関係性
投稿遅くなってしまってごめん!!!!
第伍話!!新キャラ登場!!
服装とか上手く表現出来ないのでイメージで大丈夫です。
人物がどういうキャラかわかっていただければ!
じゃあ見たってね!
「ふぅ〜ん、現実世界の人間ねぇ…」
「はい」
ご飯を頬張りながら言った春のセリフに魔夜が反応する
「で、國魂さんの孫っぽいと…」
「あ、あぁ…」
今度は思恩が返事をする。
今、俺たちは春が巫女をやっている大國神社にて、さっき退治、というか浄化した狛犬の料理をいただいている。
え、何この字面。怒涛の1日かよ。思い返すと驚きの1日だ。
今日、俺は現実世界から神伝郷に転移して、一つ荒事を成しーー活躍はしてないーーで、夕方。
久しぶりに忙しい1日で俺はちょっとだけ楽しかったりする。
が、今俺は確実に自分にも関係してしまうであろう謎にぶち当たった。
それは先程、春の口から出た「國魂」という人物についてだ。俺のじいちゃんも「茅ヶ崎 國魂」という名前なのだ。
魔夜の口からじいちゃんの名前が出た事に驚き、俺は「え?じいちゃんがどうかした?」みたいな返答をした。聞いてみれば、この神伝郷を昔統一していた神様らしい。四つの方角の守護神である「四神」を操る神様。その後大きな戦争に巻き込まれ、戦争が終わる頃には姿を消していた。ここまでを魔夜から聞いた。
俺は、ただ名前が同じものかと思っている。俺にとって良い祖父であった人が異世界を統一する神様だなんて、とても信じがたい。
だけど、他人事だと思えない。きっと、あの虎を見たせいだ。俺らを狛犬から守った、白い虎。四神の中の一匹で西を守る白虎。そいつの姿を見たのだ。
もしかしたら…関係があるのだろうか…。
と、思い俺は今度図書館に行こうと考えている。
その前に、狛犬作の夕飯を食べよう。
何てブツブツ考えていたら、春の声が耳に入った。
「まぁ、何かしら関係があると思うわ。多分」
「な、何で…」
「あなた、普通の人には思えないもの。何かしら持ってるわよ」
「え、持ってるって…」
その、能力的な!?やっぱ異世界となるとみんな持ってるのかな。まぁ神様が住んでるこの世界じゃ持ってなきゃ辛いよな。事件に関わる事のある守護者しかり、この巫女さんしかり。
「力を持っていると思うわ。あなた」
「ちなみに私は天体を司る力を持っています!」
魔夜が元気よく食器の置かれてるテーブルに乗り出しながら言う。狛犬とのバトルを見る限り星だったり月に関連する技を使っていた。キラキラしてて綺麗だった。
その後、春も一応といった感じで言った。
「私は勘を当てる力を持ってるわ。まぁ…便利ではないわよ」
「まぁ使い方によればすっごい強いんですよ!春ちゃん武術に関しても強いですし!」
事件に関わってきただけあって相当らしい。魔夜の自慢気な声から分かる。
で、俺の持ってる力も気になる…。
「で、俺の力ってのは…?」
「まだ薄くはあるんだけど、相当な力ね。特に、右手から感じる」
右手。包帯の巻かれた、痛々しい右手。
そういや、白虎が現れる前、包帯が光ったような…。
続けるように、春が言った。
「それに…それだけじゃないわね…何かあるわね…」
「え、めっちゃアバウトやん。気になる」
俺としては中々に気になる発言だな。
「まだ分からないわ。右手からだけじゃなく、あなた自身から。まぁ、多分あなたと國魂さんは無関係ではないわ。関係あったら急に白虎が現れた理由もあなたがここに来た理由も頷けるのよ」
「ここに来た理由?」
魔夜の転移魔法に巻き込まれたからじゃないのか?
