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フォトリベレーション~一寸のシャドウにも五分の魂~  作者: 幻想桃瑠
◆+◆第五章◆+◆フォトリベで三つどもえ!? 鍵を求める人たちの対決で章◆+◆
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第一話 詩口写実、恐るべし!?

 花火大会かと思うほどのけたたましい音がして、我輩はベッドから落ちた。我輩は背中を打ち付けて、否が応でも目覚めた。


「朝っぱらからうるさいのだ……」


 我輩のいるにこつく市は田舎いなかなので朝も静かなのだ。それなのに、今日はどうしたことだろうか。


「だれかが、フォトファイトしているのか?」


 気になったので、我輩は窓を開けて顔を出した。すると、西の空が煙でたなびいている。朝の新鮮な空気にきな臭いにおいが混じった気がした。


「アレ? あっちって、鑑の屋敷のほうじゃないのか?」


 何が起きているのか、妙に気になる。気になるけど、そこまで見に行ったら、遅刻してしまう。

 家の前の道路には、ピンクの光のポイントが散見していた。昨日までにはなかった光のポイントだ。

 そうだ。ピンクの光のポイントは鑑のことを示しているはずだから、これを撮ってフォトリベしたら、何かわかるかもしれない。


 早速身支度を整える。ミディアムヘアの髪をとかして、制服に着替える。昨日、連辞が買ってきてくれたご飯を食べて、出かけようとした。


「あ、大魔王の秘宝のレイフォト!」


 我輩は、それを忘れるところだった。あわてて、それをポケットに突っ込んで出かけた。

 目を皿にして、鑑の光のポイントを集めていく。


 路傍の石の影にひとつ。①~⑦と書かれてある。鑑の無表情の顔が映っている。これは③のレイフォトだ。

 コンクリート塀の上にひとつ。これは①のレイフォトだ。

 人家の庭の木にひとつ。これは⑥のレイフォトだ。

 用水路の中にひとつ。これは④のレイフォトだ。

 道路をふわふわと移動しているものがふたつ。これは⑤と⑦のレイフォトだ。


「①③④⑤⑥⑦……あと、②が足りないなぁ……」


 ②のレイフォトを探していたが、どこにもない。


「うーん、ないのだ……」

「あら、写影子さん?」


 我輩はびっくりして飛び上がった。いきなり声を掛けられたことにも驚いたのだが、声をかけた少女の正体を知ってなお驚いた。


「詩口写実!?」

「こんにちは、写影子さん。詩口さんか写実さんってよんでくれないかしら?」


 詩口写実はあくまで友好的だ。彼女は一体何を考えているのだろう。


「……じゃあ、詩口さん。なんで、我輩にあんなひどいレイフォトを渡したりしたのだ!? それだけじゃない! 露世になんで嘘を教えたり、来栖野君にあんな命令したり……!」

「ごめんなさい、写影子さん! 私、あなたが大嫌いなの!」


 詩口写実は嬉しそうに力説した。


「え゛?」

「そう」


 大嫌いだから、我輩と露世を……。

 気が付くと、十歩くらい後ろに後ずさっていた。


「あ、写影子さん、ピンクの光のポイント集めていたでしょ?」

「そ、それが何か?」

「②のレイフォトはいらないかな?」

「えっ、それ、どこにあったの?」

「②の光のポイントは壊したわ! ②のレイフォトがほしいかしら?」


 詩口写実の手には②のレイフォトを持っているようだが。我輩は涙を呑んであきらめた。


「い、いらないのだ……!」


 恐怖のあまり、我輩は遅刻するからと取り繕いながらダッシュで逃げた。

 我輩は、金輪際、詩口写実にはかかわらないようにしようと心に決めたのだった。

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