第三話 家族の会話とある男女の会話
日が沈んだころ、住宅街では夕食時の話し声が家の中から楽しそうにあちらこちらから聞こえていた。我輩の家も夕ご飯を食べながら、今日あった出来事を話して聞かせていた。
「それでね、今日は四ツ葉の二階堂連辞さんとね」
「そうかい。写影子は四ツ葉ごっこをして遊んでいるのか~」
「違うよ」
「そういえば、もらってきた賞状もよくできているわよね~」
「いやいや、本当に我輩は四ツ葉からもらってきたんだって!」
「はっはっは。写影子、嘘を言ったらだめだよ」
「ええっ?」
「本当に四ツ葉からだったら、ニュースになるはずでしょ?」
「だ、だからね! 我輩は探偵の能力を持っているから秘密にしなくちゃならないの!」
「はっはっは、写影子は本当に面白い子だな~!」
「うふふふ、本当にそうね!」
だ、ダメだこりゃ。
いつも両親に今日あったことを包み隠さずストレートに伝えるのだが、信用してくれたためしがない。我輩のことは、あくまでもフツーの子だと思い込んでいるようだ。
「そうだ! 今度の日曜日、みんなで外食しましょうよ!」
「えっ?」
我輩は、母のお手製のハンバーグを食べながら、目をぱちくりさせた。
「ほら! フォトグラン学院の東に新しくファミレスができたでしょ?」
「う、うん」
「私も一回行ってみたいと思っているのよ。どう?」
「それはいいな!」
「……我輩は遠慮しておくのだ。ちょっと最近、忙しくて」
フォトリベしなくてはならないから、我輩の予定はびっしりなのだ。
二人は何も言わずに我輩を見ていたが、気を取り直したように父と母は見つめ合った。
「そう……じゃあ、私とあなたで行きましょうよ」
「そうだな、羽子とデートなんて久しぶりだな!」
「はは……」
ラブラブの二人にあてられながら、我輩は自分の部屋がある二階に戻っていくのだった。