「何かしら関係してないと神伝郷には来れないの。神と伝記が交わる世界なのよ。普通の人なら弾かれて吹き飛ぶか、空間の狭間に巻き込まれて消えるわ。何かしら繋がりがあると思うの」
「あ!だとしたら私が現実世界に転移したのも思恩さんの力の影響でここと繋がったかもしれませんし!」
だんだんと真相に近づいているみたいだ。
話しているうちに空になったご飯茶碗と箸を机にそっと起き、俺は次の行動に移ろうと立ち上がった。
そんな俺を見て春は
「あら?もう行くの?」
「あぁ、居ても立っても居られなくなった。今から図書館に行く」
有名な神様である「國魂」について調べるために。
西区にある大きな図書館に向かう。
心配そうに魔夜は
「もう夜になりますよ?危ないですよ?」
「大丈夫。男の子だもん。僕できるもん」
幼稚園児っぽく決意表明した。
そんな決意を打ち破るが如く魔夜は
「夜になると魔物とか出るんですよ。人間を食べちゃうような魔物がいっぱい」
「大丈……い、一緒に来て…」
怖い。冗談とは思えないもん。怖い。
膝が笑ってる俺を見て呆れたように春は言った。
「はぁ…ちょっと待ってなさい」
そういうと春はおもむろに立ち上がり、奥の部屋に入っていった。
女の子に呆れられるレベルで情けないのか俺。
ちょっとしょげた俺の目に奥の部屋から出てきた春が映った。顔をあげ、春を見た。
部屋から出てきた春は白い刀を手に持っていた。
「え、何それかっこいい」
「これ持って行きなさい」
「え、マジで。いいの?」
ソワソワしながら刀を受け取ってみるとかなり重い。
真剣だわ。木刀なんかじゃなく。本物の刀。鞘から少しだけ抜くと綺麗な銀の刀身が光を反射していた。
じいちゃんから剣道を教わっていた時はもちろん木刀か竹刀。真剣の恐ろしさは重々承知している。
そんな恐ろしさと、どこか美しいこの刀を少々見入っていた。そんな俺を見て春は満足気に
「気に入ってもらえて何よりだわ」
「お、おぉ……綺麗だな、この刀」
率直な感想を言った。多分手入れされていないと思う。魔夜が言うには、春は武術に長けていると言っていた。剣術は多分知らないと思う。刀を使う機会も無いだろう。それに少しだけ埃を被っていた。たった今、奥底から引っ張り出したみたいに。
すると、耳にほわほわした阿形の声が聞こえた。
「あ、その刀久々に見ました!」
「おぉ、阿形。あ、ご飯美味しかったです」
「あ〜いえいえ!お粗末様でした!」
笑顔が素敵。狛犬可愛いな。まだ吽形を見ていないがさぞ可愛いだろう。見たいなぁ。
脱線しそうだから、話を戻すか……。
「で、久々っていうのは…」
「それ、國魂さんが使ってた刀なんですよね!」
阿形がテンション高く言った。
ん?國魂さんが?なんでその人の武器がここに……
あ、分かったかもしれない。
「もしかして……」
「そうよ、ここは元々國魂さんの神社よ」
春の返答に驚きはしなかった。気づいたから。
「大國神社」も國魂からとったのか。
一息ためて、春は
「戦争の時姿を消した國魂さんに変わって、私がこの神社を守ってるの」
「え、でも春は俺より若いか同い年くらいだよな?その見た目で80歳とか言わないよな?」
「言わないわよ。代々受け継いでるの。國魂さんを相当に想っていた人がいたみたいでね、国魂さんが消えた後神社を受け継ぐって…」
大國神社の巫女さんは代々受け継がれている。この世界にとってかなり重要なポジションみたいで、途絶える訳には行かない。と、その後春は語った。
国魂と深い関わりがあったからか信用もされているらしい。よく事件解決に出向くみたいだ。これからの心強い味方だな。
「ーーうん、まぁ、話は分かった。分かった上で何だが、この刀貰っていいの?」
「もう、あなたが国魂さんと無関係と思えないわ。刀を抜いた時点で分かるわよ。その刀、私じゃ抜けないもの」
「そ、そうなのか…ありがとな、色々」
「別にいいわよ。あなたとは何かこれからも関わりありそうだし。私もあなたについて色々知りたいわ。終わったらここへ帰って来なさい。調べて分かった事は是非教えて欲しいわ」
「あぁ……そうするよ。ありがとう」
「どういたしまして」
春はニッコリ笑った。可愛い。
女の子とこんなにたくさん話したことない!と、夢心地……。
「よし、行くか…!」
再度気合いを入れた俺に、魔夜は付け加えるように言った。
「あ、思恩さん」
「ん?」
「魔物とか別にいませんからね」
……魔夜ちゃんに小悪魔属性とか聞いてない。
とすると、春は分かってて刀をくれたんだな…よほど信じてくれているのか。どっちにしろ俺にとっては得だし、一応……
「うん、まぁ、いいよ…」
魔夜に元気のない返事をして、夜の村に繰り出した。
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和風な街並み。日が沈んだばかりだからほとんどの家屋に明かりがついている。中々に幻想的だな。東京にいた時とは全然違うから新鮮だ。
俺は今、ここ西区に位置する大きな図書館、通称「大図書館」に向かっている。通称がそのまんまだなぁ。
そろそろ着くかな…中心に近づくにつれて家屋やお店も多くなる。これがまぁ都市部なのだろうかな。
神伝郷の四つの区は壁で区切られていて、門で行き来するみたいだ。全体的に見ると真四角でどの区も三角の形をしている。そして中央に近づくにつれて家屋や店が多くなる。範囲が狭いからかな……。まぁ、結構広いんだがなこの世界。ついでに壁の向こうにも世界があるらしい。限りねぇな。
まぁ、今のが大まかなこの世界のつくり。魔夜から聞いた。
と、考え事に耽っていると
「お、着いた!……え、着いた?」
そこには古風という言葉がピッタリな大きな屋敷ーーみたいな図書館ーーがあった。デカくね?そんなに本があるの?
