第5話 美人なお姉さんと2人きりの異世界生活 コントロール編
「まず雅人さんに覚えてもらいたいのは、力の制御方法です。」
「まあ、そうだよな。モンスターを攻撃するたびに、地面を吹き飛ばすわけにはいかないもんな。」
「いえ、それ以前の問題です。」
うん? どういうことだ?
「私がさっき(第3話)で見せた、魔力の補正込みのステータスは、雅人さんが本気の時のことです。ですが、普通の状態の時も、魔力による補正は働いています。」
「それは、どのくらいなんだ?」
「魔力の約一%、と言われていますから、雅人さんだと約3兆ですね。」
「それって、日常生活にも相当影響を与えるんじゃ・・・」
「はい。雅人さんが足を1歩踏み出せば、地面が割れ、雅人さんが腕を振れば、辺り一帯が平らになり、雅人さんが何かに触れると、触れた物は消し飛びます。」
「それって、滅茶苦茶やばいじゃん!! 魔力の補正を減らす方法なんてあるのか?」
「はい、勿論です。そして、それが雅人さんにとっての最初の課題です。」
「具体的な目標は?」
「それぞれのステータス(HP、AP、DP、SP、LP)に対する魔力の補正を、個別に調整することです。」
「どういうことだ?」
「例えば、HPとDP、LPは高いに超したことは無いので、魔力の一%補正のままで、APとSPだけ魔力の補正をなくす、みたいなことを出来るようになってもらいます。」
なるほど。確かにそれなら、死ぬ心配は無い上に、周りに凄まじい被害を与えることも無いな。
「じゃあ、まずは魔法で地面を戻すか。」
「いえ、結構ですよ。戻してもどうせすぐに無くなっちゃいますから。」
「お、言ったな。魔力の調整なんて、すぐにマスターしてみせるぜ。」
「まず最初は、魔力補正をすべてのステータスで0にする訓練です。顔をまっすぐ向けたまま、左上を見てください。HPゲージが見えますよね?」
HP|----------|
(105182016767371/105182016767371)
「ああ、大体100兆ぐらいだな。」
「それの分母側(右側)、つまり最大値を、雅人さんの元々のステータスである、42まで減らしてください。」
「なるほど、分かった。やってみるよ。」
と、言ったは良いが、どうやるんだろう?
とりあえず、自分なりにやってみるか。
------一時間後------
HP|----------|
(105182016728619/105182016728619)
一応、4万程は減ったけど、焼け石に水だな。そうだ、シーフにコツとかを聞いてみるか。
「なあ、シーフ。何か、コツみたいな物って無いのか?」
「・・・・」
「うん? どうしたんだ?」
「いえ、コツとしては心を落ち着ける事なんですが、何年か前の人で、男の転生者にはこの方が分かりやすい、と言って助言を残していて、それが中々に好評なんですよ。」
「そんな物があるのか。教えてくれよ。」
「出来れば言いたくないのですが、」
「そんなこと言わずに教えてくれよ。俺、このままじゃこの世界を滅ぼしかねないんだぜ?」
と言うと、シーフは少し考えた後、何かを決心したような顔で
「分かりました。ただし、これは私からでは無く、あくまで何年か前の人からの助言だということを忘れないでください。」
「おう、分かった。で、その助言って何なんだ?」
すると、シーフは顔を赤らめながら、
「***********です。」
「うん? すまない、もう少し大きな声で言ってくれないか?」
「で、ですから、***鎮めるときの感じです。」
「何を鎮めるって?」
「ですから、」
これまで以上に顔を赤らめて、
「勃起を鎮めるときの感じです。」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「その・・・」
「はい・・・」
「ごめんな・・・」
「はい・・・」
俺は目をつぶると、言われたとおりにやってみた。
-----30分後-----
HP|----------|
(486235981572/486235981572)
3桁減りました。
いや、だってあの助言、すっごいわかりやすいんだもん。ホントに勃起を鎮めてたら、どんどん減っていくんだもん。
シーフは、やっと少し落ち着いたのか、
「ま、雅人さん、調子はいかがですか?」
と、聞いてきた。
「うん、順調だよ。もう、4000億ぐらいまで来たし。」
「そ、そんなになんですか・・・ やはり、来年もこの助言を・・・ハァ・・・」
シーフも、色々大変そうです。
-----さらに30分後-----
HP|----------|
(42/42)
「よしっ!!遂に、42まで減ったぞ。」
ありがとう。いつかの転生者さん。
「おめでとうございます。普通は、もっと時間が掛かる物なんですが、やっぱり・・・」
「うん・・・残念ながら、あの助言のおかげだよ。」
「ハァ・・・」
「つ、次は何をするんだ?」
「そ、そうですね。次ですね。」
シーフは全力で気分を切り替えると、
「次は、毎回、こんなに時間を掛けていられないので、魔力の補正を一気に下げる訓練をして貰います。」
次回の投稿は、5日or11日になると思います。