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フォトリベレーション~一寸のシャドウにも五分の魂~  作者: 幻想桃瑠
◆+◆第二章◆+◆行方不明の友達をフォトリベで救出できるかで章◆+◆
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第九話 大山鳴動して鼠一匹?

「ええと。ちなみに、我輩は『三』のレイフォトをどうすればいいのだ?」

 鑑が手を出した。

「一文字、メモを見せてくれ」

「お、おお」

 露世は慌ててカバンの中から、タブレットを取り出した。そして、みんなに見せながらうなっていた。


「『一。虹色の光のポイントにおける十枚のレイフォトを』『二。二枚まとめて一度にフォトリベしろ』だからァ……」

 鑑は頷いて、手で二をあらわした。

「二枚ずつあるはずの『一』から『五』の数字を、二枚ずつ一度に破ればいいんじゃない? 『五』はまだ一枚集まってないけど」

「ということは、『三』も、二枚一度に破るってことじゃないかなァ?」

「なるほど、『三』を二枚一緒にフォトリベしてみるのだ」


 我輩は、『三』のレイフォトを特殊写真を、勢いよく二枚一度にフォトリベした。

 すると、またしても飴ちゃんのあのシャドウが現れた。

 またしても、何かが落ちて金属音が鳴った。


「ま、また、ロッカーのカギが出てきたのだ!」


 そして、飴ちゃんのシャドウは問答無用で喋り出す。


『三。間の駅の。消去(イレイス)!』


 用が済んだとばかりに、飴ちゃんのシャドウは消滅した。


「今度は大丈夫だ。しっかりメモだ」


 惑わされなかった露世は、しっかりタブレットに入力している。

 我輩もしっかりと、鍵を拾った。


「できたぜェ」

 露世はみんなにタブレットを見せた。


「『一。あらぶる駅と』『二。いきどおる駅の』『三。間の駅の』『四。ロッカーの中』ということは……えっ?」と、露世。

「あらぶる駅といきどおる駅の間の駅って、にこつく駅なのだ!」


 にこつく駅とは、我輩や露世の住んでいるにこつく市だ。にこつく市には、フォトグラン学院もある。

 鑑はげんなりしている。

「はは……。つまり、遠回りさせられたわけだね……」

「じゃあ、にこつく駅のロッカーをこの鍵で開ければいいってわけだね」

 我輩はロッカーの鍵をチャラチャラさせた。

「連辞ィ、そういうわけなんだが」

 露世が傍観している連辞を振り返った。


 みんなの視線が彼に集まる中、連辞はおいしそうにタバコをふかしていた。


「よくできました。じゃあ、行くか」

「うん!」


 我輩たちは連辞の覆面パトカーに乗って、にこつく駅まで連行された。

 にこつく駅のコインロッカーの番号を四ツ葉の捜査員が探し出して開けている。数日経っているらしく、ロッカーのカギが開くまで小銭をたくさん入れていた。


「あ! 二階堂さん、開きました!」

 捜査員は嬉々として振り返った。

「おお、開いたか!」

 連辞がロッカーの扉を開けた。


「カァ~!」

「え゛?」

「ん?」

「あ?」


 かわいらしい鳴き声が聞こえてきたかと思うと、ロッカーの中からカラスが飛び出してきた。


「な、なんだ!?」

「ぎゃああああああ! カラスなのだ!」


 我輩は悲鳴を上げた。我輩はカラスが苦手だった。

 連辞や我輩たちは目を丸くしている。カラスが飛び去る瞬間、我輩は見た。


「連辞ぃ! あのカラスが虹色の光のポイントなのだぁ!」

「ナニィ! 確保だァ! あのカラスを確保だァ!」


 そして、連辞が四ツ葉に連絡して、捜査員がにこつく駅に集まってきた。

 事件でも起きたのかというぐらいの騒々しさだ。


「思ったんだけど、普通に捜査して手掛かりないのかなァ……」

「ニュースによると、手掛かりはまだ見つかっていないらしいよ……」

「ふーん……」


 二人はなんだかダルそうだ。

 鑑も露世もわきによけて、捜査の様子を傍観している。


「でも、大山鳴動して鼠一匹ってまさにこれだなァ。ネズミじゃなくカラスだけどね」

「いや、意味がちょっと違うと思うよ。前触れの結果ばかり大きくて、実際の結果が小さいことのたとえだから」

「ん? そうか? あれ? 月野原はどこ行った?」

「ん? 写影子?」


 やばい、見つかった! こっそり帰ろうと思ったのに!


「そ、そろそろ、我輩帰るのだ……はは……」

「写影子ちゃん!」


 そ知らぬふりをしている我輩の肩を、背後から連辞の手がつかんだ。


「ふぎゃ!?」


 我輩の悲鳴がのどの奥ではじけた。

 ホラーなのか! ホラーなのか!?


「写影子ちゃん……」

「な、なんなのだ……?」

「明日までにカラスた~くさん捕まえているから、虹色の光のポイントがあるカラスを探し出す手伝いしてね~……?」

「な、なんで我輩なのだ?」

探偵の能力(サーチファカルティ)のある捜査員はみんな忙しくて、写影子ちゃんしか頼める人がいないからだよ」

「……ッ!?」


 連辞がにっこりして言ったので、我輩は涙目になった。


「わ、分かったのだ……!」


 飴ちゃんのためなら涙ながらに頑張ろうと思う、けなげな我輩なのであった。

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