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フォトリベレーション~一寸のシャドウにも五分の魂~  作者: 幻想桃瑠
◆+◆第五章◆+◆フォトリベで三つどもえ!? 鍵を求める人たちの対決で章◆+◆
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第九話 この木片の使い方はな~んだ?~問題編~

 今日の放課後は補習があったので、実習室が空いてなかった。

 なので、にこつく川の河川敷で非公認のフォトリベ部をすることになった。

 この辺のにこつく川は海の近くなので流れが緩やかだ。

 今は潮が引いて、海鳥がのどかに鳴いている。


「今日は、ここでフォトリベ部するのだ」


 我輩は、河川敷でも比較的きれいな場所に座った。

 露世はそこにドカッと座って、手を叩いた。


「おけおけ! じゃあ、始めようぜ!」

「写影子、レイフォト撮れた?」


 鑑は、しゃがみながら我輩の手元を覗き込んできた。

 我輩は胸ポケットからレイフォトを取り出す。

 今朝撮れた真っ黒だったレイフォトだ。


「うん、四枚撮れたのだ」

「おい、夜桜ァ!」

「っ!?」


 露世の馬鹿でかい声に驚いて、我輩はそちらを振り向いた。

 鬼の首を取ったような露世の表情に、我輩は嫌な予感を覚えた。


「お前、本当に夜桜かァ?」


 げっ!? 露世が酔っ払ったおっちゃんみたいになっているのだ!?

 鑑に絡む気満々だ。性質が悪い表情を浮かべている。

 しかし、我輩でも聞きにくいことを露世は簡単に鑑に尋ねてしまった。


「……」


 それを聞いた鑑は、半眼になった。

 正体を現すわけでもなく、大笑いしてモンスター化するわけでもない。

 ただ、鑑は半眼になった。


「……何? 僕にケンカを売ってるの?」

「も、もう、やめなよー!」


 一触即発な雰囲気に我輩はあわてて割って入った。

 いつも通りの鑑に、我輩は少し安心したのだが、露世が続けて核心を突いた。


「月野原のレイフォトによると、夜桜は死んだとあった」


 ちょっとー!?


「……」


 鑑の半眼が怖い怖い。


「じゃあ、生きているお前はニセモノだってことになる」


 そうなんだけど、我輩は鑑がニセモノだとはどうしても思えない。


「写影子、本当なの?」

「う、うん」


 隠し立てしてもしょうがないので、我輩は素直に頷いた。


「……残念だけど、僕は生きているよ。ずっと、このフォトグラン学院に通っているけど?」


 我輩は目をぱちくりした。

 この鑑がニセモノでないとしたら、一体どういうことなのだ?


「じゃあ、月野原のレイフォトがニセモノってことか? でも、感情のないレイフォトだったんだろ?」

「そうだよ、感情のないレイフォトだった」


 ということは、我輩のレイフォトは真実を告げているということになる。


「じゃあ、考えられることは一つだね」

「考えられることは一つって……?」


 この鑑はニセモノではない。

 しかし、レイフォトは鑑は死んだとある。

 しかも、感情のないレイフォトだ。

 一体どういうことなのだろう。事態が矛盾している。


「と、その前に……」


 あっさりと鑑がネタばらしをするのかと思ったが、鑑は自分のカバンの中を探り始めた。


「この木片なんだけど」

「ああ、鑑が預かってくれって言ったり、返してくれって言ったりしたアレね」


 一体どうしたいのやら。我輩は苦笑を浮かべた。

 木片にそんなに価値があるとは思えないけど。


「どうやらこれは、鍵らしい」

「鍵? この木片が?」


 我輩は鑑から木片を受け取って、くるりと回転させた。

 鍵? これが?

 ただの木片だ。


「けれども、どうやってこの鍵を使うのかが分からない」

「確かに……」

「ただの木片にしか見えないけどなァ」

「だから、写影子なら分かるかと思って……」


 うーん。


「そういえば、鑑のレイフォトが二枚撮れたのだ! これをフォトリベすればわかるかも!」


 我輩が取り出したレイフォトを見て、鑑の目が輝いた。

 ちょうど、レイフォトに鑑の顔が浮かんできた。

 無表情のレイフォトだ。これは当たりのレイフォトだ。


「フォトリベしてくれないか?」

「分かったのだ!」

「なんか、ワクワクしてきたなァ!」


 露世も鑑も楽しそうだ。

 我輩もウキウキしながら、レイフォトをフォトリベしようとした。

 唐突に、自動車が道に停まる音がした。

 バタンと自動車のドアが開く音。そして、誰かが降りてくる音。


「露世!」


 他人ごとだと思ってあまり気に止めなかったのに、それは露世の名前を呼んだ。


「げェ!?」


 露世が拒絶したような声を出した。

 もしかして、スマホで話していた女の人って……!?


「ええっ!? 有栖川総理!?」

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