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フォトリベレーション~一寸のシャドウにも五分の魂~  作者: 幻想桃瑠
◆+◆第五章◆+◆フォトリベで三つどもえ!? 鍵を求める人たちの対決で章◆+◆
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第十三話 五章完結 騒動の後で

 業者さんが来て、すぐに割れた大窓は新しいガラスに取り換えられた。眠っている鑑はベッドに横たわらせられ、布団を被せられている。お手伝いさんがせわしなく動き、我輩と露世は部屋の隅のテーブルに追いやられた。


「なんか、すごいのだ」

「あ、ああ」


 我輩も露世も唖然とするばかりだ。お手伝いさんが持ってきたお茶を飲みながら、我輩と露世は彼らの一挙一動を目で追った。


 まず、白衣を着た仰々しい人たちが大勢来た。研究は成功だと言って大喜びして万歳三唱していた。そして、鑑の写真をたくさん撮って、口の中の細胞を摂取すると、すぐに帰っていった。


 沢山の人たちが来て喜びを語り合い、ついには大臣クラスの人まで来て、部屋の中は賑やかになった。そして、一通り喜んだあとは、潮が引いたように人がいなくなった。もう、夜だ。窓の外は暗闇が支配している。


 それから、その数分後にやっと鑑が目を覚ました。起き上がろうとするので、我輩と露世が体を支えて鑑を起こした。シャドウではなくなったせいか、鏡の頬は生気を帯びて心なしか色が鮮やかだ。


 彼の瞳がこちらを向く。茶色の瞳は深い知性の色をたたえ、我輩と露世を認識したようだ。


「大丈夫、鑑?」

「ああ、もう大丈夫だよ」

「夜桜も結構な苦労してそうだよな」


 露世が珍しく優しそうな言葉を鑑にかけた。

 鑑は自嘲したように笑った。


「僕はね、幼いころからオリジナルの夜桜鑑になるために、生き残りをかけて他のシャドウと戦わされてきたんだ」

「夜桜鑑っていったい何者なのだ?」

「夜桜鑑は、優秀なシャドウをオリジナル化するための、本日国のシャドウプロジェクトだよ」

「そんな話聞いたことないのだ」

「極秘の研究だからね」

「じゃあ、夜桜は生き残った勝者ってことか」

「そういうことだね。でも、実際、僕は優秀でも何でもない」

「えっ? そうかなぁ?」

「僕はいつも死にかけていた。けれど、みんながいつも助けてくれた」

「そっか、今回は創理さんが助けてくれたみたいなのだ」

「えっ? 姉さんが」


 鑑の瞳が揺れた。


「でも、創理さんはデッドキスに捕まっているんだろ?」

「ああ、絶対に助け出す」

「我輩も協力するのだ」

「俺もしてやってもいいぜ」

「ありがとう」


 我輩と露世は鑑の手を取り合って彼の回復を喜び合った。鑑の手は、血が通っているせいか温かだった。オリジナルになった鑑のことを、我輩は自分のことのように喜ぶのだった。


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