第八話 露世の秘密はな~んだ?
我輩は飴ちゃんと来栖野君について行く。すると、来栖野君は、フォトグラン学院の近くのとある公園の中に入って行った。
来栖野君は公園のブランコの前で立ち止まった。そして、そちらを指さした。
「俺はあれを壊してくれって頼まれたんだけど……」
飴ちゃんは、「えーと」と呟いて、我輩に助けを求めてきた。
「うん。あのブランコのところに白い光のポイントが二つあるのだ」
我輩が答えると、飴ちゃんは驚いたようだった。
「やっぱり二人ともすごいね?!」
「いやいや、飴ちゃんには負けるのだ」
「本当に飴玉には回復の飴でお世話になっているからな」
「いやいや……」
飴ちゃんは褒められてまんざらでもなさそうだった。
「じゃあ俺はあれを壊すから」
そうはさせない。我輩は魔法のカメラを構えて二つの白い光のポイントを連写した。すると、我輩の魔法のカメラのフラッシュに来栖野君が気付いた。
「何枚も撮ったからもう壊しても良いのだ」
「……あっそう?」
来栖野君は呆れたように半眼でこちらを見ている。
何故か、来栖野君はそれ以上何も言わない。あきらめたのだろうか。
我輩たちがそうするのを見越していたかのようだ。
「大丈夫。我輩は来栖野君が来る前に自分ひとりで来て偶然見つけたからね!」
「さあ、一文字の秘密は何かな?」
飴ちゃんはとても楽しそうだ。手もみしてホクホク顔だ。
「露世の秘密なんてきっとろくなものじゃないのだ」
きっと、詩口 写実の事なのだろう。彼女のことが好きとかそういう……。我輩は、その考えを打ち消すように頭を振った。
「じゃあ、フォトリベしてみるのだ」
我輩は、一枚目のレイフォトをフォトリベしてみた。すると露世のシャドウができあがった。上半身が宙に浮いているだけの、目がガラス玉みたいないつものシャドウだ。
「やっぱり、露世のシャドウなのだ!」
しかし、この露世のシャドウは、いつもと違い鋭い声で大笑いした。
「な、なんで大笑いしているのかな?」と、飴ちゃんが尋ねた。
「わ、我輩にきかれても知らないよ」
そんなこと、我輩が分かるはずもない。
「来栖野君何か知っているかな?」
「月野原ちゃん、俺も解らないよ」
構わず露世のシャドウはニヤニヤしながら喋り出す。
『一。三枚のレイフォトを。イレイス!』
ニヤニヤしている露世のシャドウは、用が済んだらさっさと自らを消去した。なので我輩は二枚目をフォトリベした。また、この露世のシャドウは甲高い声で大笑いした。
「いつものと違うのだ」
『二。順番通りフォトリベしろ! イレイス!』
例により、露世のシャドウは自らイレイスされた。
「三枚のレイフォトを順番通りフォトリベしろ?」
「これじゃないかな?」
飴ちゃんが地面に落ちたレイフォトを三枚拾い上げた。
「文字が書いてあるのだ」
「えーと。『一。一文字露世は』『二。隠し事を』『三。している』だって」「そんなこと知っているのだ……」
「これをフォトリベしたら真実が分かるんじゃないかな?」
「そ、そっか」
我輩と飴ちゃんがあーだ、こーだやっているのを来栖野君は放って置いて、白い光のポイントを両手でパンッと挟んで壊していた。
そして、来栖野君は腹に一物ありそうな冷めた目で、こちらを一瞥していた。
我輩は、それどころではなく、それに気付くゆとりもなく、三枚レイフォトに集中していた。
「じゃあ、順番通りにフォトリベしてみるのだ」




