第四話 レイフォトからの警告
「露世のレイフォトをフォトリベしてみちゃうのだ」
我輩は露世のレイフォトをフォトリベしてみた。
すると、煙がわだかまって、露世の上半身を模った。
それは、感情のない声でしゃべる。
『一文字露世に気を付けろ。イレイス!』
それは要件をいうとさっさと消滅した。
「えっ! ど、どういうこと?」
感情のないレイフォトだったから、露世のシャドウの述べたことは真実なのだろう。
真実がヤバいからそれを警告しているのだ。
「そういえば、鑑もこれを預かってくれって……」
我輩はカバンの中から、鑑から預かった木片を取り出した。
「なんなのだ、これ……?」
それは、変哲もない四角い木片だった。
その時の我輩は、それが何を意味するのかまだ知らなかった。
「鑑のレイフォトも気になるのでフォトリベしちゃうのだ」
我輩は順番通りに一気にフォトリベしていった。
次から次へと鑑のシャドウが出来上がっていく。
六人の上半身だけの鑑のシャドウに囲まれるなんて、奇妙な感覚だ。
感情のないレイフォトだったので、この鑑のシャドウが言っていることは真実だ。
『①鑑が。イレイス!』
『③に狙われている。イレイス!』
『④鑑が。イレイス!』
『⑤狙われているのは。イレイス!』
『⑥鑑が。イレイス!』
『⑦よく分かっている。イレイス!』
鑑のシャドウは、一気に消滅した。
「鑑が誰かに狙われている!? どういうこと?」
じゃあ、今朝、鑑の屋敷の方角でのドンパチは、鑑に何かあったってこと?
我輩は急に胸騒ぎを感じて、スマホで鑑に電話をかけた。
何回もコール音がしたが、鑑が出る気配はない。
「電話に出ない……?」
そのとき、チャイムが鳴った。
「は、はーい」
我輩は二階から駆け下りて、玄関のドアを開けた。するとそこには、露世の姿があった。
先ほどのフォトリベの結果を受けたので、我輩は妙に緊張していた。
露世に気を付けるように警告があったのはなぜなのだろう。
「月野原、あのさ」
露世が頭を掻いて、何か言いにくそうにしている。
そういえば、露世は下校中も変だった。一体何を言いたいのだろう。
警告があったので、おそらく我輩への愛の告白ではないことは確かだ。
「露世、どうしたのだ?」
「いや、今日、夜桜が変だったのが気になって」
「変?」
意外なところに焦点が当たったので、我輩は眉をひそめた。
鑑はいたって普通だった。露世には変に見えたのだろうか。
「ああ、どう見てもただの木片を月野原に預かってほしいって言ってただろ?」
「う、うん……確かに変なのだ……」
それが露世に何の関係があるのだろう。意図することが不明確だ。
露世は、どことなく言いにくそうにしている。
それが、なぜなのかわからない。
「ちょっとそれを見せてくれないかなって」
「いいけど……」
もしかして、露世はこれが見たかっただけか? ということは、告白かと思ったのも我輩の勘違いってことか。我輩は、ため息をついた。
「ゴメンな、月野原」
「ううん、いいのだ」
「じゃあ、二階上がっていいか?」
「えっ! 二階!?」
我輩はびっくりして、露世に尋ね返していた。
ま、まさか、めくるめく大人の展開が待っているとそういうことなのか!?
もしかして、露世に気を付けろってそういうこと!?
我輩の視界がぐにゃりと歪むような衝撃を受けて、あたふたした。




