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フォトリベレーション~一寸のシャドウにも五分の魂~  作者: 幻想桃瑠
◆+◆最終章◆+◆フォトリベで幸せに!? ハッピーエンドになるはずで章◆+◆
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第三話 王子様のプロポーズ

「我輩……」

「写影子、目が覚めたか?」

「えっ……!?」


 我輩の目の前にはアッシュ系のショートヘアの露世がいた。

 何故か、王子様のような格好をしている。

 やはり、露世は若々しいままだった。

 あれから十八歳ぐらいになって、さらに美形に磨きがかかっている。

 我輩は、ベッドの上にいて、慌てて体を起こした。


「ろ、露世!」

「よう、久しぶりだな、月野原」


 うわぁ、露世なのだわ……。

 我輩は思わず、手を合わせて拝んでしまった。

 詩口写実は神様にでもなったのだろうか。

 我輩に、こんなご褒美をくれるなんて……!


「ここは、どこなの?」

「魔界だよ。大魔王と俺の故郷だよ」

「ま、魔界!?」


 とんでもないところに来てしまった。


「そして、ここは大魔王殿だ。そして、俺は魔王ってわけだよ」

「ええええええ!?」


 びっくりして、腰が抜けそうだ。

 ある意味、我輩は地獄に来てしまったのだ。


「ずっと、月野原を迎えに行こうと思っていたんだけど、こっちから大魔王の秘宝の鍵は使えないんだよ。それに、俺と親父が帰ってきたら魔界は二分していて、統一するまでに時間がかかったんだ」


 そうなのか。それで、露世は王子様のような恰好をしていたのか。

 露世は、十八歳くらいの美青年になっている。絵に描いた王子様のようだ。

 そう、これは絵に描いた餅なのかもしれない。

 我輩は、残酷な現実に気付いて、から笑いした。

 これはもはやあきらめの境地だ。


「どうした? 月野原?」

「運命って残酷なのだわね……」

「えっ?」

「露世は、どう見ても十八歳なのに、我輩はもう八十のおばあちゃんなのだわ」


 これでは、露世と恋愛もできない。

 さめざめと泣く我輩に、露世は笑った。


「じゃ~ん、これを見ろ、月野原!」


 涙をぬぐって顔を上げると、露世は真っ二つになった我輩の特殊写真を持っていた。


「えっ? そ、それは、我輩の特殊写真?」


 我輩がフォトリベを勧められたときに、自分で撮った特殊写真を露世にあげたのだ。


「これ、今までずっと大切に持っていてくれたの?」

「フォトリベして月野原をこちらに呼んだから、もう特殊写真は真っ二つだけどな」


 我輩は目をぱちくりさせた。


「あ、あれ? ということは?」

「ほら、あっちに姿見がある」


 我輩は大きな鏡の前に足を進めた。

 何故か、足が軽い。

 以前は走っただけで息が切れて節々が痛んだのに、今は超人のように痛みもなく動ける。

 どうして……?

 我輩は姿見の前に立った。大きな鏡がきらりと光を反射して、我輩を映した。


「あ……! 我輩……!」


 姿見に映った我輩の姿を目の当たりにした。

 我輩の姿は十六歳に戻っていた。ブレザーを着て、あの時のままに戻っていた。


「我輩……!」


 我輩はうれしくて涙が目から湧いて落ちる。


「なっ? これで、俺と末永く幸せに暮らせるよな?」

「うん……!」

「写影子さん、俺と結婚してください」

「……!」

「もう、月野原は、写影子って名前が好きになったんだろ?」


 露世は、いたずらに片目を閉じた。


「うん……! 我輩、写影子という名前が大好きなのだ! 露世に呼んでもらってもっと好きになったのだ!」


 我輩は、露世に抱き付いて、露世と一緒に笑いあった。

 そして、幸せな月日が。また、流れた。

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