第2話 美人なお姉さんと2人きりの異世界生活 スキル編
誰だ・・・? この人・・・?
年齢はたぶん、俺と同じ二十歳前後、よくファンタジー物に出てくる、金髪で優しそうなお姉さんって感じだ。
「えっと・・・、誰ですか?」
「私は、シーフ。今日から一ヶ月間、異世界についてのことをあなたにお教えしますね。よろしくお願いします。」
「あ、はい。シーフさん、こちらこそ、よろしくお願いします。」
「そんなに丁寧な言葉遣い、しないでください。それから、私のことは、シーフと呼んでください。」
意外と、堅い言葉遣いが嫌いみたいだな。
「分かったよ、シーフ。ところで、この世界にはNPCしかいないって聞いたんだけど、もしかして、シーフもNPCなのか?」
「えっと、私は人工知能なので、プレイヤーかどうかは微妙なのですが、まあ、NPCだと思っていただいて差し支えはありませんよ。」
人工知能、この200年で最も発達したと言われている技術だ。いま、俺がいるような異世界を発見するきっかけを作ったのは、人工知能だったと言われている。
「そうなのか、じゃあ、早速なんだが、この状況の説明をしてくれるか? おれが、手を軽く振り下ろしただけで見渡す限りの物がなくなってしまったんだが・・・」
「あ、はい、分かりました。では、まずステータス画面を開いてください。」
「ステータスって、どうやって開くんだ?」
「あれ? 普通は転生前に、ステータスや、メニュー画面の開き方については教わるはずですが・・・」
あのおっさん・・・、何が「向こうで教えてくれる」、だ。 そりゃ、てめぇの仕事じゃねえか。
「では、ステータスについての説明は何も・・・?」
「ああ。 こっちで教えてもらえるって言われてたからな。」
「分かりました。 では、頭の中でステータスっと念じながら、手を前に出してください。」
と、言われたとおりに、ステータス、ステータスっと思いながら、手を前に出してみると
-----ステータス-----
信条 雅人
Lv 1
HP(体力) 42
AP(攻撃力) 18
DP(防御力) 53
SP(素早さ) 29
LP(幸運) 11
MP(魔力) 302875106592253
スキル <魔法の極み>
オリジナルスキル <怖い物知らず> (痛みや、疲れを感じないスキル)
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「おおっ!! なんか、出てきた!!」
「はい。それが、あなたのステータスです。ステータスは、基本的には他人からは見られることはありません。ただし、盗賊系統のスキルを上げている人や、視覚系の魔法を使っている人からは見られてしまうので、不用意には開かないことをお勧めします。」
「なるほど。ところで、この、スキルとオリジナルスキルの違いは何なんだ?」
と、気になったことを聞いてみると、シーフは少し驚いた顔で
「雅人さん、オリジナルスキルがあったんですか?」
と言った。
「これって、珍しい物なのか?」
「ええ、確率は約一%と言われています。」
「おおっ、って事は、この、<怖い物知らず>って、結構強力なスキルなのか?」
こういう能力って、よく漫画とかで、「痛みや、疲れを感じないっていうのは、体からの危険信号を感じないって事なんだよ!!」っていうのを見るけど・・・
「いえ、オリジナルスキルは全員にある物では無いので、バランスをとるために良い面と、悪い面があります。雅人さんのスキルも、そうでしょう?」
「なるほど、確かにそうだな。じゃあ、痛みや、疲れを感じないってことは、自分の体力はしっかり把握しておかないといけないな。」
よくいる、漫画の悪役みたいにはなりたくないからな。
「雅人さんのスキルは、痛みや、疲れを感じないスキル、なんですか?」
「ああ、そうだよ。」
あっ、そうか、シーフはNPCとはいえ、俺のステータス画面は見えていないんだな。
「一応、ステータスを上から読み上げようか?」
「ああ、いえ、大丈夫ですよ。それにしても、雅人さんのオリジナルスキルは、雅人さんにピッタリですね。」
「うん? どういうことだ?」
「その内、分かりますよ。そんなことよりも、スキルとオリジナルスキルの違い、ですよね?」
「ああ、そうだった。 教えてくれるか?」
「はい。二つの違いは、簡単に言うと、頑張れば誰でも手に入れることが出来るのがスキルで、どんな方法を使っても本人以外は手に入れることが出来ないのがオリジナルスキルです。」
・・・・・?
「えっと、もう少し簡単に言ってくれるか?」
「そうですね、では、雅人さんのスキルはなんですか?」
「えっと、魔法の極み、だな。」
俺は、ステータスを見ながら言った。
「その、魔法の極み、というスキルは、誰もがこの一ヶ月間で習得する、魔法の嗜み、というスキルを最後まで強化すれば、手に入れることができます。」
「ほう、なるほど。」
「それに対して、さっき雅人さんが言っていた、怖い物知らず、というスキルは、雅人さん以外のどんなプレイヤーが、どんな方法を使っても、手に入れることは出来ません。」
「あー、なるほど。だから、誰でも手に入るのがスキルで、手に入らないのがオリジナルスキルなんだな?」
「はい、その通りです。」
「うん、よく分かったよ。」
「それは良かったです。にしても、スキルが、魔法の極み、だなんて、雅人さんは本当に運が良いですね。」
「そうなのか? 幸運のステータスは、一番低いんだけど・・・」
さっきからちょっと、不安になってる。
「そうなんですか? でも、雅人さんには、それぞれのステータスの数値は、あまり関係ありませんよ。」
「えっ? どういうことだ?」
「では、次は、そのことについてお話ししますね。」
「よろしくお願いします。」