1.天才の君と凡夫の僕
完結させるのが目標。
自分の物書き力に見合った設定にする予定()
「あぁ、美少女になりたい」
またそう呟いてしまった。
美少女になりたい。他人に聞かれれば人間関係がギクシャクすること間違いなしの言葉だ。
インターネットが発達した今現在、顔を合わせずにコミュニケーションを取ることすら可能になってしまった。特にSNSでは、設定したプロフィールと自分の代わりの顔となる画像だけで交流をすることができる。そこに現実での容姿は一切関わってこないし、気にもならない。
そこでは理想の自分を演じることができる。お互いの顔はわからない。そこにあるのは文字のみの会話だけ。言葉ひとつひとつがその人を形作る。顔を合わせるコミュニケーションにはない良さがそこにはある。
そのSNSの中で僕は理想の自分を演じている。ここでの僕は、まさしく理想に相応しい姿だ。
可愛かわいらしい見た目の女の子の画像をプロフィールに使い、言葉の節々に気を使って会話をする。決して男らしい所を見せず、丁寧に対応する。
ガサツなところは見せずに、言葉を荒げずに、それでいて可愛らしく。
僕自身は女の子であるとは言っていない。言っても悲しくなるだけだから。
けれども周りが勘違いすることがある。
『烏兎さんは女性ですか?』
違いますよ。笑いながらそう返事をするけど、僕は嬉しかった。『僕の考えた理想の自分』が可愛らしく見えることが。
その言葉が切っ掛けになったのか、今となってはもうわからない。けれどもその時期から僕はより理想の自分足らんと努力した。
可愛らしいプロフィール画像の女の子に似合う言葉遣いをして、投稿する内容も、パンケーキやら手作りのケーキやらといった女子らしいモノが増えていった。
それを苦に思ったことは一度もない。楽しかったのも事実だ。
けれどもどんなに頑張っても、大きな壁にぶつかってしまう。
「あぁ、美少女になりたい」
どれだけSNS上で理想の自分を繕つくろっても、現実の自分には影響がないことだ。
どれだけ言葉を飾っても、可愛らしいことをしても、女子力をアピールしても結局現実の僕は男のままでそれが似合うことなどない。
だからこそ思うのだ。
美少女になりたい。
叶わぬ夢だと知っていても、手を伸ばさずには、願わずにはいられない。
「はぁ」
思わず溜息が漏れてしまった。
悲しい現実だ。如何いかに理想の美少女を演じようとも、現実の僕が冴えない男であることは変わりようのない事実なのだから。
こうしてSNSをしていくと不思議な縁ができることがある。様々な価値観に触れて、同じ趣味の人と意気投合して仲良くなったり不和になったり。色々な出会いと分かれを経て今の僕がある。
そうした出会いの中で一番に奇妙な縁がある。僕が生まれて初めて人生で『事実は小説より奇なり、なんだなぁ』と思ったことだ。
SNSで知り合った1人が僕の幼馴染だったのだ。それも幼稚園から小中高と続く腐れ縁の。といっても高校に入った頃からお互いに疎遠になっていったが。
どうやってSNS上の僕である『烏兎』から、現実の僕に辿り着いたかは怖くて聞けていない。
大昔の偉い誰かがこう言っていたのだ。
深淵を覗くとき、深淵もまたこちらを覗いているのだと。
だから僕はそこには一切触れない。
久しぶりに会った彼女の第一声が「私の烏兎ちゃんを返せ!」だった時は我ながら困惑したものだ。
