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ぼっち男子伝記物語  作者: 如月シオン
第1章 出会いと事件
9/9

白虎へ会いに



「ーーと、まぁ、國魂さんと俺の関係性はそんな所だ。血が繋がっている訳じゃないが、俺のじいちゃんである事に変わりはないよ」

「そうだったのね。まぁ、薄々分かってはいたけど」


図書館であった事を大まかに話し終えると、春はそう言った。知世も言っていたが、國魂さんと似たオーラを感じたみたいで、何かしら繋がりがあるだろうと。

結果、やっぱり國魂さんは俺のじいちゃんだった。

血の繋がりを考えると『師匠』の方がしっくりくるなぁ……。色々教えてくれたし。

まぁ、呼びやすい方でいこう。


「で、思恩さんはこれからどうするんですか?」


魔夜がそう問うた。

もう既に、やるべき事は決まってるのだよ。


「まずは『白虎』に会いに行く!!」

「「え?」」


ーーーーーーーーーー

ーーーーー


俺、茅ヶ崎 思恩は狛犬事件のあった怪異洞窟なるところへ向かっている

白虎なんて、そんな無茶な。と反対する2人を押し切って朝方神社を出た。魔夜はそのまま自分の家に帰ったらしい。

ーー終わったらちゃんと帰ってきて下さいね!

なんて、魔夜は心配してくれてね…帰る場所があるって素敵。


「っと、着いた……」


禍々しいオーラを放っている大きな洞穴からは少し冷気ーー否、霊気ーーを感じる。

人里、図書館のあった所とは違い、西区の端っこにあるこの洞窟には妖怪が住んでいるらしい。一応、春から貰った國魂の刀を腰につけている。制服姿で。ダセェな。

ちゃんとした服を買おう……。




ーーあとちょっとかな。結構歩いたなぁ……。

既に入り口は遥か後ろ、奥に行けば行くほど霊気は強くなっていく、

…はずなのだが。


「あちぃな…何でだ」


進めば進むほど俺を跳ね返すような熱いオーラが増していく。

何でだ、とは言いつつ大方予想はついている。

これは白虎だ。俺の包帯が輝いた時の同じような雰囲気だ。つまるとこ、ここで長い間眠っていた白虎が、昨日の一件を機に目覚めたとでもいうのだろうか。

ぶつぶつ考えながら歩くと、突然それは目に入った。


「…っ!あった、祠だ……」


眩い光を発するその祠からは強い力を感じた。

無論、俺の右手からも。右手の包帯からも。

白虎と話がしたくて祠に足を進めて手を伸ばすが、一歩も近づかせないかの如く、祠は力を増していく。




クッソ……届かねぇ……いてぇ……

中々足を踏み込めず、数分経っても距離はあまり縮まらない。包帯も強い光を発し続けている。無理が祟ったのか右手も痛くなってきた。

ーーだけど、もう俺は戻らないからな。


「ぬ、ぬぉおおおおおおおおおおおお!!!!!!」


思い切り頭を下げて前傾姿勢になる。その勢いのまま、左足を祠の前までもっていき、

踏み込む!!!

そして、思い切り力を入れて!右手をっ……!!


「おんどりゃあぁぁぁぁぁ!!!!!!!」



伸ばすっ…!!!



