第九話 露世の秘密はな~んだ? 2
我輩は、一枚ずつその三枚のレイフォトをフォトリベしていった。
例の露世のシャドウができあがる。三枚とも甲高い声で大笑いした。ニヤニヤしながら露世の三体のシャドウは馬鹿にしたように順番に喋り出す。
『一。一文字露世は。イレイス!』
『二。詩口写実に。イレイス!』
『三。恋い焦がれている。イレイス!』
露世のシャドウは、また、順番通りに消滅していった。
「露世は詩口写実に恋い焦がれている……」
レイフォトが示すのは真実だという。だから、露世が詩口写実を好きなのも本当ということになる。
「そんなのってないのだ……!」
我輩は、涙を抑え切れなかった。結局のところ我輩は露世に失恋したことになる。我輩のことをシャドウだとしらしめた詩口写実に敗北したことになる。
「月野原さん……」
飴ちゃんは、複雑そうな顔で我輩を見ていた。泣いてる我輩を来栖野君はじっと注視していたが、面倒臭さそうなため息を吐き出した。
「月野原ちゃんが一文字を好きなのはわかったよ! だから泣くな!」
「だって!」
そんなこと言われても、涙は急に止めれない。嗚咽をころして泣いてると来栖野君が頭を掻きむしった。
「実は、露世が壊してほしいって言う光のポイントは、別にあるんだ」
「えっ!」
「つまり、さっき見せたのはフェイクってこと!」
我輩の涙は瞬間的にピタリと止まった。
「ひどいのだ! なんでそんな嘘教えるの!」
「そうだよ、来栖野! やり過ぎだよ! 月野原さんがかわいそうじゃないか!」
「……わりぃな。俺は依頼主から月野原ちゃんを口説くように、別の光のポイントを教えるように言われてたんだ」
な、なんだそれ! 最初から我輩は来栖野君の手の平で転がされていたのか。
「じゃあ、露世の光のポイントは?」
「もう壊した」
「ええっ」
「そんな……」
再び泣きそうになると、来栖野君は何かを我輩に押し付けた。
「あ~もう! ほら、これをやるから!」
「……これは、レイフォト?」
我輩の手の平には二枚のレイフォトが握らされていた。
「そう! 一文字露世の依頼のね!」
えっ?
「ええっ!? だって、さっき壊したって!」
「壊す前に一応撮っておいたんだ」
我輩はポカンとして来栖野君を見つめた。
「要らないなら返してくれ」
「ありがとうなのだ!」
我輩は、笑顔で二枚のレイフォトを確かめて来栖野君に感謝していた。