それから彼女は定期的に僕の家に来ては、女子としてのあれこれを教えてくれている。
「ああ、今日もあいつが来る日だったな」
8月の11日。第2土曜日。カレンダーに丸が書かれた日。彼女が来る日だ。
高校3年生にもなってお互いに受験勉強すらせずにやれオシャレな店やら女子力やらについて語り合うのはどうかと思う。お互いに指定校推薦で大学に進学する身だから許される贅沢か。
ちょうどインターホンが鳴った。
「いま開けるぞー」
返事をしながら階段を駆け下りる。
「お待たせ。如月さん」
ドアを開けると彼女が立っていた。
タイトなジーンズに白のシャツ。鼠色のカーディガンを羽織ったラフな格好だ。
彼女は抱えていた黒のハンドバッグを閉じると、僕に向き合った。
「遅いよ、優」
「そんなに待たせてないだろ」
「私は烏兎ちゃん以外に厳しいの」
「はぁ……」
呆れた顔をした僕には目もくれずに、如月さんは家に入った。
思春期真っ只中の男女が一軒家に入る。これがカップルならそれはもうピンク色のハートが家から溢れるだろうな。
僕と彼女との間にはそんなこと、天地がひっくり返っても起こりえないけど。
如月さんはなんにも言わずに2階の僕の部屋に向かう。
慣れすぎだろ。
「はぁ」
また漏れてしまった溜息に気づいて、僕は溜息を吐いてしまった。なんだこの無限ループ。
あいつが好きなのはSNS上の『烏兎』であって、現実の『僕』ではない。外の『優』ではなく中身の『烏兎』なんだ。
さっさとお茶とお菓子を持っていこう。あいつが文句を言う前に。
僕は冷蔵庫から麦茶を、あとキッチンにたまたまあったポップコーンを持って二階に上がった。
「はい。これ、お茶とポップコーン」
「ありがとう」
彼女はそれを受け取ると、ハンドバックから1枚の絵を取り出してきた。
銀髪の少女が女の子座りしている絵だ。
「なんだこれ?」
「見てわからない?」
如月さんが首を傾げる。つられて長い黒髪がゆらゆらと揺れる。彼女は何故わからないのかと言わんばかりに不思議そうな顔をしている。
わかるわけないだろ。僕はエスパーじゃないんだぞ。
「この可愛かわいらしさ! 可憐さ! キュートさ! 言葉にしなくてもわかるでしょ? 烏兎ちゃんだよ!」
「……はぁ!?」
如月さんは才色兼備だ。何をしてもトップクラス。模試の成績も、学校の成績も。所属するバスケットボール部ではキャプテンを務めて全国優勝の原動力となったほどだ。
2年の終わりまでは生徒会長として辣腕を奮っていたな。担任の先生が自慢げにしていたのを覚えている。
そんな彼女の渾身の絵が僕の眼前に差し出されているのだ。それはもう、僕の中だとレオナルド・ダ・ヴィンチと並ぶ天才の如月玲さんが描いたものだ。下手な訳がない。
「いや、可愛いのはわかるけどさ」
「そうでしょ?」
改めて絵を見る。
長い杖を抱いて女の子座りした1人の少女。恐ろしい程に可愛い。なんたってあの如月玲さんが、ベタ惚れしてる『烏兎』を自ら書いたんだ。可愛く書かない訳がない。
腰まで伸びた銀の髪に、澄み切った紫色の目。頭頂部から尖った耳が2つ生えてて、顔には何も浮かんでいない。見事なまでの無表情だ。
すごいな、どうやってこんな絵を書いているのか見当もつかない。
それにこの耳、もしかして獣耳か?
