第十一話 窮鼠猫を噛む!?
一時はたじろいだ我輩だったが、勝算がないわけではない。
指を突き付けて、大声を張り上げた。
「飴ちゃんにひどいことするな! 飴ちゃんを返せ!」
「威勢のいいその様子だと、俺たちが誰だか知らないようだが?」
「全く知らないのだ」
「俺たちがデッドキスだと知ったらお前はどうする?」
やはり、デッドキスなのか。
「こうするのだ!」
我輩は、すぐさまロゼの特殊写真をフォトリベした。
「ほお、ちゃんとフォトリベできたようだな? お嬢ちゃん」
「我輩、フォトリベで蹴散らしてやるのだ。戦い方はあんまりわかってないけど」
それを聞いた大人たちは大笑いした。
「馬鹿じゃねぇ? 何もしらないお前が、どんな思念を込めれるっていうんだ?」
ロゼがふわりと瘴気をまとった。
我輩を中心にしたまわりに、瘴気の波紋ができる。
「教えてやるのだ」
馬鹿笑いしていた、大人たちの顔が引きつる。
「ロゼには大暴れするように言ったのだ!」
ロゼは、真っ赤な目を開いた。バーサーカーのようになって、暴走し始めた。
「ぎゃあああああ! なんだ!?」
「そ、そうか! 暴走するように言えば、攻撃の仕方なんてどうでもいいってわけか!」
そうだ。暴走するように念じれば、ロゼは技も使い放題だ。彼らには公言してないが、こっそりと飴ちゃんのことは傷つけないように念じてある。
「ロゼ、我輩を乗せて飛ぶのだ!」
我輩を乗せてロゼは飛ぶ。我輩はロゼの背中からもう一人のロゼのシャドウを連写した。
「よし!」
ロゼの特殊写真が五枚できた。それを一度に、フォトリベする。
「暴れろ!」
すると、眼下ではロゼが大暴れし始めた。
「な、なんだ、このフォトリベ! ものすごい完璧に……ぐはぁ!?」
その時、我輩は水色の光のポイントを見つけた。
「なんでこんなところに?」
ともかく、我輩はレイフォトに収めた。
「何をやっている!」
「雷雨様!」
「消去!」
途端に、フォトリベは消滅した。
「うわっ!」
上空に避難していた我輩も、ロゼが消えたせいで床にたたきつけられた。
「月野原さん!」
飴ちゃんが駆け寄ってきた。
く、くそぅ。そうだった。消去は盲点だった。
どんなにフォトリベが強くても、消去されたら無になってしまう。
「……っ!」
がくがくと立ち上がろうとする我輩に、飴ちゃんが駆け寄ってきた。
「月野原さん、ゴメン。俺のせいで……!」
飴ちゃんが涙を流している。
「大丈夫、露世の特殊写真が……」
「お前がこんなものを持っているとはな。没収だ」
雷雨と名乗った男が、我輩の露世の特殊写真を取り上げた。
「そ、そんな……ぐぅ……!」
我輩は、もう、丸腰だ……。
「死んでもらおうか?」
雷雨が本日刀を抜いた。
本日刀の刃が鈍い光を放っている。
こんなところで、我輩は終わってしまうのか?
そうだ。もう一枚、レイフォトが……。
みると、絵らしきものが浮かび上がっている。
我輩は、渾身の力を込めて破った。
我輩たちを守ってほしいと念を込めて。