思わぬ大きさに疑問符がついたが少しワクワクしてる自分がいる。
「…入るか!」
木製の重たい扉を開けた。
「う、うわぉお…」
3階建てで各階には身の丈の3倍ほどの本棚があり中央は吹き抜けになっていた。漫画とかで見た事ある感じの図書館で興奮していた。吹き抜けの下、少しばかりの月光と灯りがついている場所が、受付かな?人いるし。
俺が気づいた頃には受付の人も気づいたらしく「ぬおぉ…」と俺と同じような反応をしていた。もっとも、その反応は急に現れた俺に対する、だが。
「あっ、急にごめんなさい、め、迷惑でした?」
「あっ、いえいえ、本に集中しちゃって…気づかず…すいません…」
「あっ、いえ…そんな…すいません」
え、何この会話。何で「あっ」から始まるの。気まずい時のあれじゃん。もしくはコミュ障か、この子も。
そうか、この世界でもいるのかこういう子。何か新鮮だなぁ。狛犬の片方含め3人の女性と知り合ったが皆コミュ力高いもん。
よし、決めた。この子大事にしよう。
とりあえずこのままじゃ会話が進まないからちょっとだけ頑張るよ
「俺は、茅ヶ崎 思恩です」
「あ、あぁ、はい、えと……私は[思金 知世]です。この図書館の管理人…的な…」
思金 知世と名乗った彼女は一人でこの図書館を管理してるらしい。深い蒼色のショートヘアーで四角いメガネをつけている。気弱そうな見た目で、あまり血色がいいとは言えない白い肌。あまり外にも出ず、ここでずっと本を読んでいるらしい。どうりで、会話に慣れてないわけだ。俺が言えた事じゃないけど。
「えと…何かお探しの本があるのですか?」
「あ、えぇと、国魂って人に関する書物とか……」
「国魂さんについてですか…!少々お待ちを…」
そういうとおもむろに知世は机に両手をかざし、目を瞑った。何事と思い近づこうとしたその時、かざした手から白い光が出てきた。
「お、おぉぉ…!?」
眩い光に目を細めた。次第に光は薄くなった。
数回瞬きして知世に向き直ると、机の上に5冊の本が置かれていた。
その後、知世は「ふぅ」と一息ついて俺に向き直り、少し微笑んで
「国魂さんに関する本はこの数冊ですね」
おぉ、この子も笑顔が素敵……
「いや、そうじゃなくて、何今のは」
「えっ、えぇ…?」
思わず思ってた事を真顔で言ってしまった。
優しく聞くつもりが驚きで忘れてた。おかげで知世もすごい申し訳なさそうな顔して俯いている。
「ち、違いました?」
「じゃなくて、今の、光」
「え?あぁ……」
知世は納得したような顔で俺の方を向き直った。
大方、能力なんだろうかな
「私の、能力なんです、今の。知識を操る力です」
「知識を!?すげぇ!!」
「えと、私の頭の中にある知識を使って、国魂さんに関する書物を持ってきたんです。取りに行くの大変ですし、こっちの方が手軽で…」
中々にチート能力だなこれ。つまるとこ持ってる知識を自在に操れるんだろう?応用次第では治癒にも攻撃にも使える。知識を使うなんて…図書館の管理人とだけあってそれっぽい能力だ。知世は博識そうだし、ピッタリの能力だな。
知識ねぇ……ん?ちょっと待て。つまり……
「…つまり、この本棚の中のどこにどの本があるのか分かるのか?」
「えぇ、全部分かりますよ?」
きょとんとした顔で。え?当たり前じゃん、みたいな顔で。
あっさり言うけど、この膨大な数の本の場所を覚え、内容を覚えている上で、ここに5冊の本を出現させた。
それヤバくね?
博識とかいうレベルじゃない。脳髄に焼き付いてるレベルで記憶が良いみたいだ。そう考えると、彼女の能力チートだな。
生きていける気がしない。
「す、すげぇんだな、知世さん。尊敬するよ…」
「い、いやぁ、そんな尊敬だなんて……!」
恥ずかしそうに知世は口元を本で隠す。
謙虚なところであったり、その知識量といい、神か何かだろ…この子。
「あ、あの…本見なくていいんですか…?」
「え、あぁ、そうだ、ありがとな」
そうだな、今はやるべき事がある。知世の話はまた今度聞こう。
「机でご覧になって下さいね」
入り口から知世のところまでにいくつかの大きなテーブルが置かれている。受付が気になって目に入らなかったのか。ちゃんと座ってみろって事だな。立ち読みすると疲れちゃうもんね。よく出来た図書館だぜ。
「あぁ、ありがとう」
知世から程近い椅子に座り、5冊のうち一冊をテーブルに広げる。幻想的で、知世と思恩がページをめくる音だけ響くこの図書館はとても落ち着く。目を瞑り、息を吐く、目を開くと同時に大きく息を吸い込む。木の香りがドキドキしている胸を落ち着かせる。
覚悟を決めて、俺はページをめくった。
次回で明らかになると思います!
ちなみに、知世ちゃんですが親しい人とはそこそこ話せるタイプだと思って下さい。
思恩に関してはコミュ力の塊みたいなやつらと話してたら名前呼びに抵抗なくなりました。
じゃあ!第6話で!!!