こいつ、色々と拗らせてるんじゃないか。
僕がどう言おうと悩んでいると、彼女がその絵を取り上げた。
「まあ優の中の『烏兎』ちゃんがどんな存在かは知らないけど、私の中だとこの子が烏兎ちゃんだよ。世界で一番可愛い子」
「可愛いのはわかるけど、プロフィール画像と全然似てないよな」
プロフィール画像にしていたのは黒髪の子だったはずだ。
「真似るのは如月玲らしくないわ。それに言ったでしょ? 私の中の烏兎ちゃんだって」
僕のSNS上の烏兎ちゃんはインターネットの海から拾い上げた、言わば既製品の画像を使っている。確か深夜アニメのキャラだったかな。
そこが如月さんからしたら気に食わないんだろうな。だから新しく1枚絵を仕上げたって訳か。
「ありがとう、如月さん」
「感謝するなら烏兎ちゃんのほうから通して。そっちの方がいい」
「わかった」
あとでSNSのほうでも伝えておくか。彼女には『烏兎』のほうから話した方が反応が圧倒的にいい。
如月さんはまだ何かあるのか、カバンの中をゴソゴソと探っていた。
「あとはこれ」
「……カメラ?」
「そう。これはウェブカメラ。これで優の動きを読み取って、それを私が書いた烏兎ちゃんの動きと連動させるの」
「するとどうなるんだ?」
「私の世界一可愛い烏兎ちゃんが動くんだよ!」
僕の肩を掴んで鼻息荒く叫んでいるこいつはもうただのヤバい奴だ。誰がどう見ても危ない人だ。
如月さんの黒い瞳は僕を映しているけど、絶対に僕を見ていない。瞳に色がないというか、ハイライトがないというか、寒気を感じてしまうほどに怖い。
「わかったから、落ち着け。頼む」
「――わかった。烏兎ちゃん可愛さに中身の優をダメにしたら私の烏兎ちゃんも消えちゃうから、次から気をつけるね」
どうしてこんな奴に目をつけられたんだろう。
思わず遠い目をした僕に気づいたのか、如月さんはムッとした顔になった。
「不服そうだね」
「そりゃあもう、僕の中の如月玲のイメージが崩壊してるからね」
「あんなもんは周りが勝手に決めつけるものだよ」
僕も前まではその周りと同じ、品行方正で成績優秀、綺麗でみんなから慕われてる生徒会長っていうイメージだったんだけどな。もはやアニメのキャラですら裸足で逃げ出すほどの属性過多だな。
「まあいいや。私はこの『烏兎ちゃん擬人化計画』を進めていくよ!」
「そうか、期待してるよ」
「任せといて、優。私は優の皮がわには興味がないけど中身は大好きだよ」
なんて熱のこもった告白なんだ。思わず僕はむせそうになった。中身はもちろん烏兎のことだろうけど。
綺麗なのは外面だけだろ、如月玲。中身は真っ黒だろ、絶対に。
でもこの計画自体は嬉しい。僕も『僕の考えた最高の美少女』である烏兎が動く姿を見てみたい。できれば話す姿も
けれども女声は難しい。僕にはできないことだから声はほかの誰かに当ててもらうか読みあげソフトを使うしかないな。
「ん? なにこれ」
如月さんはバックから黒に染まった玉を取り出した。
すごいな。光を吸い取っているのか、その玉がある場所だけ黒く塗られたみたいだ。丸い形をした黒い何かっていうのが正しい表現か。
「こんなの入れた記憶ないんだけどなぁ。優、わかる?」
「僕に聞くな。如月さんのバックから出てきたものだろ。持って平気なのか? それ」
「なんか、すごく冷たい」
不気味だ。見てるだけで背筋がむずむずするというか、この場から逃げ出したくなるというか。蛇に睨まれた蛙みたいな気分だ。
顔を顰める如月さんは、その黒い玉を床に置いた。
――いや、置こうとしたというのが正しいか。
「えっ」
「は?」
黒い玉は床に留まることなく、そのまま下に落ちていった。まるで床など存在しないみたいな挙動に僕も如月さんも呆然としている。
如月さんの困惑した瞳が僕を映す。
「どこで拾ったの?」
「わからない。いつの間にかバックに入っていた物だし……」
