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フォトリベレーション~一寸のシャドウにも五分の魂~  作者: 幻想桃瑠
◆+◆第二章◆+◆行方不明の友達をフォトリベで救出できるかで章◆+◆
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第八話 ロッカーの中にあるもの?

 連辞が、我輩と露世に鑑を校舎の外に連れ出した。外は夕暮れ時で、下校途中の学生たちが散見している。

 ひと気のないところに連辞が連れてくると、黒い自動車が停まっていた。


消去(イレイス)!」


 高校生の連辞は、勝手に消去の呪文を唱えて消滅した。


「連辞が消えたのだ!」

「あ、ああ!」


 びっくりしている我輩たちの横で、黒い自動車の窓が自動で開いた。

 運転席にいたのは、高校生の連辞ではなく、二十歳過ぎの連辞だった。制服ではなく、黒いスーツを着込んでいる。


「あ、連辞!」と、我輩は指さした。

「えっ? この人が連辞なの?」

「大人版の本体の連辞だよ。消えた高校生のほうがシャドウなのだ」

 露世と鑑は戸惑っている。

 一応、以前説明したのだけど、実際に聞くのと見るのでは違うようだ。

 そして、この黒い自動車は覆面パトカーらしい。


「よう、お待たせ。さ、現場検証に行くから、三人とも乗れ?」

「現場検証?」


 我輩は驚いたが、すぐにそれは好奇心にすり替わっていた。


「現場検証とは面白そうなのだ。我輩行くのだ」

「僕たちも行こうか……」

「お、おお……」


 助手席に飛び乗った我輩の後ろに露世と鑑が収まった。

 そして、自動車は発進した。


「えーと。現場検証ということは、あらぶる駅といきどおる駅に行くの?」

「そゆこと」

 連辞はタバコを吸ってご機嫌だ。

「えっ、でも?」

 我輩はちらりと後部座席の露世と鑑を振り返った。

「現場には何もなかったんだよね。なんでなのだ?」

「なんでだ、連辞ィ?」

「まあ、いいから付いて来な」


 我輩たちは連辞の覆面パトカーに乗せられて、あらぶる駅までやってきた。

 夕暮れ時なので、帰宅途中の客で混雑していた。学生たちやサラリーマンたちが思い思いの方に向かっている。コインロッカーのほうに行くと、制服を着た四ツ葉が番をしているので、彼らの視線がそちらにくぎ付けになっていたが、やがて興味を失って通り過ぎていく。


「それで……」と、我輩は切り出した。

「連辞は、あらぶる駅になにかあると?」と、露世。

「そういう考えなの?」と、鑑。


 我輩の目の前には、ロッカーが並んでいる。鍵を抜くと、一日三百円で使用できる便利なコインロッカーだ。

 あの鍵のあるコインロッカーの前では、四ツ葉の捜査員が見張りをしていた。連辞が来ると、敬礼をしている。

 連辞は彼らに軽く挨拶をして、財布から小銭を取り出した。


「この中にあるものは、俺の予想だとアレがあるはずだ」


 アレ? アレって何なのだろう? やけにもったいぶるなぁ。

 不満たらたらに目くばせしあう我輩たちを後ろに、連辞は百円玉を三枚入れた。

 昨日、捜査で開いたばかりなので、三百円だけで開くらしい。

 そして、鍵を回すとロッカーの中は連辞の言った通り空だった。


「うーん、からっぽだねぇ」

「見事に何もないねェ」


 鑑と露世は四角いロッカーの中をまじまじと覗いて嘆いている。

 しかし、我輩だけは目の覚める思いだった。


「連辞は、これが言いたかったんだね!」

「えっ!? 月野原?」

「写影子?」


 驚いた露世と鑑が振り返った。


「そ、そうか……!」


 我輩の視線の先に気づいた鑑がつぶやいた。

 そんな、鑑に露世が驚いている。


「な、なんだ、夜桜までわかったのか?」

「何もなくても写影子だけには見えるものだ」


 その鑑の言葉に露世もハッとしたようだ。


「そうか、光のポイント……!」


 露世のつぶやきに答えるように、我輩は頷いた。


「そうなのだ。このロッカーの中には、虹色の光のポイントがあるのだ!」


 連辞は、おいしそうにタバコをふかした。


「ビンゴだな。俺の予想通り」


 我輩は、さっそく特殊写真に収めた。

 そして、いきどおる駅のコインロッカーの中にも、虹色の光のポイントが存在した。

 それもしっかりと、我輩はレイフォトに収めた。

 次第に、その真っ黒なレイフォトから次第に絵が浮かび上がってきた。


「これは……! 二枚とも『三』の番号の特殊写真なのだぁ!」


 我輩は得意げにそれを見せびらかした。


「やったな! 月野原!」

「さすがだ、写影子!」


 捜査の突破口が次第に開いてきた。

 我輩は、みんなと顔を見合わせて笑いあった。


「さあ、次を頼んだよ、写影子ちゃん!」

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