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フォトリベレーション~一寸のシャドウにも五分の魂~  作者: 幻想桃瑠
◆+◆第四章◆+◆フォトリベして四角関係!? 陰謀が渦巻くのかで章◆+◆
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第十一話 露世の誤解と写影子の誤解

「ちょ、ちょっとどこへ行くのだ!?」

「月野原に手を出した来栖野をぶん殴りに!」

「ちょっと待つのだ!?」


 我輩は今にも走り出しそうな露世に縋り付いて引きずられた。


「いや! 必ず殴る!」

「誤解なのだ! 我輩が泣いているのは、我輩がデッドキスだという真実を知ったからなのだ!」


 露世はすがりついた我輩を、一メートルぐらい引きずって、やっと止まった。そして、我輩の方を見下ろした。


「……なんで月野原がそれを知っているんだ?」

「それは」

「来栖野の野郎! 壊せと言ったのに、よりによって月野原に教えやがって!」


 げげっ!? なんで露世が大激怒なのだ!?


「ち、違うのだ! 来栖野君に教えてもらったんじゃないのだ! 我輩が偶然見つけた光のポイントなのだ!」


 露世が半眼になって嗤った。


「……やけに来栖野を庇うじゃねぇか」

「えっ?」


 我輩は目をぱちくりさせた。


「もしかして、来栖野のことが好きになったとか?」


 何を全力で誤解しているんだ!?


「我輩は来栖野君のことなんか全然好きじゃないっていうより、ちょっと待つのだ! 露世のほうこそ、詩口写実が好きなんでしょ!」


 今度は露世が目を瞬く番だった。


「写実のことは別にまったく好きでもなんでもないけど?」

「えっ……?」


 露世は首に手をやって傾げた。何故か、露世はクールダウンして落ち着きを取り戻していた。


「写実って呼んだのは、詩口写実がそうご希望だからだよ。それに、月野原は自分の名前が好きじゃないことを俺は知っているから、月野原なんだけど」

「そ、そうなの?」

「詩口写実に呼び出されて、月野原の秘密を知ったんだ。来栖野に言ったら何とかしてくれるって言うから、交換条件を出されて仕方なく」


 我輩は心のそこから大喜びしていた。

 我輩の大好きな露世が、詩口写実のことが好きではなかったからだ。

 ということは、露世といつもどおりの関係でいられるということだ。


「そうだったんだね。じゃあ、来栖野君が何者かに頼まれて違う光のポイントを教えたって言ってたけど、それは詩口写実に命令されたからなのかな?」

「ちょっと待ってくれ」


 何かに気づいたように露世は我輩を制止させた。


「何かな? 露世?」

「月野原が俺が詩口写実のことを好きだと決め付けたのは、レイフォトがそれを示していたからなのか?」

「うん、真実を示すレイフォトだから」

「でも、俺は詩口写実は好きじゃないけどな」


 えっ……? 真実を示すレイフォトのシャドウが、真実を示していない……?


「あれっ? じゃあ、レイフォトが嘘を教えたってこと? 我輩がデッドキスだというのも嘘っぱちってこと?」

「そういうことだな」


 いきなり、毛色の違う声が聞こえてきて、我輩と露世は驚いて後ろを振り返った。すると、いつの間に後ろにいたのか、大人バージョンの連辞だった。


「「連辞!?」」

「よう、お二人さん」


 連辞はタバコを取り出して火をつけた。そして美味しそうに口にくわえてふかし始める。


「そういえば言ってなかったが、感情のあるレイフォトのシャドウが言っていること全ては、真実とは限らない。なぜなら、あれは罠の能力(トラップファカルティ)で作られたものだからだ」

「そういえば、あのシャドウは全て嗤っていたなァ」

「じゃあ、露世が詩口写実が好きだというのも、我輩がデッドキスだというのも全て嘘ということなの?」

「そういうことだな」

「なーんだ! 安心したのだ」


 連辞はにっこりと微笑んだ。


「写影子ちゃんのご両親からの手紙も、罠の能力(トラップファカルティ)から作られたものかもしれないよ。嘘をつく以外にも使えるからね」


罠の能力(トラップファカルティ)ってすごいのだ!」


 もっと早く、連辞に聞いておけばよかった。なんてことのないオチだった。


「でも、今後、写実や来栖野には要注意だな」と、露世。

 我輩も、神妙にうなずいた。


「う、うん。何の恨みがあるのか知らないけど、我輩をシャドウだと決め付けたレイフォトを手渡したり、今回のことがあるから……」


 でも、あのとき詩口写実がくれたレイフォトのシャドウは無表情だった。

 我輩は詩口写実のシャドウというあれは。

 いや、でも、あれは①~②だった。二枚目があるはずなのだ。だから、悲観する必要なんてないのだ。


「どうした? 月野原?」

「ううん、なんでもない。今日は枕を高くして眠れるなと思って……。連辞は、何か用だったの?」



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