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フォトリベレーション~一寸のシャドウにも五分の魂~  作者: 幻想桃瑠
◆+◆第六章◆+◆フォトリベで後悔!? ○○は一体何者なので章◆+◆
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第六話 どうして、月野原写影子が○○○○なのか?~問題編~

「いたた、ここは……?」


 声が反響する。ここは、どこかの広い洞窟みたいだ。周りには鍾乳石とごつごつした岩壁が広がっている。我輩は全身が寒いことに気が付いた。体が濡れている。制服はびしょびしょで、魔法のカメラも水に濡れていた。

 どうやら、あのレイフォトはトラップだったようだ。


「えっ!? 露世!?」


 我輩は隣に倒れている人物を見つけて驚いた。

 露世が意識を失って倒れていたのだ。

 もしかして、意識がないのは我輩をかばってくれたのだろうか。


「露世、大丈夫!?」


 口元に手をやってみると、呼吸していた。溺れていたわけではなさそうだ。

 我輩はほっと安堵して、魔法のカメラを触った。


「壊れてないかな……?」


 試しに自分を撮ろうとしたが駄目だった。


「げっ、壊れたの!? マズイ!」


 我輩は妙な焦燥感を覚えた。


「マズイよ! 敵がいたら、我輩丸腰なのだ!」

「それはよかったわ」

「えっ!?」


 我輩とよく似た声がして振り返って、びっくりした。

 我輩そっくりの詩口写実がここにいた。

 しかし、詩口写実はロングヘアだ。赤いプラスチックのふちの眼鏡をかけている。


「やっぱり、あれは我輩のレイフォトで、真実を告げていたのだ……」


 我輩は落胆して、泣きそうな目でオリジナルの詩口写実を見つめた。


「そうね、貴方は私のシャドウ」


 詩口写実はクスクスと楽しそうに嗤っている。

 ふつふつと反抗心が生まれてくる。

 我輩の脳裏に父の言葉がよみがえった。


「でも、我輩の父は我輩は本物だと言っていたのだ!」

「シャドウが言ったことでしょ? 信じるのそれを?」


 我輩は言葉に詰まり歯噛みした。


「しかも、貴方、デッドキスなんでしょ? それで、鬼瀬があなたに甘い顔をしているんだわ」

「ッ!?」


 なんなのだろう。この詩口写実は。なんで、我輩のプライバシーをここまで調べ上げているんだ?


「それに、あなたの家族は、彩島騎得にイレイスされたんじゃない」

「……!」


 土を踏みにじる音がして振り返ると、彩島騎得がいた。そして、その隣には夜桜創理が。


「彩島君に、創理さん!? なんでこんなところにいるの!?」


 彩島騎得はやはりインフルエンザではなかったのだ。何のためにこんなところにいるんだ? それに、創理は、鑑の姉ではないか。


「なんで、創理さんが? デッドキスにとらわれているはずなのに、こんなところにいるの?」

「私も、貴方と同じデッドキスだからよ!」

「えっ!?」

「私が、創理を手放さないだけなの。なんでか分かる?」


 我輩はかぶりを振った。


「貴方にはわからないわ。そしてね、私は月野原写影子がこの世で一番嫌いなの!」

「ッ!?」

「この世で、あんたが一番嫌い! 嫌いで嫌いでたまらない!」


 詩口写実の鬼のような形相に我輩はゾッとした。詩口写実は、拳銃を取り出すと、それに弾を込めている。


「拳銃を出すってことは、詩口さんは我輩に死んでほしいんだよね?」


 我輩は震える声でこわごわと呟いた。口の中が乾いている。


「そうよ~。察しが良いじゃない」

「分かったのだ。最後に一言喋らせてほしいのだ」


 我輩が、懇願するように言うと、詩口写実はニヤッと意地が悪そうに笑った。



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