第四話 謎の高校生男子のレイフォトをフォトリベしよう!
翌日、我輩は露世と鑑そして連辞と自習室に来ていた。いつものように、人目を気にして窓は閉め切り、遮光カーテンを引いてある。そして、照明をつけていた。
我輩は、レイフォトを長机の上に並べた。
すると、連辞がそれを突っついた。
「さあ、二枚集まったけど、もう少し集めてみる? どうする?」
我輩は、唸ってその一枚を手に取った。
「とりあえず、収穫はなかったのでフォトリベしてみるよ」
「オーケー、メモの用意はできたぜェ」
露世は、いつものようにタブレットを準備していた。
「じゃあ、写影子。よろしく」
「分かった」
作り物のような顔をした高校生ぐらいの男子の上半身が写った、レイフォト。
それの両端を持った我輩は、勢いよくフォトリベした。
すると、思念があふれてわだかまり、一つのシャドウを作り出した。
その高校生ぐらいの男子のシャドウは機械音のように淡白に喋り出す。
『①~⑦の問い』
「①から⑦だって!」
「メモメモ!」
『①、フォトグラン学院高等部、一年五組、出席番号十番は、だ~れだ!』
「げっ、なぞなぞだよ!」
「高等部、一年五組、出席番号十番って、知るかァ!」
露世はブチ切れながらメモを取っている。
「鑑なら、分かるかな?」
情報マニアの鑑ならわかるはずだ。
期待を持って尋ねる我輩に、鑑はフフッと笑った。
「出席番号十番って絶対野郎だよね。興味ないから。そう、写影子以外は眼中にないッ!」
『不正解、時間切れです。消去!』
そのシャドウは勝手に消滅した。
「お、おい~! ギャグ言っている場合じゃないだろ!」
我輩は涙目だ。
「大丈夫。しっかりメモしたぜェ」
「さすがは露世なのだ」
我輩が露世とにこにこして、鑑が歯をギリィさせている横で、それまで黙っていた連辞が「ふーむ」とタブレットを見て唸った。
「高等部、一年五組、出席番号十番は、小使井網羅だな」
「「「えええ~!?」」」
思わず、我輩たちは連辞の座っている方に駆け寄った。
そして、連辞のタブレットを覗き込む。しかしすぐに消した後だった。
「なんでわかったのだ?」
「ちょっと、フォトグラン学院のホームページにアクセスして調べた」
「そこまで頭が回るなんてすごいのだ!」
「さすがだなァ」
「腐っても四ツ葉だな」
「俺は腐ってない!」
連辞たちが騒いでいる傍で、我輩は何か床に落ちていることに気づいた。
「アレ?」
それは、フォトリベした後の破った写真とともに落ちていた。
「『☆』のレイフォトなのだ」
それは、『☆』のマークの入ったレイフォトだった。
鑑が横から我輩の手元を覗き込んでいる。
「それ、どうしたの?」
「いや、さっきフォトリベしたレイフォトから出てきたみたい」
「これも二枚一緒に破るのか?」
露世は、この写真が飴ちゃんのシャドウの時と一緒だと思い込んでいるらしい。
「でもね、露世。このレイフォト一枚しかないよ?」
「じゃあ、また集めるのかもしれないから、フォトリベはやめておいた方が無難だな」
「一文字の言う通りだな。じゃあ、写影子ちゃん。次のレイフォトをフォトリベしてくれ?」
「うん、わかったのだ」
上半身だけの蝋人形のような先ほどと同じ高校生ぐらいの男子の写った、レイフォトを長机の上から掬い上げた。
そして、それを手に持って、勢い良くフォトリベした。