「…っ!触れた!!」


直後、俺の視界は白い光に包まれた。


ーーーーーーーーー

ーーーー



うーん、なんかデジャヴ……。

だいたい光に包まれた後は、どこかわからん場所にいるんだよなぁ……。


「……ほらぁ〜」


案の定、目を開けると一面真っ白の世界。

何だか、慣れつつある。というか、慣れた。

まさか、衝撃で死んだとかないよなぁ……。


少し不安になった俺の耳に、1つの声が聞こえた。


『お前、一体何者だ…?』

「まずは自分から名乗ったらどうなんだ?」

『…ふむ』


ハリがあって、直接腹に響くような男の声。

悪そうな声だが、どこか威厳があって、全てをひれ伏せるような強い声だ。あまり年をくってるように聞こえないが、年長者を感じさせる口調だ。

名乗らずとも分かるぜ。白虎。


1つの結論に至った俺の視界に、突如としていくつもの稲光が走った。


「うおっ!!」


稲光は俺の数メートル先の、同じ場所に落ちた。

ーー来たか。

稲光で白く輝くそこから、ただならぬオーラを感じた。

その後、光の奥から出てきたのは、気高く、美しく、力強い、白い毛並みをした、大きな虎。


『じゃあ、自己紹介でもしようか。俺は白虎だ。西を守る、守護獣。四神の1人』

「あぁ、よーく知ってるぜ」

『そうか。まだ俺を覚えてる奴がいるか。それより、お前は誰だ?』

「俺は、茅ヶ崎 思恩だ。今日はお前に話があって来たんだ」

『そうか…』


白い虎は若々しい声で、古風な喋り方で、迫力がそのまま形になったのではないかと思うようなオーラ。

その目、風貌、何から何まで強い意志をもってる。

だから、

偉そうに「お前」とか言うんじゃなかった。怖い。



ーー案の定、その言葉遣いが気に食わなかったらしい。


『どの分際で、俺に向かって"お前"と言ってんだ?』

「!?!?」


白虎は俺に向かって殺気なるものを見せた、直後。

俺の体は、物凄い勢いで白虎から遠ざかっていた。


「ぐはっ…!!」

『ふん、小僧が生意気に。とっとと帰れ』


どうやら俺は、白虎の迫力だけで吹き飛ばされたらしい。

つえぇ…流石神様なだけあるわ。

だけどな、お前の要望には答えられないぜ。

俺、帰る気ないもん。


「ふっ、んふふふふふ……」

『なっ、なんだ急に。気持ち悪いな』

「いやぁ、昔の事を…じいちゃんから聞いた話を思い出してた」

『なに……?』


ーー白虎はな、喧嘩っ早い上に強い。その覇気は凄まじいが、負けちゃいけん。こっちも覇気で勝負するしかない!

子供の俺は何言ってんのか分からなかったが、ついさっき、痛いほどに感じた。

俺、初めて神様と喧嘩します。


「俺のじいちゃん、國魂さんとの話をね!」

『!!……貴様、本当に一体何者だ!』

「ふふふ…いいだろう!自己紹介だ!」


自己紹介という名の、宣戦布告。


「俺の名前は茅ヶ崎 思恩!!祖父に國魂をもち!右手に國魂の力を宿し!國魂の刀を腰に差し!國魂の剣技を扱う!!今日はお前に俺への協力を交渉しに来た!!」

『そうか……貴様が…あいつの言ってた…!!』

「だが、交渉は無理そうだ。お前とは…




ーー殴り合いで決めてやる」




『ふっ…ふはははは!!!いいだろう小僧!否、思恩!!俺の力が欲しければ、まずは自分の力を見せてみろ!!』


全力の覇気を出したつもりだ。どうやら、通じたみたいだ。それより、俺は頭がおかしくなったのかね?

今から白虎と戦うってのに。最悪死ぬかもしれんのに。

すっげぇワクワクしてる!!


自分でも今絶対気持ち悪いと分かってしまう笑顔を浮かべ、腰に差した刀を思い切り抜く。


「すーーーーーーっ……」


刀を中段に構え、大きく息を吸う。

目を閉じて、気を高める。


一撃で決めてやる。


「疾っ!!!!」


目を開くと同時に地面を思い切り蹴り、吸った息を一度に吐き出す。勢いを刀に乗せて。

本気になれば、数メートルの距離くらい……


「一歩で足りるぜ?」

『!?』


距離があり、完全に油断していた白虎を、左下から右上に斬るっ!!


「刄ぁっ!!!」


もう、後戻りできない事を、完全に悟った。

次回はほとんど、バトルシーンかな?

慣れてないけど頑張る!

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