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フォトリベレーション~一寸のシャドウにも五分の魂~  作者: 幻想桃瑠
◆+◆第一章◆+◆大嫌いだったフォトリベがドツボにハマるかで章◆+◆
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第二話 偽物? シャドウ? 露世? ロゼ?

「ただいま~」


 自宅に帰ってきた我輩は、階段を駆け上がって部屋に閉じこもった。

 我輩の部屋は、何の変哲もないピンクを基調としたファンシーな部屋だ。

 勉強机があって、ベッドがある。こじんまりしているが、落ち着く空間だ。

 ともあれ、取り出すは露世の特殊写真だ。


「ふっふっふ」


 失敗は許されない。露世の特殊写真を完璧にフォトリベする。

 フォトリベは、撮った者の思念と、写真を破る者の思念が、フォトリベに影響してくるといわれている。

 だから、我輩の断固とした意志が、気合の入ったポーズに変わる。


「とうりゃあああああああ!」


 中から煙が漂い出し、人型の形を作った。そして、露世の特殊写真はフォトリベされた。

 そこに現れたのは、露世そっくりのシャドウだった。

 我輩は、両手を組み合わせて歓喜した。

 フォトリベサマサマだな。もう、フォトリベ大好きすぎる。したくないとぬかした奴の顔が見てみたいわ。わっはっは!

 それは我輩だと自らツッコミながら、完全にフォトリベされるのを待つ。

 煙が引いていくと、我輩は異変に気づいた。


「あ、アレ?」


 その、シャドウの露世は鎧を着ていたのだ。


「どうした? 写影子?」


 露世に名前を呼ばれて、心臓がドキドキ――じゃない。


「俺に何か用か?」

「アンタだれ?」

「ああ、俺はシャドウの、ロゼ」


 我輩は目を瞬いた。

 な、何で武装しているんだ?

 戦国の武士のようだけど、どことなくファンタジックな。

 言ってしまえば、ゲームのキャラクターみたいな。

 呆気にとられている我輩が面白かったのか、ロゼはクックックと笑っている。


「な、なんで、そんな衣装来ているの?」


 我輩は、人差し指を向けて尋ねた。


「なんでと言われてもな。でも、写影子に会えてうれしいよ」

「え?」


 戸惑っている我輩に、ロゼは頷いた。

 急に我に返ったように、ロゼは目を見開いた。


「お、おい、写影子! お前!」


 切羽詰まったようにロゼは震えている。息も心なしか荒い。


「な、何!? どんな大変な事が起きたの!?」

「お前っ!」


 ロゼは我輩の右肩を掴んだ。


「な、何?」

「お前っ、露世が好きすぎるあまり、ピンク色の気分で特殊写真をフォトリベしたなっ!?」

「あ!」


 し、しまった~。自分の気持ちに嘘は付けなかった~。

 そ、そうか。思念がフォトリベには作用するから。


「とうっ!」

「きゃあ!」


 我輩は突き飛ばされて、ベッドの上でバウンドした。

 身を起こして、ロゼを見る。

 こ、これってもしかして、R15!?


「……う!」

「う?」


 ロゼは、カッと目を見開いた。目が血走っている。


「討ち入りじゃあッ!」

「討ち入りってなんだッ!?」


 恐怖している我輩の前で、ロゼは再び叫んだ。


消去(イレイス)ッッッ!」

「えっ!?」


 そうこうしている間に、ロゼは自ら消滅した。

 先ほどの消去(イレイス)という呪文。あれは、たしかシャドウを消すための――いや、重要なのはそこじゃない。


「き、消えた……ってことは。しまったあッ。フォトリベ失敗したあッ!」

「写影子、うるさいわよ!」


 母・羽子が一階から叫んだ。

 我輩は真っ二つになった特殊写真を拾い上げた。違うところをフォトリベしてみるが、何も起きなかった。特殊写真は一回きりの使い捨てらしい。特殊写真の裏からセロハンテープでくっつけて補修する。


「露世がまた我輩に特殊写真をくれるかなぁ」


 どう考えても、無理に決まっていた。


「でも、シャドウのロゼって格好良かったなぁ。また会いたいなぁ」


 それに、ロゼに名前で呼んでもらえてうれしかった。


「よしっ」


 再び我輩は立ち上がった。

 こんなことで挫ける我輩ではない。

 再び、露世に特殊写真を貰うために画策するのだ。

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