僕達はじっと玉が落ちた場所を見つめていた。
さっきから悪寒が消えない。まるで本能が、ここから立ち去れと言っているみたいだ。
「ねぇ、なにあれ」
如月がさっき玉を落とした床を指さす。
「なんだ……これ」
床に広がっていたのは液体だ。それも底が見えない程に漆黒のモノ。
「と、とりあえずベッドにあがれ!」
僕はそう叫んだ。
まずい。まずいまずい。
なんにもわからない。けれど、わかる。理性ではなく、脳が、本能が警告しているのだ。
これに触れてはいけない、と。
如月さんもそう感じているのか、逆らうことなくベッドに上がった。
液体は止まることなく嵩かさを増していく。
これは、確実にベッドを越すな。
この部屋の窓はベッドと真反対にある。しかも格子で出入りできないようにされているし、高さも無事では済まない程にある。何故か如月玲が飛び降りても怪我をするところを想像はできないが。
だから、僕達はこの液体に触れる道しか残されていない。
僕は口を噛み締めた。
オカルトだ。科学全盛期の現代日本で、こんなことは起こりえない。冷静に考えて見ればわかる。物理法則を無視したあんな玉があってたまるか。
いくら自分にそう言い聞かせても、悪寒は止まらない。むしろ酷くなる一方で、体が震えてきた。
「大丈夫、優?」
体を抱え込んで座り込んだ僕を如月さんが覗き込んでくるが、手で返事する。
大丈夫だ。死ぬほど怖いけど、大丈夫だ。
演じるのは得意だから、あの如月玲でも僕が怯えていることはわからないだろう。そう願う。
そうこうしている内に、液体がベッドの高さまで迫っていた。
底が見えない。どろりどろりとした粘性の高い、まるでコールタールみたいな液だ。
真っ黒だ。本当に黒い。普通、液体なら光を反射して何かしらが映るはずなのに、この液体にはそれがない。そもそも液体なのかすらわからない。
ただ表面が揺らいでいるからそう思うだけかもしれない。
「ビビってるじゃん、優」
「僕だって、怖いよ、こんなの」
どうやら体の震えでバレたみたいだ。
やっぱり彼女には隠し事ができないな。
そうしてとうとう液体は僕達のところまで来た。
もう座ってられない。少しでも触れる面積を減らそうと立ち上がった。
けれども侵食は止まらない。
「ひっ!」
ゆっくりと、ゆっくりと浸かっていく。
隣の如月さんを見る。彼女は驚く程に落ち着いていた。僕みたいに取り乱すこともなく、ただ冷静にこれを観察している。
本当に同じ人間なのか、僕はつい疑ってしまう。
僕の視線に気づいたのか、如月さんはこっちを見た。
「大丈夫、落ち着いて。ゆっくり息を吐いて」
「あり、がとう」
優しく、そう諭してくる。
けれども無理だ。落ち着けない。
この液体に触れた途端から、体の震えが大きくなった。冷たい。本当に冷たい。
まるで、この部屋に独りでいるみたいだ。
「落ち着いて」
如月さんが僕の手を握ってきて、僕はハッとした。
左手が暖かい。それだけで、安心できる。
「ありがとう、如月さん」
「優、あなたがダメになったら烏兎ちゃんもダメになっちゃうの。だから気を確かにして」
その理由は、本当に笑っちゃうほどに酷いものだったけど、彼女の真っ直ぐな瞳が僕から怯えを払ってくれた。
同じ恐怖を感じているはずなのに気丈な彼女の姿に、憧れを抱いてしまう。
ああ、やっぱり凄いよ。僕なんかとも釣り合わない、本当にできた人間だ。
液体が太腿まで上がってきた。
恋人のように手を繋いでいるけど、お互いにその気がない。その事に笑いが零こぼれてしまう。
「なんで笑ってるの?」
「いや、なんか恋人みたいだなって」
如月さんは一瞬キョトンとした顔をしたけど、すぐに破顔した。
この場に合わないほど大きな笑い声をあげた。
うるさい程だ。空いた手で壁を叩くほどか。
「あはははは! 確かにそう見えるね!」
