚とか熱さとか極限状態に属する一部の感覚以外リアルそのまま。山岳フィールドで空を仰いだ時の感覚は忘れない。

 隙だらけだったせいで直後にヘッドショット喰らったが。あの屈辱もあの屈辱で忘れない。

 ガチでやりこんでるゲームでアホな失敗するとすげえストレス溜まるよね。

 

 さて、キャラクターメイキングの次は初級職の決定だ。

 このゲームには初級職、下級職(LV50で転職可)、中級職(LV100で転職可)、上級職(LV250で転職可)、最上級職(LV500で転職可)がある。

 あくまで見つかっている職業ランクであってまだ先がある可能性はあるが。

 

 これは慎重に選ばなければならない。この選択がプレイスタイルを決定づけるといっても過言ではない。

 まあ、最初から決めてるんだけど。

 俺は事前に情報集めをある程度するタイプなので、こういうときに迷うことはあんまりない。先に迷い終わってるからね。

 まず、魔法職は決定。

 理由はここ最近FPSをやりこんでいたため。

 精度にはそこそこ自信があるのだ。上手く使えば魔法で狙撃なんていうロマンプレイが可能になるだろう。

 現実で武道とかやってるわけじゃないし、剣とか槍とか持ってもトップレベルの人にはかなわないというのも一因だ。

 魔法にはいわゆる普通の魔法のイメージである詠唱系、使い魔などを使う精霊系、代償を使用する呪術系、複数人で行う儀式系魔法の四種が、このうち狙撃可能なのは詠唱系だけ。特に迷うこともなく詠唱系初級魔法職、見習い魔法使いに決定した。

 最初に覚える魔法属性は風に決定。理由は射程がありそうだから。

 あと見えにくそうだし、対人に向いてそう。


「よし、職業終わり!」


 さあもういくつか選択すれば狙撃タイムだ。

 

 次に選ぶのは装備。初期装備の他に簡単な武器が買える。

 初期装備の時点では布の服しかないため、ここで買えということだろう。

 MP補助のある魔法使い用の杖を選んで買う。

 初期資金1000クロンから800クロンが消える。

 くそ、高いな。結構削られた。


 ……このときの俺は知る由もないが、既にこの時点で運営の洗礼を浴びていた。

 数分後に真実に気づく。

 

 次はこのゲーム最大の目玉、カードシステムだ。

 ソーシャルゲームのようにコストを消費してカードをセットすることで自分のステータスが向上したりダメージを減らしたりできる。

 ランクはFからA、AA、AAA、S、SSまで確認されている。なんか流れ的にSSSもありそうだが未発見だ。

 初期カードは当然ランクすらない。F以下だ。

 なお、保有コストはレベル+取得コストなので今は1しかない。コストの重さと効果の強さは比例するので、現状最低ランクのカードしか使えないわけだ。

 『初めてのカード・魔法』を選択。効果はMP+1

 これで準備は終わった。



 本文中のVRゲームはイコールでフルダイブゲームと考えていいです。そういう時代が舞台です。

 で、FPSも何もフルダイブVRゲームって全部一人称視点じゃねーの、わざわざFPSなんていうか? という疑問を思い浮かべる方もいらっしゃると思いますので、説明を。

 フルダイブVRゲームは基本一人称視点です。例外もありますが、かなり特異な例外なので考慮する必要はないです。少なくともフルダイブのシューティングゲームは基本一人称視点のゲームしかありません。

 だから分類のために一人称視点とかつける必要はないのですが、コンピューターゲーム時代からの流れでFPSという呼び方自体は現役です。

 ぶっちゃけ、言い換えると説明の手間がかかる上にわかりにくくなるな、というメタ的事情があったり……


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