第三話 教室での一幕
翌朝、我輩は自分のクラスで一文字露世の登校を待ち構えていた。
忠犬の気分である。
「はよー」
そうこうしているうちに、露世が眠そうに教室に入ってきた。
露世は、自分の席で鞄を降ろしている。
我輩は、可愛く駆け寄った。
「ねえねえ、露・世・クン」
「えっ? ああ。まだ授業は始まってないから、トイレで頑張ってこい」
「いやいや、トイレは我慢してないから」
「えっ? 違うのか?」
露世はキョトンとした顔をして目を瞬いている。
「我輩を何だと思っているんだ」
「月野原が、トイレでフォトファイトじゃないのか?」
「違うよ。トイレでフォトファイトって何だよ。誰と戦うんだよ」
「だったらなんだ?」
「いや、露世の特殊写真、もう一枚くれないかな~と思って」
首をかしげて可愛く努めた。
しかし、露世の冷ややかな視線が返ってきた。
「やはりな。月野原、俺の写真をフォトリベしたな」
「はい。我輩は欲望に負けてしまいました」
「愚か者がっ」
「はい。我輩、愚か者です。フォトリベしませんのでもう一枚ください」
「断る。どうせフォトリベするに決まっているからな」
露世はフンとそっぽを向いた。
「でも、なんでロゼは武装していたの?」
「しらないのか? シャドウ。あれは、被写体の分身もしくは守護霊と言われている。撮った者やフォトリベする者の思念で姿かたちが自由自在に具現化される。だからじゃないか?」
「ふ、ふーん。じゃあ、もう一度じっくり見るためください。お願いします!」
「そうだな~どうしようかな~?」
露世の目が我輩を眺めながら考えている。
何だろう? この意味深な目は?