ひとしきり笑うと、彼女は真剣な表情で僕を見てきた。
液体はもう腰の高さまで来ていた。
不思議と、さっきまであった恐れと冷たさは感じない。いま感じるのは、生温い液体の温度と、左手の確かな温もりだけ。
「私は烏兎ちゃんが好きだけど、それを演じる優もある程度好きだよ」
もちろんLikeのほうでね。彼女はそう付け足した。
「知ってるよ。僕も如月さんのことはLikeのほうで好きだからね」
僕とは釣り合いの取れない彼女に好意を持つのが間違いなのだ。彼女の恋愛武勇伝は同じ高校に通うものとして腐るほど聞いてきた。だから、友達としての好きなんだ。
「こんなオカルトじみた現象が終わったら私の『烏兎ちゃん擬人化計画』に付き合ってよね、優」
「わかってるって」
如月玲は笑った。それこそ、この場ではそぐわないほどの満面の笑みで。その笑顔で、僕は救われた気がする。
少なくとも、最初に感じた恐れはない。
液体は胸元まで迫っていた。
幻覚のはずなのに、確かな感覚がある。質量を感じる。
飲み込まれた部分は何も見えない。本当に真っ黒。
左手の感覚と如月玲さんだけが、救いだった。
「私の計画はここで潰えないのだ!」
彼女は左手を天に指した。大袈裟なくらい動作に、僕も笑いが漏れてしまう。
――そして彼女は消えた。
「……は?」
咄嗟にでた言葉がそれだった。
意味がわからない。本当に、理解できない。
こんな、非現実的なことが、たて続けに起きてたまるか。
部屋に残されたのは僕と、この悍おぞましい黒の液体だけになった。
左手にあった感触も今はない。
「ひっ」
そう思うと、急激に怖くなってきた。
誰もいない空間に1人残されて、冷たい液体の中で凍えていくのか。独りで、誰にも気づかれず看取られずに。
「……いやだ」
僕は、そんなの嫌だ。
けれども足掻こうとしても体が動かない。恐怖に屈しているのだ。体の外側からじわじわと、じわじわと冷たい感覚が伸びてくる。僕の体の内側へと、その範囲を広げようとしている。
怖い。恐ろしい。悍ましい!
なんで僕がこんな目にあうんだ。
こんなことになるほど、罪を犯してはいないぞ。こんな目にあうほど、酷いことをした覚えはないぞ。
ふつふつと、身体の奥底が熱くなってくる。けれどもそれもすぐ静まる。
怒りは恐怖と混ざって、成長して絶望になった。
誰も助けてくれない。誰もいない。独りで溺れていくだけ。
そうして液体は僕の首元まで来た。焦らしているようで、嬲なぶり殺されているみたいだ。
わざわざ回りくどい方法で、人を痛ぶっているのか。
「嫌だ……嫌だ! 僕は、こんな、こんなことで!」
叫んでも叫んでも返事はなかった。冷たい感覚だけがこの場にある。
「げほっ! ごほっ!」
とうとう液体は僕の口に入り込んできた。
もうどうすることもできない。絶望しながら、終わりを待つしかない。
ゆっくりと呼吸できなくなるのをじっとまって、死んでいくしかないのか。独りで。
僕の何がいけなかったのか。神様、教えてください。僕は、不相応な望みをしたんでしょうか。
息ももうできなくて、何も見えなくて、冷たくて。
ただ気持ち悪いこの液体を飲み込まないように、それだけが最後の抵抗だった。
考えることすら億劫になって、何を考えているのかもわからなくなっていく。
ただ自分が消えていくような、そんな感覚だけが残っている。
少しずつ自分を構成する何かが溶けて、洩もれて、消えていく。
もう何も考えないでいよう。
希望を与えられて、取り上げられるのが何よりも辛い。それを、如月玲が消えた瞬間に味わったのだから。ならば、何も望まずにいよう。
どこまでも沈んでいく感覚がして、寒さも恐怖も感じなくなっていく。
もう嫌だ、と。自分の殻に篭って。
僕はそうして諦めた。
【追記】ここでのSNSはインスタ蠅でもFacebo〇kでもLI〇Eでもなく青い鳥が呟いているものを想定しています。