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フォトリベレーション~一寸のシャドウにも五分の魂~  作者: 幻想桃瑠
◆+◆第三章◆+◆因縁のライバル出現!? フォトリベのシャドウで悩むので章◆+◆
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第一話 彩島騎得(あやしまきえる)

 後ろからやってきたのは、クラスメイトの彩島騎得だった。黒髪のベリーショートボウズの明るいムードメーカーの男子だ。

 彼の大きい黒目が興味津々に我輩を見ていた。

 呆気に取られている我輩の横から、サッと我輩のレイフォトを取り上げた。

 我輩は慌ててそれを取り返す。


「彩島君、これはなんでもないから」


 我輩は言い訳を考えていなかったので、とにかく机の中にそれを仕舞った。


「別に隠さなくてもいいじゃんか~。俺、詮索する気はないから」


 朗らかに彩島君は笑った。

 よ、良かったのだ……。

 机の上に体重を預けて、我輩は安堵した。


「でも、それと同じ特殊写真、俺、見たことあるよ~」


 我輩は、勢いよく体を起こした。


「ど、どこで見たのだ!?」

「ブラックマーケットで」

 しれっとして、彩島君は言った。


「ブラックマーケット?」

 我輩は、その単語は初耳だった。


「ブラックマーケットって、商店街にあるフォトリベ専門の怪しい店だよなァ?」

 露世は、やはりフォトリベのことになると詳しい。

 鑑も頷いている。

「珍しいものがたくさん売ってあるらしいけど、怪しい店だから僕は行かないな」


 怪しい店なのか……。鑑でも行かない店か……。

 我輩は、ごくりと生唾を飲んだ。


「そ、そこにあったの?」

「おお。俺、掘り出し物が多いから結構そこに行くんだけど、こういうのあったぜ?」

「ホントか!?」

 我輩は身を乗り出した。

「「「連辞!」」」

 三人同時に連辞を振り返った。

 これが本当なら、光のポイントを探さなくて済む。

 我輩たちの次の目的は決まった。ブラックマーケットだ。

「よし、放課後になったら買いに行こう!」

「でもな、店主はこっちが欲しいと分かったらふっかけてくるから、欲しくないフリすると良いよ」


 おお~。彩島君は良い人だな~。


「ありがとう、彩島君!」

「じゃあ、お礼に課題の答え見せて~!」


 彩島君はタブレットを脇に挟んで、我輩の目の前で手をパチンと合わせた。


「うん、良いよ!」


 我輩は、喜んでタブレットの課題のページを開いた。

 必死で写している彩島君を眺めながら、露世がポツリと言った。


「でも、彩島騎得の騎得って変わった名前だよなァ?」


 彩島騎得の名前が変わっているなら、我輩の名前も変わっているのだ。

 しかし、我輩は彩島君に親近感を覚えていた。


「だろ? 俺の家系は代々イレイサーなんだ。だから、俺も特訓を受けてるから、他のイレイサーよりもスッゴイ消去できるぜ」


 我輩は、素直に驚いた。彩島君は、イレイサーの家系なのか。


「……いやいや。でも、そんな消去したら困る人もいると思うから」


 我輩は引きつって、今にも消去(イレイス)の呪文を唱えそうな彩島君を止めた。


「そうだね。写影子ちゃんの言う通り」と、連辞。


 そ、そうそう。連辞が消去されると困るからね。


「分かってるって~。俺のじいちゃんもいざっていうときだけ使えって言われているからな~」


 彩島君はニカッと笑った。


「それはそうと、隣のクラスに転校生が来たぜ?」

「ふーん」

 彩島君の話題に露世が相槌を打った。

「女子? 男子?」

 連辞の方が興味津々だ。

「女子だってさ」

「その……美人か?」と、連辞。

「ってオイ! 連辞さんよ。流石に、あんたは高校生に手を出したらダメだろ?」

「コラ、連辞」

「おい、連辞」


 我輩を含む露世と鑑の冷たい目線に、連辞は苦笑していた。


「いや、だって気になるだろ~?」

「そうだなぁ。一文字は好きになりそうな感じだよ」

「ええっ?」


 な、なんだと……!

 露世のタイプだとは、けしからんッ!


「悪いけど、それはないなァ」


 露世は苦笑している。

 本当かなぁ……。

 我輩はいきなり突き付けられた不安要素に胸を悩ますのだった。

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