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フォトリベレーション~一寸のシャドウにも五分の魂~  作者: 幻想桃瑠
◆+◆第二章◆+◆行方不明の友達をフォトリベで救出できるかで章◆+◆
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第六話 番号のレイフォトをフォトリベしよう!

 露世は得意げにレイフォトをつっついた。

「番号が二つずつあるってことは、その番号を二枚破ればいいってことじゃないか?」

「あ、そうだね」我輩も納得して頷いた。

「とにかく、二枚一緒にフォトリベしてみたらいいんじゃないかな?」

「分かった」


 我輩は、『一』と『一』の番号を二枚一度にフォトリベ――つまり、破いた。

 すると、思念がわだかまり、一つの像を作り上げた。それは、やはり飴玉媛理――飴ちゃんの姿になった。このシャドウも例によって、ガラス玉の眼でしかも上半身だけで、まるで色付きの銅像が浮かんでいるようだった。

 ということは、これも飴ちゃんのことを示しているに違いない。


『二。いきどおる駅の。消去(イレイス)!』


 そうこうしているうちに、飴ちゃんのシャドウは空虚な言葉で淡々と述べた。そして、消滅した。

 あまりの呆気なさに我輩はパニックになった。


「ちょっと待ってよ! 『一』の番号を破いたのに、なんで『二』なんだ!?」

「まあ。番号はいいとして、『いきどおる駅』って『にこつく駅』の前の駅だよね?」と、鑑。

 にこつく駅は、フォトグラン学院のある『にこつく市』に着く駅だ。我輩や露世の自宅があるのもにこつく市である。そして、『にこつく駅』の前が『いきどおる駅』なのである。


 しかし、連辞は頭をガシガシと掻いた。

「それだけじゃ、何を意味しているのか分からないぞ!」

「とにかく、俺はメモだ!」

 露世はせっせとタブレットに入力している。


「メモできたぜ」

 露世が先を促したので、連辞は頷いた。


「じゃあ、写影子ちゃん。次は『二』の番号だ」

「う、うん」


 我輩は、勢いよく『二』の番号におけるレイフォトを二枚フォトリベした。すると、またしても飴ちゃんのシャドウになり、それは感情のない声でしゃべり始めた。


『四。ロッカーの中。消去(イレイス)!』そして、飴ちゃんのシャドウは消えた。


「今度は『二』の番号なのに、『四』の答えなのだ。どうやら、番号と答えは必ずしも一致しないみたいだね」と、我輩。

「メモしたぜ」と、露世。


 連辞は露世の手元を覗き込んだ。


「ふむ。いきどおる駅のロッカーの中か……」

 露世は考え込んでいる。

「ロッカーの中に何かあるってことなのかなァ?」

 鑑が残りの二枚を勧めてきた。

「写影子、次だ」

「あ、うん」


 我輩は、『四』の番号の特殊写真を二枚一度にフォトリベした。

 すると、またしても飴ちゃんのシャドウになった。


 しかし、その時金属音を立てて何かが落ちた。


「えっ!? 何かレイフォトから出てきたよ!? 手品みたい!」


 それを拾っている我輩にみんなの視線が集中する。


 しかし、その横で飴ちゃんのシャドウが問答無用でしゃべりだす。


『一、あらぶる駅と。消去(イレイス)!』


「ちょっと待てよォ!」露世が聞き取れずに悲鳴を上げた。

「番号は一だ」と、連辞。

「あらぶる駅と、だ」と、鑑も横で指示している。みんな、意外と冷静沈着だった。

「お、おお。『一、あらぶる駅と』、か……よし、できた」


 露世は、危なかったが問題なく入力できたようだ。

 露世がタブレットをつつきながら説明する。

「続けて読むと、『一。あらぶる駅と』『二。いきどおる駅の』『四。ロッカーの中』だって」

 鑑が頷いた。

「あらぶる駅はにこつく駅の後の駅だよね」

 自習室の中をうろつきながら連辞はつぶやく。

「その二つの駅にあるロッカーの中に何かあるってことなのか?」


 我輩はメモできたことに安堵して、話を切り出した。

「これが、レイフォトの中から出てきたよ」


 我輩が長机の上にそれを二つ置くと、鑑は眉をひそめた。

「これは、鍵なの? なんか、番号が書いてあるけど」

 露世が鍵をチャラチャラさせている。

「これ。駅のロッカーの鍵だろ」

 我輩も考えを巡らせる。

「二つってことは、あらぶる駅といきどおる駅のロッカーのカギってことなのかな?」

「よし! 捜査本部に連絡を入れて、ロッカーの中を探させよう!」


 連辞はすぐさま、スマホで四ツ葉に連絡を入れた。

 これで、事件が一歩解決へと進むはずだった。

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