第二話 ブラックマーケット
我輩は、露世・鑑・大人の連辞と一緒に、商店街のブラックマーケットまでやってきた。
ブラックマーケットは外装からして不気味だった。血文字のような不気味な看板に、ワカメのようなモノをびっしりと張り付けた外壁。ドアの上には蜘蛛の巣が張っていた。
ここに出入りしていたなんて、彩島騎得はどれだけのツワモノだろうか。
いや、彼のあの明るさなら彼の力で消去できるような気がする。
しかし、ここに入るのか?
我輩はのどのつっかえを飲み込んだ。
「い、行くぞ!」
「お、おう!」
頼りないことに、連辞までビビっていた。
しかし、我輩たちも相当ビビっていたので、連辞を先頭に歩かせて彼の背中に張り付いているありさまだった。
我輩たちは連辞の背中に張り付いて、歩みを進めていた。
店内は薄暗く、怪しい杖やら・ミイラの手やら・ドクロまであり、我輩たちを凍りつかせていた。
「お、おい! 押すな!」と、連辞が怒った。
「イィィッヒヒヒヒヒヒヒヒッ! いらっしゃいませェェェ!」
「ぎゃああああああああああああああああああ! デタァ!」
いきなり出てきた不気味な魔女に驚いて、我輩たちは大声を上げて、店の外に飛び出した。
「本当に絵本から出てきたみたいなのだ!」
「ここって、本日国だよなァ?」
「たぶん、この店だけ本日国じゃないんだよ!」
この時になって、一人足りないことに気づいた。
「あ、アレ!? 連辞は!?」
「そういえば、逃げるときに突き飛ばしたような……」
「尊い犠牲だったな……」
我輩たちが黙とうをささげていると、後ろのドアが開いて足音が聞こえた。
「をい……!」
連辞がよろよろと出てきた。背広が着崩れてよれよれになっている。
「よかった、連辞。心配したのだ!」
「……なんか黙とうをささげてなかったか?」
「そ、それはともあれ、特殊写真は?」と我輩。
「ちゃんと手に入れた! ほら!」
我輩は連辞から例の高校生の男子が写っているレイフォトを受け取った。
「ありがとうなのだ!」
「さすが、連辞だなァ」
「だてに、四ツ葉じゃないってわけだね」
「ふっふっふ。褒めて許すと思うな?」
「連辞さん、怖いのだっ」
我輩たちは目をキラキラさせてごまかすのだった。




